2015年7月20日月曜日

野党 安保法案の廃案を目指す 官邸は中国攻撃のシナリオ

 先週発売の「FRIDAY」は、安倍首相が15日に採決に踏み切った際に「支持率ばかりを気にして採決を先延ばししていたら、南シナ海に間に合わない」と言ったことを、官邸のスタッフが明らかにしたと報じました。
 これは安倍首相がオフレコの場で「安保法制は南シナ海の中国が相手だ。だからやると言ったらやる」としばしば語っていたことが本心であったことを示すものです。
 驚くべきことに官邸は、1年以内に、自衛隊が米軍やフィリピン軍とともに、中国が進める南シナ海での岩礁埋め立て現場に出動し、この工事を武力で止めるシナリオを持っていると言われています。正に戦争が目的の、戦争をするための法案ということになります。
 
 19日のNHK日曜討論に出席した自民党の高村副総裁は、衆院での強行採決について「支持率を犠牲にしてでも、国民の平和と安全を守るために必要なことをやってきたのが自民党の誇るべき歴史だ」と、例によって法案の正当性ではなく「必要性」を前面にした説明をしていましたが、それは取りも直さずアメリカと一緒になって隣国=中国を叩く「必要性」を語ったことになります。
 
 また「60日ルール」を使わないようにしたいとも述べましたが、とても本心とは思えません。もしもそんなルールを使うことになれば、与党自ら憲法の規定している2院制を無視し、「参院不要論」を肯定することになります。
 そもそも「60日ルール」は予算案や条約案について例外的に規定したものであって、一般の法案に適用すべきものではありません。野党は当然 廃案を目指しています。
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与野党 安保法案の参院審議巡り議論 
NHK NEWS WEB 2015年7月19日
NHKの「日曜討論」で、安全保障関連法案が先週、衆議院を通過し参議院に送られたことを受けて、自民・公明両党は法案の必要性など国民の理解を得ながら参議院でも可決して、成立させたいという考えを示したのに対し、民主党などは法案の問題点などを世論に訴えながら廃案に追い込みたいという考えを示しました。
 
自民党の高村副総裁は「にわかに曇ってから傘を用意したのでは間に合わないのが安全保障の問題だ。支持率を犠牲にしてでも、国民の平和と安全を守るために必要なことをやってきたのが自民党の誇るべき歴史だ。今後、与党も一体となって国民の理解を得るべくやっていきたいし、参議院は『60日ルール』を使う必要がないようにしっかり審議して、結論を出してもらいたい」と述べました。
 
公明党の北側副代表は「今なぜ安全保障法制が必要なのかをしっかり説明していくことがとても大事だ。参議院の審議では政府側に説明してもらいたいし、私たちも具体的に説明していきたい。『60日ルール』を使う状況には、参議院のメンツをかけてしないと思う」と述べました。
 
これに対して、民主党の枝野幹事長は「憲法違反であるという基本的にだめだということに加えて、個別に見ても矛盾がたくさんあり、まだまだ指摘をしていかなければならない。国会内の戦いだけでは勝ち目がないのは確かなので、問題点を国民に伝えて、国民世論対安倍総理大臣という構図を作り、世論の大きなうねりで廃案に持っていきたい」と述べました。
 
維新の党の柿沢幹事長は「最も的確な案は維新の党の独自案だと思っているので、参議院に提出して堂々と議論していきたい。政府案の危険な点や憲法の範囲を逸脱している点に歯止めをかけつつ、やるべきことをやる内容になっているので、受け入れをお願いしていく」と述べました。
 
共産党の山下書記局長は「衆議院での採決は憲法9条と国民主権をダブルで踏みにじる暴挙であり、国民の怒りは強い。憲法違反だという国民の過半数が感じている法案の問題点を徹底的に追及する必要があり、世論と運動で廃案に追い込みたいと述べました。
 
次世代の党の松沢幹事長は「日本にとって必要な法案だという判断で賛成した。ただ、衆議院での審議の失敗は10本の法案を1つにまとめて議論しようとしたことなので、参議院では法案ごとや具体論を審議するようなしかたで差別化すべきだ」と述べました。
 
社民党の又市幹事長は「国会審議をすればするほど憲法違反の疑いが濃厚だということで、国民世論はどんどん反対が強まってきている。『60日ルール』や強行採決ができないような世論を作って、何としても廃案に追い込んでいきたい」と述べました。
 
生活の党と山本太郎となかまたちの山本代表は「法案は明確に憲法違反であり、全力で反対する。政府・与党は安全は保障されると言ってるが、むしろ危険は高まる。採決になれば結果は決まっているので国民は声を上げてほしい」と述べました。
 
日本を元気にする会の山田政策調査会長は「数の力を背景に議論を進めれば民主主義の危機となる。参議院ではまともな安全保障の議論ができるよう、論点を整理して国民にも分かりやすいように論戦に臨む」と述べました。
 
新党改革の荒井代表は「自衛隊を派遣する場合に必ず事前に承認を国会で取り付けるための仕組みを一生懸命作っていきたい」と述べました。