国民年金積立金を運用するGPIFの2015年度(3月31日現在)の損失は約5・1兆円に上る見通しだということです。
損失の内訳を見ると、外国株式が3・6兆円、国内株が3・5兆円、外国債券が0・5兆円それぞれ損失を出し、国内債券のみが2・6兆円の利益をあげました。
安倍政権が14年秋に株式に投資する比率の目安を50%に倍増させたのが、裏目に出たものです。
国民の財産をこれだけ失わせるのですからとてもただ事では済まされませんが、政権にはその責任を取る意思は皆無です。
それどころか通常は7月上旬に公表しているのに、今年については参議院選挙後の7月29日に公表することにしたということです。巨額損失の確定的な報告になるだけに参院選に悪影響が出ないように、投票日までは隠蔽しておこうという訳です。卑怯なことです。
安倍政権の経済政策を批判している 小沢一郎(事務所)のツイートを併せて紹介します。
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株投資拡大 裏目に 年金運用損失 5兆円見通し
東京新聞 2016年4月3日
国民が拠出する国民年金などの積立金を運用する「GPIF」(年金積立金管理運用独立行政法人)が二〇一五年度、約五・一兆円の損失を出す見通しとなったことが、専門家の試算で明らかになった。 (渥美龍太)
GPIFは安倍政権の方針に基づき一四年秋以降、運用資産のうち株式に投資する比率の目安を50%に倍増させたが、積極的な株式投資が裏目に出た。リスクの高い資産を主軸に年金を運用する政策の是非が問われそうだ。
損失はリーマン・ショック直後の〇八年度以来の大規模水準になる見込み。GPIFは運用成績を例年七月前半に公表するが今年は七月二十九日に発表する。
試算はGPIFの運用に詳しい野村証券の西川昌宏チーフ財政アナリストが実施。損失内訳は、外国株式が三・六兆円と最大。国内株は三・五兆円、外国債券も五千億円の損失。一方で国内債券は二・六兆円の利益を計上した。
GPIFは一四年十月に運用基準を変更。国債など国内債券を60%から35%に下げ、株式投資(外国株を含む)を24%から50%に引き上げた。だが、一五年度は株式が世界的に下落。一方、マイナス金利導入で国債に購入が殺到し、GPIFが減らした国内債券は逆に価格が上がった。
日本総研の西沢和彦上席主任研究員は「日本の年金はスウェーデンなどと違い、損失が出たときすぐに穴埋めをしない。将来世代への影響を防ぐ仕組みを作らないまま、損益の振れ幅の大きい株式の比率を高めたのは拙速だ」と指摘する。
通常7月上旬公表 今年は参議院選挙後の7月29日に 巨額損失を完全隠蔽
小沢一郎(事務所)ツイート 2016年3月31日~4月2日
3月31日
安倍総理は「景気は7分咲き」と昨日言った。仮に景気が七分咲きなら、なんで海外から慌てふためいて経済学者を呼び、なんで消費増税延期を中心課題とするのか。なんでGDPはマイナスで、なんで実質賃金がマイナスのか。なんで株価が大暴落し、低迷したままなのか。もはや完全な誇大妄想の域だろう。
3月31日
一方では「景気は良いんです!」と言ってアベノミクスを誇らしげに語り、一方では「景気が悪い」と言って消費増税延期で衆参同日選挙をしようとする。結局、選挙に有利かどうかでこの国の景気判断は決まるということ。こんな意味不明で馬鹿馬鹿しい景気判断も政権運営もない。今に誰も信じなくなる。
3月31日
大体、日銀総裁がいくら「マイナス金利は効果がある」と言ったって、異常な異次元緩和でジャブジャブやれば物価は上がり給料も上がると散々言っておいて、3年経ってこの状態なのだから、みんな信じるわけがない。もはや「政策の説得性」という観点からも深刻。正に「アベノミクスという虚構」の象徴。
4月1日
本当にこのギャップはなんだろう。景気は確実に良くなっているという総理の空疎な答弁と全く逆に、日銀短観の景況感大幅悪化、500円を超える株価暴落。円高も再度111円台に入る勢い。外国の学者を呼んで茶番劇をする前に、総理は現実を認めて、アベノミクス失敗の理由を説明しなければならない。
4月1日
今回の短観に見られるように景況感が悪化し続けているという事実は極めて重い。とにかく「アベノミクス」などとはしゃぎ円安・株バブルを引き起こし、自ら破裂させた責任は大きい。それどころか引続き先行きの被害を更に拡大する劇薬・麻薬を躊躇なく投入し続けている。もはや司令塔自体が最大の問題。
4月1日
結局アベノミクスの売りは中身のない円安・株価バブルだけ。良かったの13年だけで、その後はみんな幻覚だと気付いて今日に至る。本年度企業収益も減収減益に転じる見通しで、アベノミクス不況ともいうべき事態。2月16日導入のマイナス金利も景況感の下支えになっていない。どこが七分咲きなのか。
4月1日
最近は総理もさすがに「バイ・マイ・アベノミクス!」とは言わなくなった。言えるわけがない。既にNISAなどと言ってバブル高値の中で国ぐるみで投資を推奨し、年初から巨額の個人金融資産が消失。年金も消失した。バブルの「生成」と「破裂」を国自身がやっているのだから、もはや付ける薬もない。
4月1日
大体海外の経済学者を呼んで消費税増税の先送りのお墨付きをもらおうなどという姑息な茶番劇を演出する前に、アベノミクスのどこがどう間違っていたのかをなぜ国内の経済学者を呼んできっちりと検証しないのか。まったく意味不明である。安倍総理が失敗を認めないが故に、事態はどんどん悪化している。
4月1日
結局、全部日銀のせいにしてマネーだけをじゃぶじゃぶやっても景気は良くならないことがこのたび正式に証明されたということ。つまり安倍総理が言っていたことも、取り巻きの人々が言っていたことも全部間違いだったということ。初めから進路を間違った政策で金融経済をここまで追い詰めたということ。
4月2日
通常7月上旬公表の公的年金積立金の運用実績公表日が、2015年度分については参議院選挙後の7/29に決定。見事である。巨額損失確定なだけに選挙を意識して完全に隠ぺいするかたち。見事である。これほどの悪政はない。国民が一番認識すべき国民の損失を選挙だからと隠す。安倍政権らしい判断。
4月2日
安倍総理はGPIFの運用について「長期的なスパンで見ていくもの。短期的な(株価の)動向に過度にとらわれることがあってはならない」と主張。その長期が問題なのだ。ジャフジャブで円安バブルを生成し破裂させておいて、この発言には恐れ入る。安倍総理の年金ではない。国民全体の年金なのである。
4月2日
極端な力を持った「権力」は必ず腐敗する。昨今の与党議員のいろいろな珍言・妄言の類も決して単なる一つひとつの細かな事象ではない。そこには権力の傲慢さと腐敗のあらわれが見て取れる。すべては地下で根のように繋がっており、このままだと、これからも繰り返し「醜い芽」を出し続けることだろう。