高市総務相がまたしても放送法第4条を利用して、「電波法に基づく電波停止(放送権停止)」に言及しました。
放送法4条には、たしかに放送事業者に対して〈政治的に公平であること〉を求める規定がありますが、同条は政府が放送内容に対して介入することを許すものではありません。もしもそれを許すなら同法1条や憲法に謳われている「表現の自由」を、放送法自体が否定することになってしまいます。それ故に4条は同法成立以来一貫して「倫理規定」であると位置づけられてきました。
高市氏は、昨年11月6日に出された放送倫理検証委員会の意見書の中で、放送への権力介入を批判されたときにもやはり同法4条は「法規範性を持つ」と発言しました※。
法律の制定時に特別の経緯があった場合にはそれを学ばなければ条文の真の理解は出来ません。そのことについては当時も検証委員長が指摘しました。
ところが高市氏はその後も所管の法律について一向に学ぶことをしなかったために、浅知恵による間違った認識のままで留まっていたという訳です。
LITERAのよる本格的な批判と「まるこ姫の独り言」の慨嘆のブログを紹介します。
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総務相、電波停止の可能性に言及 政治的公平性で
東京新聞 2016年2月8日
高市早苗総務相は8日の衆院予算委員会で、放送局が「政治的に公平であること」と定めた放送法の違反を繰り返した場合、電波法に基づき電波停止を命じる可能性に言及した。「行政が何度要請しても、全く改善しない放送局に何の対応もしないとは約束できない。将来にわたり可能性が全くないとは言えない」と述べた。
民主党の奥野総一郎氏が、安倍政権に批判的とされる看板キャスターの番組降板が相次いでいると指摘した上で「電波停止が起こり得るのではないか」と質問したのに対して答えた。
高市氏は、放送法について「単なる倫理規定ではなく法規範性を持つ」と強調した。(共同)
高市早苗が憲法改正に反対したテレビ局に「電波停止ありうる」と…
民主主義を破壊する発言になぜテレビは沈黙するのか
LITERA 2016年2月9日
恐ろしい発言が国会で飛び出した。高市早苗総務相が、昨日の衆院予算委員会で“政治的に公平ではない放送をするなら電波を停止する”と言及、本日午前の国会でも「放送法を所管する立場から必要な対応は行うべきだ」と再び口にした。
しかも、きょうの高市発言がとんでもないのは、答弁の前の質問にある。きょう、民主党の玉木雄一郎議員は「憲法9条改正に反対する内容を相当の時間にわたって放送した場合、電波停止になる可能性があるか」と質問し、高市総務相はこの問いかけに「1回の番組で電波停止はありえない」が「私が総務相のときに電波を停止することはないが、将来にわたって罰則規定を一切適用しないことまでは担保できない」と答えたのだ。
つまり、高市総務相は、“憲法9条の改正に反対することは政治的に公平ではなく放送法に抵触する問題。電波停止もありえる”という認識を露わにしたのである。
憲法改正に反対することが政治的に公平ではない、だと? そんな馬鹿な話があるだろうか。改憲はこの国のあり方を左右する重要な問題。それをメディアが反対の立場から論じることなくして、議論など深まりようもない。というよりも、改憲に反対し「憲法を守れ」とメディアが訴えることは、法治国家の報道機関として当然の姿勢であり、それを封じる行為はあきらかな言論弾圧ではないか。
だいたい、現行憲法99条では「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負う」と規定されている。ようするに、政治家には現在の憲法を守る義務があり、「9条改正に反対することが政治的に公平ではない」などと言うことは明確な憲法違反発言である。
こんな発言が躊躇(とまど)う様子もなく国会で堂々と行われていることに戦慄を覚えるが、くわえて高市総務相は重大なはき違えをしている。そもそも高市総務相は、放送法の解釈を完全に誤っている、ということだ。
昨年、放送界の第三者機関であるBPO(放送倫理・番組向上機構)が意見書で政権による番組への介入を「政権党による圧力そのもの」と強く批判、高市総務相が昨年4月に『クローズアップ現代』のやらせ問題と『報道ステーション』での元経産官僚・古賀茂明氏の発言を問題視し、NHKとテレビ朝日に対して「厳重注意」とする文書を出した件も「圧力そのもの」と非難したが、その際にはっきりと示されたように、放送法とは本来、放送局を取リ締まる法律ではない。むしろ、政府などの公権力が放送に圧力をかけないように定めた法律なのだ。
まず、放送法は第1条で「放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによって、放送による表現の自由を確保すること」と定めている。これがどういうことかといえば、今回のように政治家が暴走することのないよう、政府に対して表現の自由の保障を求め、政治権力の介入を防ぐために規定されているものなのだ。
一方、放送法4条には、たしかに放送事業者に対して〈政治的に公平であること〉を求める規定がある。だが、この4条は政府が放送内容に対して介入することを許すものではけっしてない。
以前の記事でも紹介したが、放送法4条について、メディア法の権威である故・清水英夫青山学院大学名誉教授は著書『表現の自由と第三者機関』(小学館新書、2009年)でこう解説している。
〈そもそも、政治的公平に関するこの規定は、当初は選挙放送に関して定められたものであり、かつNHKに関する規定であった。それが、「番組準則」のなかに盛り込まれ、民放の出現後も、ほとんど議論もなく番組の一般原則となったものであり、違憲性の疑いのある規定である〉
〈かりに規定自身は憲法に違反しないとしても、それを根拠に放送局が処分の対象になるとすれば、違憲の疑いが極めて濃いため、この規定は、あくまで放送局に対する倫理的義務を定めたもの、とするのが通説となっている〉
つまり、第4条は放送局が自らを律するための自主的な規定にすぎず、これをもって総務省ほか公権力が放送に口を挟むことはできないということだ。むしろ第4条を根拠に公権力が個々の番組に介入することは、第1条によって禁じられていると考えるのが妥当だろう。
すなわち、放送法4条は放送局が自らを律するための自主的な規定にすぎず、これをもって総務省ほか公権力が放送に口を挟むことはできないということだ。むしろ4条を根拠に公権力が個々の番組に介入することは、第1条によって禁じられていると考えるべきだ。
しかも、4条にある〈政治的に公平であること〉とは、「両論併記」することでも「公平中立」に報道することではない。というのは、メディアで報道されているストレートニュースのほとんどは発表報道、つまり権力が自分たちに都合よく編集したプロパガンダ情報である。これがただタレ流されるだけになれば、政策や法案にどんな問題点があっても、国民には知らされず、政府の意のままに世論がコントロールされてしまうことになりかねない。
逆にいえば、高市総務相の今回の発言は「世論を政権の都合でコントロール」しようとするものであり、それこそが放送法に反しているのだ。にもかかわらず、無知を重ねて電波法を持ち出し、テレビ局に脅しをかける──。これは報道圧力、言論弾圧以外の何物でもない。
しかし、つくづく情けないのは当事者たるテレビ局だ。このような発言が総務大臣から飛び出したのだから、本来は問題点を突きつけて高市総務相に反論を行うべきだ。なのに、昨晩のニュース番組でこの発言を報じた番組はひとつもなし。きょう、またしても高市総務相が電波停止に言及したため、取り上げられはじめているが、そうでなければどうするつもりだったのだろうか。
だが、テレビに期待するほうが間違っているのかもしれない。NHKも民放も、幹部や記者たちは安倍首相と会食を繰り返し、官邸からの圧力にあっさり屈してキャスターを降板させる……。こんな調子だから、為政者をつけ上がらせてしまうのだ。報道の自由を自ら手放し、権力に力を貸している時点で、もはやテレビも同罪なのだろう。 (水井多賀子)
電波停止を命じる可能性に言及の狂信内閣がどんどん支持率アップ
まるこ姫の独り言 2016年2月9日
東京株、918円安、ええええ???!!!
大暴落じゃないか、マイナス金利の効果はなく弊害ばかり。
私たちの大事な年金はどうなってしまったのか、どうなるのか。
すごい展開になってきた。
本当にこの国はどうなってしまったのだろう。
どんどん危ない国になりつつあるが、それでも支持率が下がらない。
どころか、安倍総理が国会で日常的にバカ発言や不規則発言をしても、閣僚にどんな不祥事があっても、閣僚が国民の知る権利を破壊したり、締め付け発言を行っても、株が大暴落しても日銀がマイナス金利発表をしても、支持率だけは上がり続ける。
この摩訶不思議な現象はどう理解したらよいのだろう。
参議院選挙前には、安倍首相が就任時のご祝儀相場の支持率にまで回復しているのではないか?(皮肉)
私にはマスゴミが加担しての作られた支持率にしか見えないが安倍首相に取っては支持率の好調さが自信の源だそうで、高市総務相の発言も暴走の一途をたどる。
国会で、電波停止を命じる可能性に言及したそうだが、このままで行くと、民主主義国家を標榜することはできなくなる。
せっかく、地道に積み上げてきた民主主義が、安倍政権によって少しずつ破壊されていく。恐ろしい。
<衆院予算委>高市総務相「電波停止を命じる可能性」言及
毎日新聞2月9日(火)11時13分
高市早苗総務相は9日午前の衆院予算委員会で、放送事業者が政治的公平性を欠く放送を繰り返し、行政指導でも改善されないと判断した場合、電波法76条に基づいて電波停止を命じる可能性に言及した。
>菅義偉官房長官は9日午前の会見で「(高市氏は)当たり前のことを答弁したに過ぎない」と述べた。
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本当にこの政権は狂っている。
安倍首相が安倍首相なら、悪代官も悪代官で、その下の総務相も同じような発想で、マスメディアに圧力をかけ委縮させ、政権の批判をオフリミットして、長期政権を目論んでいるのだろうが、今回の高市のマスメディアへの恫喝とも思える国会での発言は、行き過ぎの最たるものだろう。
高市は、公平性、公平性というが、公平性を判断するのは、権力を持つ大臣だというのだから、大臣の考え次第で言論が統制されかねないと、なぜ分からないのだろう。
政府が電波を管理できると言うのが、どれだけ恐ろしい事か。
政府のやる事は批判されて当然で、それが嫌なら即議員を辞職して一般人になればよいだけの話で、それを政府に都合の悪い報道に圧力をかけてまで排除する姿勢が問題で、当の内閣がおかしいと思っていないところに絶望を感じる。
この内閣が存在する限り、ますます報道が政権の意向を忖度するようになり委縮していくだろう。
それでも支持率アップに繋がるとは。。。。
どれだけブラックジョークなんだか。国民は目覚めているのか。
電波停止発言に批判拡大 野党、撤回要求へ
東京新聞 2016年2月9日
高市早苗総務相が政治的公平性を欠く放送局に電波停止を命じる可能性に言及したことに対して9日、批判が拡大した。野党は「報道の自由を侵すような発言を厳しく追及する」(民主党の高木義明国対委員長)と反発し、高市氏に発言を撤回するよう求める構えだ。
民主党の小川敏夫参院幹事長は記者会見で「配慮を欠いた発言だ。マスコミを萎縮させる効果を与えた」と批判。維新の党の今井雅人幹事長は「安倍政権はメディアにさまざまな圧力をかけている。もう少し謙虚になるべきだ」と述べた。
おおさか維新の会の馬場伸幸幹事長は「戦前のように言論を統制しては絶対に駄目だ」と非難した。(共同)