13日、衆議院の安保法制特別委員会で中央公聴会が開かれました。採決の前提要件となるものです。
野党側の推薦した3人の参考人はそれぞれ法案は違憲であると主張しました。
小澤隆東京慈恵会医科大学教授は「看過しがたい違憲性が含まれている。歯止めのない集団的自衛権の行使につながりかねない。廃案にされるべきだ」、木村草太首都大学東京准教授は「集団的自衛権の行使は憲法違反で、政策的に必要ならば憲法改正を要する。憲法を無視した政策論は国民を無視した政策論」、また山口二郎法政大学教授は「法案は専守防衛を逸脱して違憲。後方支援が『戦闘が始まったら撤収するので危険ではない』というのは荒唐無稽な空論」とそれぞれ述べました。
それに対して与党側が推薦した元外務省出身の岡本行夫氏は「従来の内閣法制局の判断や憲法前文に基いてきた考え方を変えるべきだ」と述べ、もう1人の村田晃嗣同志社大学長(アメリカ外交)は「法案は憲法上の問題を含んでいるが、安全保障の専門家は今回の法案にかなり肯定的である」と述べました。
それはいわば単に法案が必要であり賛成という意見で、合憲であるという主張ではありませんでした。
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安保関連法案 中央公聴会で賛否両論
NHK NEWS WEB 2015年7月13日
安全保障関連法案を審議する衆議院の特別委員会は13日、中央公聴会を開き、それぞれの公述人からは、安全保障上の観点から法整備が必要だという意見が出された一方で、法案は憲法に違反しており廃案にすべきだといった意見が出されました。
この中で、与党が推薦した外交評論家の岡本行夫氏は「内閣法制局が『直接的な国土防衛以外の行動はすべて黒』としてきた判断が適切だったか考え直す時期だ。各国の善意と犠牲の上に日本人の生命と財産を守ってもらい『それでよし』としてきた国の在り方を転換できるか歴史的な分岐点にいる」と述べました。
野党が推薦した東京慈恵会医科大学教授の小澤隆一氏は「今回の法案には看過しがたい違憲性が含まれている。要件の明確性と限定性が、武力行使の新3要件になったことで失われ、歯止めのない集団的自衛権の行使につながりかねず憲法9条に反する。憲法上多くの問題点をはらみ、廃案にされるべきだ」と述べました。
野党が推薦した首都大学東京法学系准教授の木村草太氏は「『わが国の存立』ということばは、憲法9条違反の以前に、あいまい不明確ゆえにそもそも違憲だ。集団的自衛権の行使は憲法違反だが、政策的に必要ならば憲法改正の手続きを踏めばよい。憲法を無視した政策論は、国民を無視した政策論だ」と述べました。
与党が推薦した同志社大学法学部教授の村田晃嗣氏は「多くの安全保障の専門家は法案にかなり肯定的だと思う。概念としてあいまいな部分があるのは否めないが、国際情勢は流動的で不明確な部分があり、仮想の事態の想定であいまい性を払拭(ふっしょく)しなければ法律が成り立たないというのは非常に難しい」と述べました。
野党が推薦した法政大学法学部教授の山口二郎氏は「法案は専守防衛を逸脱し憲法違反だ。重要影響事態における後方支援の『現に戦闘が始まったら撤収するので危険ではない』という説明は荒唐無稽な空論だ。他国の武力行使との一体化は戦争への参加を意味し、自衛隊員と国民の危険をも高める」と述べました。
憲法学者ら会見、強行採決に反対 「違憲、重大な欠陥ある」
東京新聞 2015年7月14日
憲法学者らでつくる「国民安保法制懇」は13日、東京都内で記者会見し、安全保障関連法案について「数多くの重大な欠陥を含む憲法違反の法律。国民の多数が反対している状況での強行採決は断じて許されない」として廃案を求める声明を発表した。
声明は、法案が合憲だとする政府・与党の説明を「論理が破綻している」と断じ「日本の安全保障に貢献するかも疑わしい」としている。
会見では樋口陽一東大名誉教授(憲法学)が「何十年も積み重ねてきた国会審議を一気に吹き飛ばすような法案であり、国会や歴史に対する侮辱だ」と批判した。(共同)