3日付の別掲記事のとおり、甘利氏にかかわる「あっせん利得」の疑惑に関しては日本のマスメディアは不可解な報道姿勢に終始しています。
しかし、ことは国有地を借りていた(不法占拠していたとも言われています)民間会社が撤退するにあたり2億3500万円が国税から支払われたという問題です。
報道の「政権からの自由度」が世界で61位のメディアらしい「卑屈さ!」で済まされるような問題ではありません。
弁護士であり著名なブロガーでもある二人が、2日、メディアやUR(=都市再生機構)の不可解さを指摘するブログを発表しています。以下に紹介します。
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甘利問題、UR「『口利き』を否定」の“怪”
郷原信郎が斬る 2016年2月2日
都市再生機構(UR)が、甘利事務所との面談内容を公表した。
12回にわたって、甘利氏の秘書とUR側が面談を繰り返し、そのうち6回は総務部長が同席していた。その中で、甘利氏の秘書から、「少し色を付けてでも地区外に出て行ってもらうほうがよいのではないか」との発言があったことも明らかになった。ところが、誠に不可解なことに、新聞記事では、「UR側は『口利き』は否定している」とされている。
総務部長が、報道陣に、「補償額上乗せを求めるような発言はなかった。秘書との面会が影響を与えたことはなかった」と述べたことを、「『口利き』はなかった」と表現しているようだが(【UR、甘利氏元秘書との面談内容を公表 口利きは否定(朝日)】)、ここでの「口利き」という日本語は、一体どういう意味なのだろう。
12回にもわたって、S社への補償に関してUR側と交渉し、その中で「少し色をつけて」と言われたことを認めているのに「『口利き』を否定」というのは、日本語の使い方として全く理解できない。
辞書によると、「口利き」とは「談判・相談などをまとめようと、あいだをとりもつこと。」である。新聞記事を書く前に、まず中学校レベルの日本語の勉強をした方が良いのではないか。
この「口利き」というのは、「あっせん利得処罰法違反に当たるような『口利き』」という意味かもしれない。しかし、法律には「口利き」などという言葉は使われていない。政治家や秘書の「口利き」のうち、「権限に基づく影響力を行使してあっせんし、報酬を受け取った」ものが処罰の対象にされているということに過ぎない。そういう意味であれば、「法律に触れるようなあっせんは否定」と書くべきであろう。しかも、URの公表内容を前提にすれば、甘利事務所側の「口利き」があっせん利得処罰法違反に当たる可能性は一層高まったと言えるのである。(甘利事務所の「口利き」について犯罪が成立する可能性が十分にあることについては⇒ブログ(【UR、甘利氏元秘書との面談内容を公表 口利きは否定(朝日)】参照)
もしくは、UR側が「『口利き』ではない」と言っているから、その通りに書いたということなのだろうか。そうであれば、例えば、「相談」という言葉に関して、「いろいろ事情を説明して、対応について助言してもらいました。でも『相談』ではありません。」と言ったら、「『相談』は否定」と書くのだろうか。
あまりに不可解な新聞の見出しが並んでいるのを見て、朝から、眩暈がしそうだ。
甘利氏の秘書、URに「少しイロを付けて」「甘利事務所の顔を立てて」
それこそが口利き=あっせん
Everyone says I love you ! 2016年02月02日
千葉県の建設会社からの「献金」を巡って甘利前経済再生担当相が辞任した問題で、この会社とトラブルになっていたUR(=都市再生機構)への口利きはあったのかについて、UR(=都市再生機構)は2016年2月1日夜、2013年6月から先月までの甘利事務所との面談記録の一部を公開しました。
甘利氏の秘書とURの間に、どんなやりとりがあったのかについて、最初にスクープした週刊文春は、建設会社側が甘利氏側にURへの口利き=あっせんを依頼し、その見返りとして、甘利氏本人やその秘書らに現金を渡したなどと報じています。
もし補償額を増やすよう“口利き”を行い、見返りを得ていた場合、あっせん利得法などの法律に違反する可能性があるわけですが、甘利氏は会見で、秘書が弁護士にした説明として、
「URに何かお願いをした記憶はない。解決をしてくれなどと話した記憶もない」
と話しました。
それに合わせるように、URも今回のメモ公表について「口利きの事実はなかった」
とまとめたのですが。
URによると、甘利氏の秘書との面談は2013年6月以降合計で12回も行われ、URからは総務部長など8人が対応したということです。
12回も会って交渉しているのに、なにも要請していない、「口利き」はしていないというのが不自然なのは当然です。
たとえば2015年10月9日の面談記録によると、甘利氏の秘書は補償額について、
「少しイロをつけてでも地区外に出て行ってもらう方が良いでのはないか」
「ただ先方の話を聞いてもらうだけで良い。甘利事務所の顔を立ててもらえないか。何とかお願いしたい。」
とUR側に話したということです。
これぞ、完全に口利きです。
その19日後、10月28日の記録で、URの担当者はこう書いています。
甘利氏の秘書「一体先方は幾ら欲しいのか?」
UR担当者 「具体額は仰(おっしゃ)らない」
甘利氏の秘書「私から先方に聞いても良いが?」
UR担当者 「逆にこれ以上は関与されない方が宜しいように思う」
また、メモの記述はありませんが、秘書と複数回面会したURの総務部長によりますと、2015年12月、地元事務所で
「大臣はこの案件について知っているのか」と尋ねたところ、秘書は
「大臣は細かいことは知らないが、案件の報告はしている」
と答えたということです。
また、URは、東京地検特捜部から、任意の事情聴取の要請を受けていることも明らかにしていますが、今回のURの出したメモも一部で、しかもところどころ黒塗りがされています。
この事件はあっせんを頼んだ建設会社側から積極的に証拠が提出されていますから、あとは相手側のUR側から証拠が出れば立件できます。
あっせんされた側のURが本当のことを言うわけもないのですから、彼らがこんなあいまいな説明を続けるようであれば、東京地検特捜部がURに対して「家宅捜索」=捜索差押という強制捜査をすることを期待したいと思います。