NHKが連日、円高と株安の原因を外部に求めながら国民に伝える姿は異常です。
不適合分析において自責(自己責任)要因を他責(他者責任)要因に転じるということの典型です。この場合100%自責とはいえないにしてもそれに近く、全て他責ということなどあり得ません。数十兆円の年金積立金が消えてしまったのが他責だとでもいうのでしょうか。
高野孟氏は、「悪いことは全て〝他人のせい”の情報操作に加担する大メディア」(日刊ゲンダイ2月4日http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/174625 )で、次のように述べています。
「(前略)統計を調べれば分かるが、昨年を通じて中国の石油消費は減るどころか増え続けていて、原油価格下落が中国のせいだというのは冤罪である。(中略)
ガソリンや灯油、それに産業用の重油の価格が下がれば国富の海外流出が10兆円近くも抑えられ、その分、経済活動が活発になって消費を押し上げるプラス要因になると考えるのが常識だろう。(中略)
石油の先物市場で巨額かつ超高速のマネーゲームを展開して大儲けをしてきた投機ファンドと、その投機家に頼って人工的な株高をつくり出し、「成長幻想」をあおってきた安倍政権だけなのだ。
悪いことは何もかも「中国のせい」「他人のせい」でごまかして、アベノミクスの真実から目をそらせようとする投機屋たちの情報操作に、マスコミもまた加担しているという狡猾な支配構造を見抜く必要がある。(後略)」
現状は、もはやそんな欺瞞でカバーできる範囲をはるかに超えています。
経済学者の植草一秀氏は、いまこそ「日本経済の現状を正確に捉えて、適正な政策対応を打ち出さなければ、日本経済は再転落することになるだろう」と述べています。
年金積立金の喪失だけでも政権は退陣し全員議員辞職をすべきです。
年金積立金の喪失だけでも政権は退陣し全員議員辞職をすべきです。
小沢一郎(事務所)のツイッターも併せて紹介します。
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安倍政権は結局政策大転換に追い込まれる
植草一秀の「知られざる真実」 2016年2月12日
円高と日本株価下落が進行すると、日本のメディアは、
「安全資産として日本円が買われている」
「世界経済のリスクが高まり株価が下落している」
と報道する。
それでは、2013年から2015年にかけて、円安と日本株価上昇が進行したときに、
「危険資産を回避する行動が強まり、日本円が売られている」
「世界経済の回復期待が強まり株価が上昇している」
と説明していたか。
違う。
「アベノミクスの政策対応が好感されて、円安と株高が進行している」
と伝えていた。そうであるなら、
「アベノミクスの政策対応が嫌気されて、円高と株安が進行している」
と伝えるべきだろう。
NHKはニュース報道のなかで、
「リスク回避の行動が強まり、安全な資産を買う動きが強まり、日本円が上昇しています」
などと、断定する原稿を用意するが、そもそも断定などできない。
これまでに断定形でのニュース原稿を書いてきたことをよいことに、勝手に理由をNHKが決めている。
もちろん、原稿を創作するときには、政治権力の顔色を窺う。こうして、大本営発表のニュースが報道される。こうして小さなウソが積上げられて、ペテンに満ちた政策が遂行されている。
しかし、安倍政権を支えてきた唯一の拠り所が株価上昇だったから、株価急落は政権の屋台骨を揺さぶることになる。
2月12日の東京市場では、取引時間中に日経平均株価が15000円を割り込んだ。
日経平均株価が15000円を割り込むのは2014年10月以来、1年半ぶりのことだ。
2014年10月31日、黒田東彦日銀は、追加金融緩和政策第2弾を決定した。
2014年12月14日の選挙に合わせて、株価吊り上げの政策発動を決定したのである。
安倍政権は選挙に合わせて、2015年10月の消費税率10%への引上げを延期する決定を行った。
同時に原油価格の暴落が発生して、日本株価が大幅上昇して、安倍政権は2014年12月の総選挙にも勝利してしまった。しかし、日本の株価は、この黒田日銀金融緩和第2弾を決定する前の水準にまで下落してしまったのだ。
『金利・為替・株価特報』2016年2月15日号(2月上旬号)
政治権力に支配された日本のマスメディアは、円高と日本株価下落が、日本の経済政策とは無関係であるかのように報道するが、まったくの間違いだ。
そもそも、アベノミクスそのものに大きな間違いが含まれている。
また、アベノミクスと言われるけれども、安倍政権はアベノミクスで提示した政策とは正反対の政策も実行している。
アベコベノミクスとアベノミクスが混じり合っていて、正確に表現すると、アベノミクスの悪い点はそのままにして、アベノミクスの正しい部分は正反対にしているのだ。サイアクノミクスとなってしまっている。
これまでは、株価が上昇していたから、雪があらゆるものを純白に染め抜いてしまうように日本経済の闇の部分が隠されてきた。しかし、株価が下落して雪が解けてしまうと、あちこちから、汚れた部分が見え始める。
春節で中国からの旅行者は多いが、元は下落し、中国株価が暴落したから、中国旅行者の支出は金額で見て大幅に減少するはずである。
日本経済の現状を正確に捉えて、適正な政策対応を打ち出さなければ、日本経済は再転落することになるだろう。
(中 略)
(以下は有料ブログのため非公開)
生活の党 小沢一郎(事務所)2016年2月11~12日
(2月11日)
アベノミクスは正に「失敗」から「崩壊」の域に。巻き込まれるのは国民の資産と年金、そして生活である。既に1ドル112円台の円高、株価も昨年から5000円も下がっている。この状況で何の反省もなく、野党を感情的にあげつらう答弁しかしないなどということは、一国の総理として到底許されない。
120円→112円/ドルということは、輸出企業の収益面で大打撃である。
当然賃上げや設備投資どころではなくなる。かといって金融政策にはもう手段がない。発動の「タイミング」の間違い。マイナス金利で信用不安が膨らみつつあり、先行き貸出が減少する可能性さえある。
これのどこが好循環なのか。
安倍総理は、野党相手に日々本当に感情的・激情的な、論理のすり替えだらけの答弁を繰り返しているが、内心一番「アベノミクスは本当に大丈夫なのか?」と思っているのは実は他ならない総理自身ではないだろうか。
確たる理論的根拠もないまま金融政策だけでなんとかなるだろうと思ったところが間違い。
(2月12日)
「経済で、結果を出す」。自民党のポスターのスローガンである。
ある意味で非常にタイムリーなポスターである。確かに「結果」は出た。
国民資産と年金を一瞬のうちに蒸発させたおぞましい悲惨な「結果」である。
安倍総理はいつまでも言い訳ばかりせず、国際政策協調等まともに危機に対応すべきである。
安倍総理は、現下の円高についても危機感が足りない。
自分が異常な政策で招いた円安が、これまた自分が引き金を引いたかたちで今度は円高になっているのに、どこか他人事で、当事者意識がない。正に無責任の極みであり、信じられないことである。
アベノミクスは終わりなき悪循環の連鎖になりつつある。
昨今の世のイクメン議論とイメージに多大なる打撃をもたらした「偽イクメン議員」の記者会見が行われていたようだが、時間と公共の電波と、紙面の壮大かつ絶望的な無駄である。くだらなすぎて言葉もない。急速に進行しているアベノミクス崩壊の国民の生活への影響について、より報じられるべきである。