TPPの調印式が4日、ニュージーランドで行われました。
当日は、ニュージーランドをはじめとしてオーストラリア、マレーシア、アメリカなどで大々的なTPP反対デモがおこなわれたということです。
TPPは日本を標的にしたものと言われていますが、アメリカなど他の国民の中に反対者が多数いるのは、TPPによって利益を得るのは一部の多国籍企業だけで、国民の大多数にとってはマイナスしか及ぼさないからです。
日本でも調印式を前にして官邸前や札幌市で反対デモがおこなわれましたが、その一方で交渉に当たった甘利元大臣をTPP合意の功労者扱いするという信じられないような報道もあり、TPP反対の大々的な勢力にはなっていません。
いうまでもなく協定は国会で批准しなければ発効しません。しかし現状では国会で否決できるような状況には見えません。その辺を見透かしたのか毎日新聞によれば、まだ協定の全訳が発表されていないにもかかわらず、3月にもTPP協定の承認案と、法改正が必要な11の法律を8法案にまとめて国会に提出し、4月に審議入りするということです。
アメリカでは大統領選とのからみで国会での承認の見通しが全く立たないと言われています。それなのに日本はなぜそんなに急ぐのでしょうか。協定の内容が国民に明らかにならないうちに、協定の承認を済ませようとしているとしか思えません。
ブログ:「日々雑感」を紹介します。
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安倍自民党はTPP反対を掲げていなかったか。
日々雑感 2016年2月5日
<「歴史的なTPP署名が行われ、日本はその創設メンバーとなった。交渉には遅れて参加したが、米国と共に議論をリードしルール作りにも積極的に参加することができた」。安倍晋三首相は4日、誇らしげにTPP合意で日本が果たした役割を強調した。
署名式には高鳥修一副内閣相が参加。12カ国による閣僚会合も開かれ、今後の新規加盟国の受け入れや事務局設置の取り扱いについて、首席交渉官で引き続き議論を続けていくことを確認した。
TPPは署名から2年以内に全12カ国が国内手続きを完了すれば、その60日後に発効する。2年後以降でも、12カ国の国内総生産(GDP)の85%以上を占める6カ国以上が手続きを終えれば、60日後に発効するが、その際は経済規模の大きい米国と日本の承認が不可欠となる。
しかし、米国は大統領選を控え、TPP法案の早期の審議入りは困難な見通しだ。共和党の上院トップ、マコネル院内総務は2日、「(11月の)大統領選前には審議は行わないというのが私のアドバイスだ」とけん制した。
TPP賛成派が多い共和党が審議入りを渋るのは、既に大統領選が本格化しているためだ。1日の中西部アイオワ州の党員集会で、共和、民主両党とも2位以内に入った候補者はいずれもTPP反対の立場。TPPに対する慎重論も根強い中、議会で審議を進めれば、大統領選や、同時に行われる上下両院選にマイナスに働きかねない。
このため、オバマ政権は選挙後に法案を提出し、来年1月の大統領の任期切れまでに承認を目指すシナリオが有力だが、TPPを政権の「遺産(レガシー)」にしたいオバマ氏は選挙前の承認を諦めていない。署名を受けて「われわれは年内にTPPを成し遂げる」とする声明を発表。政治情勢を慎重に見極めながら、法案提出のタイミングを探るとみられる。
日本は、3月にもTPP協定の承認案と、法改正が必要な11の法律を8法案にまとめて国会に提出する。輸入拡大で国産品の価格下落が予想される牛・豚肉の生産者の赤字を補てんするしくみの法制化や、小説などの著作権の保護期間を70年に延長するための著作権法の改正などを予定する。審議入りは4月の見通しで、国会では野党が合意内容などについて追及する姿勢をみせている>
(以上「毎日新聞」より引用)
ニュージーランドのオークランドでTPPの署名が行われた。今後は各国が二年以内に批准を決議すれば良いということらしい。
しかしTPPに日本は参加してはならない。TPPは米国の1%による世界支配の一里塚だということを忘れてはならない。
投資家が企業を支配するのみならず、相手国の社会や慣習から、最終的には国家までも支配しようとする悪魔の国際条約だ。その悪辣さは日米修好条約の比ではない。
日本人の常識で国家間の問題を考えてはならない。遺伝子操作をした農産物であろうと、米国は儲かりさえすれば何でもやる。それを輸入禁止にしても「非関税障壁だ」と米国の1%がISD条項を発動すれば、日本政府が負ける可能性が高い。
日本国民の常識では測れないのが外国人だと考えた方が良い。たとえば外国人労働者の移民に消極的な日本政府が訴えられれば、米国並みの移民を受け入れるべきと裁定される可能性もある。思い過ごしでなく、日本社会を根底から覆される可能性だってあるのだ。
そうした日本の内政にまで土足で踏み込む国際条約を締結するのに安倍自公政権は熱狂しているが、三年有余前の総選挙では「TPP絶対反対」の公約を掲げてはいなかっただろうか。そうして農村票を取って議席を大きく伸ばし大躍進したら、一転してTPP推進に転じるとは盗人猛々しい連中だというしかない。
官僚も国賊の最たる連中で、TPP発効後10年で2兆円程度の経済効果がある、と試算していたものが、いつの間にか12兆円に改竄されている。しかも「10年間」という前提は隠されて、単年度で直ちに12兆円も経済効果があるかのような広報をしている。官僚や公務員は嘘を吐く、と国民は用心した方が良い。
本来ならマスメディアが「お目付け役」として機能すべきだが、日本のマスメディアは官僚の広報機関に成り下がっている。自分たちで取材し勉強するよりも、官庁の記者会見に出席して、各社が同じような官製の広報記事を書いている。
TPPの悪魔のような仕掛けをなぜマスメディアは国民に報せようとしないのだろうか。ラチェット条項や米国最恵国条項など、ISD条項以外にも米国の1%に奉仕する仕掛けが満載だ。そんな貿易条約に日本は参加してはならない。環太平洋諸国でブロック経済圏を形成して中国を締め出そうとする発想は米国のものだ。日本にとってどれほど益があるというのだろうか。