TPPの害悪についてはこれまで数十回にわたって紹介して来ました。
TPPはアメリカの巨大企業(多国籍企業)が他国ー日本が主要な標的ーから徹底的に収奪しようという意図で企てられたものであるということは、事の始まりの時から中野剛志氏(「TPP亡国論」等の著者)らが指摘していました。
自民党も在野時代には正確にそのことを認識していましたが、政権に就くと何故か掌を返すようにして、安倍・甘利氏を先頭にしてひたすら協定の締結に邁進しました。まさに売国の所業でした。
そのうえ、肝心の米国が大統領選(予備選)に入ったこともあって協定の批准の見通しが不明という状況であるにもかかわらず、安倍首相は3月に入ればすぐにも閣議決定する予定だと言われています。付属文書を入れれば5000ページを上回る資料がまだ日本語訳されていないにもかかわらずです。
これは協定の全貌が国民に知られないうちに批准を済ませてしまおうとするものです。
これは協定の全貌が国民に知られないうちに批准を済ませてしまおうとするものです。
共産党が農業県の秋田市で、TPP東北シンポジウムを開きました。
そこでも協定文と付属書から判明した問題点が明らかにされました。
日刊ゲンダイの記事「遺伝子組み換えサケが日本の食卓を襲う」も、併せて紹介します。
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TPP 既成事実化許さない 共産党が秋田でシンポ
しんぶん赤旗 2016年2月22日
環太平洋連携協定(TPP)が国会承認など正念場を迎えるなかで、日本共産党秋田県委員会と国会議員団東北ブロックは21日、秋田市でTPP東北シンポジウムを開きました。いわぶち友参院比例予定候補が開会あいさつし、高橋千鶴子衆院議員がコーディネーターを務めました。
紙智子参院議員・党農林漁民局長が、政府はTPPの全容も公開せず既成事実化を進めているが、協定文、付属書から分かってきた問題点として、
▽「漸進的に関税を撤廃する」と明記し、コメなど重要5品目を関税撤廃から除外するとした国会決議に違反している
▽外国人投資家や規制改革会議の意見尊重をうたっている
▽輸入したものを48時間以内に流通させるルールなど、今でも十分ではない検査が一層なおざりにされる
―を指摘。影響を小さく見せる政府の“粉飾”試算にも触れ、「安倍暴走政治への批判は高まっており、TPP批准阻止のたたかいはこれからだ」と強調しました。
岩本鉄矢・庄内医療生協専務理事は、特許権を盾にして安価な後発医薬品が排除され、保険外診療が拡大し医療の営利化が進むと批判。
佐藤喜作・一般社団法人農協協会会長は、TPPは「毒種子と言えるもので発芽させてはならない」と訴えました。
長濱健一郎・秋田県立大教授が、秋田県のコメへの影響が2010年政府調査では983億円となっていたのに15年調査ではゼロとなっていることを紹介し、TPPは格差を拡大すると批判しました。
藤本ゆり参院選秋田選挙区予定候補が閉会あいさつしました。
米国で承認 「遺伝子組み換えサケ」が日本の食卓を襲う
日刊ゲンダイ 2016年2月19日
TPPの国会承認を急ぐ安倍首相は「国益にかなう最善の結果を得た」と強弁していたが、ウソっぱちだ。遺伝子が組み換えられた魚までもが日本になだれ込む懸念が強まっている。
TPPを主導する米国では、FDA(食品医薬品局)が動物初となる遺伝子組み換えサケの販売を承認。通常の2倍のスピードで成長する「フランケンフィッシュ」が市場に出回ると大騒ぎになっているのだ。
TPP断固阻止で戦う元農相の山田正彦氏(弁護士)がこう指摘する。
「英語の正文(国際条約を確定する正式な条約文)にあたって驚きました。TPPの規定では、いわゆる遺伝子組み換え食品のカテゴリーに農産品ばかりでなく、魚や水産加工品も含まれていたのです。つまり、TPP域内では遺伝子操作された魚の流通も認められているということ。外務省が公表した30章97ページの翻訳文ではこの部分には触れていない。世論を刺激するような“地雷”を取り除こうという意図がミエミエです。厚労省は〈日本独自の評価基準は守られる〉としていますが、TPPが発効してしまえばなし崩しにされる恐れが強い」
TPPの旗印は貿易の促進だ。各国のルールは棚上げされ、市場開放に最も積極的な加盟国に合わせることを強いられる。「措置の同等」(第7章第8条)、「適合性評価」(第8章第6条)、「透明性」(第8章第7条)などで、それが担保されているという。
ルールを破れば、岩城法相がロクに答弁できなかったISD条項(国と投資家の間の紛争解決条項)が待ち構えている。多国籍企業の論理が国内法に優先され、損をさせたら損害賠償を求められる。TPPのモデルとなった米韓FTA(自由貿易協定)を2012年に発効した韓国では、訴訟リスクを回避するために少なくとも75の国内法改正が実施される。
指をくわえていたら、金儲けしか頭にない多国籍企業の草刈り場になり、抗生物質まみれの危険食品が食卓にズラーッと並ぶ日がやって来る。