経済評論家である植草一秀氏が、「第二次安倍政権で経済が良くなったというウソ」とするブログを発表しました。
これは14日に書いたものであるため、内閣府が15日に発表したGDP速報値-1・4%に対して-0・7%と甘く予想していますが、いうまでもなく論旨の正確さは全く失っていません。
これは14日に書いたものであるため、内閣府が15日に発表したGDP速報値-1・4%に対して-0・7%と甘く予想していますが、いうまでもなく論旨の正確さは全く失っていません。
以下に紹介します。
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第二次安倍政権で経済が良くなったというウソ
植草一秀の「知られざる真実」 2016年2月14日
明日2月15日午前8時50分に昨年10‐12月期のGDP統計が発表される。
国会では、安倍晋三首相が、第二次安倍政権が発足してから日本経済が本格的に改善したと盛んにアピールしている。しかし、大多数の国民に、日本経済が本格的に改善したとの実感はない。
たしかに、安倍政権が発足してから株価は上昇した。
野田佳彦氏と安倍晋三氏による2012年11月14日の党首討論。この党首討論で野田佳彦氏が衆議院解散を宣言して、ここからアベノミクス相場が始動した。
この11月14日の日経平均株価終値が8664円だった。そして、日経平均株価は昨年6月24日に20868円まで上昇した。
たしかに株価は大幅上昇した。しかし、これをピークに株価は反落。
この週末、2月12日の日経平均株価終値は14952円だった。12204円上昇したが、5916円下落してしまった。上昇した値幅の48%が消滅した。
終末のNYダウが313ドル値上がりしたから、週明けの日経平均株価は上昇するだろうが、安倍政権を支えた最大の柱である株価上昇が株価急反落に転じてしまっている。
第二次安倍政権が発足してから株価が上昇したのは事実なのだが、日本経済そのものは浮上していない。残念ながら、これが真実なのである。
明日発表の昨年10‐12月期のGDP成長率がどのような数値になるのかは分からない。
GDP成長率は各種統計を統合して推計されるのだが、すでに発表されている各種統計とは整合的でない成長率が発表されることもあり、事前予想とかい離した数値になることも否定はできないからだ。
その点を留意していただいた上での記述になるが、これまで発表されている各種統計数値から市場が予想している昨年10‐12月期のGDP成長率は年率マイナス0・7%である。
直近2年間のGDP成長率推移は以下の通りだ。
2013年 10‐12月期 -0・7%
2014年 1- 3月期 +5・0%
4- 6月期 -7・2%
7- 9月期 -2・8%
10‐12月期 +1・8%
2015年 1- 3月期 +4・4%
7- 9月期 -0・5% である。
2014年度の実質GDP成長率は-1.0%だった。
数値を見れば一目瞭然だが、日本経済は、まさに地を這うような推移を続けている。
安倍首相は国会で頻繁に安倍政権下の日本経済を自画自賛する。「民主党政権の時よりも日本経済ははるかに良くなった」といった趣旨の発言を繰り返す。
日本経済の良し悪しを知るために最適の経済指標は経済成長率だろう。
株価は上場している企業の企業収益を反映する変数であるから、日本経済全体を評価する指標としては不適である。日本の企業のなかで東証1部に上場している企業など、ほんの一握りに過ぎない。
中小企業庁が示す企業数412万社のうち、大企業は12000社であり、99.7%は中小企業である。
東証1部に上場している企業は1942社に過ぎない。日経平均株価が上昇したとしても、それは日本経済の上澄みの上澄みの部分しか反映していないのである。
2009年9月に鳩山由紀夫政権が誕生した。
第2次安倍政権が誕生したのは2012年12月である。アベノミクス相場は2012年11月14日に始まった。
2009年10‐12月期から2012年7-9月期
と
2012年10‐12月期から2015年7-9月期 の3年間の実質GDP成長率の平均値を計算すると、前者が +2・0% であるのに対して、 後者は +0・8% である。
これを見て、第二次安倍政権になって日本経済がはるかに良くなったと判断する人は一人もいないだろう。
(後 略)