2016年4月17日日曜日

自民衆院50議席減の予測も/韓国の選挙革命は日本でもと五十嵐氏

 LITERAが、自民党が密かに行った衆院選の情勢調査の結果が11日に得られたものの、内容が極めて思わしくないのですったもんだしている様子をレポートしました。
 過半数割れの可能性が出てきたということです。^^)

 それとは別に、五十嵐仁氏が、「与党惨敗という韓国で起こった選挙革命は日本でも起こすことができる」という記事を「転成仁語」に載せましたので、併せて紹介します。 
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解散総選挙で「自民40議席減、過半数割れ」の調査結果は本物だった! 
党本部パニック、官邸は解散強行の姿勢崩さず
LITERA 2016年4月15日
 政府・自民党が、ある調査データをめぐってパニック状態に陥っている。先週末、党本部が調査会社を使ってひそかに行った衆院選の情勢調査データが想定を大きく下回り、“過半数割れ”の可能性が出てきたからだ。自民党関係者が打ち明ける。
 「現在の290議席から250議席へと40議席も減らすという数字が出たんです。しかもこのデータ、野党の選挙区調整を一切考慮していない。すでに共産党候補が出馬を取りやめ、民進党系の候補に共産党の基礎票が加わる選挙区がどんどん増えていますから、減らす議席は40にとどまらず、うちの獲得議席は過半数の240議席を割り込む可能性も出てきた。とても解散総選挙なんて打てない状況です」
 
 きのう(4月14日)の時点で「日刊ゲンダイ」がこの調査の存在をすっぱ抜き、「自民30~40議席減」とやや控えめに書いていたが、大手メディアは現時点でもこのデータを一切報道していない。
 が、この調査は本当に行われたものだった。実は、本サイトは12日の時点でこの調査データを入手し、官邸の反応を取材していたところだった。裏事情を交え、以下、レポートしよう。
 
 そもそも自民党が独自調査に乗り出したのは、衆参ダブル選挙の試金石となる、与野党全面対決の北海道5区補欠選挙をめぐる一件だった。前出の自民党関係者の話。
「実は4月初頭に、北海道新聞の調査で、自民党の和田義明候補が野党の池田真紀候補に4ポイント差で負けているという初めてのデータが出たんです。和田候補は町村信孝元官房長官の娘婿で、選挙は強いと思われていただけに、党本部は『そんなはずはない』と大慌て。そこで1週間後の先週末、北海道5区に限らず全選挙区で独自に調査をかけてみようとなった」
 その結果、やはり3ポイント差で和田氏が負けていたという。党独自の調査だと、自党に有利な調査結果が出るといわれる。そんな独自調査で和田氏に不利と出たのであれば、大ごとだ。
「北海道5区のデータは地元の和田事務所に伝え、陣営の尻を叩きました。そして党本部では谷垣禎一幹事長を中心に『安倍総理をどんどん現地入りさせろ』と注文を付けたんです。そうしたら官邸は『負ける選挙なら応援に入れたくない』と背を向けてしまった」(前出・自民党関係者)
 
 一方、党本部はこの北海道補選の調査と一緒に、全国の衆院選調査も行っており、その結果、出たのが、冒頭の40議席減という数字だった。しかし、全国の調査データは官邸が一時、ひた隠しにしていたようだ。官邸詰めの民放記者が言う。
「週明けの11日(月曜日)になって『党本部の調査データが出たらしい』という噂が飛び交ったんですが、本当に調査したのかどうかも分からないままでした。この日、官邸では北朝鮮のミサイル発射疑惑で騒然としていて、防衛省や外務省の幹部がひっきりなしに官邸入りしていて、それどころじゃなかった。ただ、そのなかに、内閣情報調査室の北村滋情報官が2度も官邸に来ていたんですね。そのうちの1回は北朝鮮問題ではなく、この選挙データの分析結果についてのご注進だったようです」
 
 さらに、本サイトがつかんだ情報では、この少し前に、自民党の谷垣禎一幹事長側が官邸に調査結果を突きつけて「解散を打つべきタイミングではない」と詰め寄ったという。ところが、官邸側の反応は意外なものだった。
「安倍総理を取り巻く今井尚哉秘書官らが『野党が勢い付いて、民進・共産の共闘が加速する前に解散に打って出るべきだ』と理解しがたいことを言い出しているんです。ここにきて、甘利明氏のあっせん利得事件に東京地検のメスが入ったでしょう。それで、逆にスキャンダルを吹き飛ばすために、解散総選挙でガラガラポンにしたほうがいいと考え始めたようです。小渕優子元経産相ら閣僚の不祥事が相次ぎ、あえて解散に踏み切った1年半前と同じ手口をやろうということのようです」(官邸関係者)
 
 ダブル選に慎重だった菅義偉官房長官も、今週になって「解散権は首相にしかない」と解散容認とも受け止められる発言に軌道修正している。もう一人の重鎮、麻生太郎財務相に至っては、解散に乗る気満々らしい。
「麻生さんの場合は敗けたら敗けたで、安倍首相を辞任に追い込んで、自分が首相に再登板するというそろばん勘定もあるのかもしれません」(前出・官邸関係者)
 
 いずれにしても、今回の調査結果流出は、官邸のこうした前のめりぶりを牽制しようと、自民党関係者が仕掛けたもののようだ。
「『解散総選挙で敗ける』ということになれば、党内に動揺が広がって、慎重論が台頭してきますからね。ただ、全国紙が官邸ににらまれるのを怖がって、この調査結果を一切書かなかったうえ、安倍首相自身は、調査なんて関係なく、どんどん解散へ前のめりになっている。この流れは変わらないんじゃないでしょうか」(政治ジャーナリスト)
 
アベノミクスの失策で景気悪化が深刻になっている中、安倍政権は延命を図るべくこの4年間に3度目の総選挙をやろうというのだから、あきれてモノが言えない。一度の総選挙にかかる費用は600億円超。4年間に2000億円の選挙費用が消える計算になる。そんな金が調達できるなら、どうして待機児童問題など焦眉の課題を解決しようとしないのか。
この政権に国の舵取りをこれ以上任せていたら、国民の幸福などお構いなく、破滅の道を進みかねない。今こそ「ストップ 安倍」を掲げなければならない。 (小和田三郎)
 
 
与党惨敗という韓国で起こった「選挙革命」は日本でも起こすことができる 
五十嵐仁の転成仁語 2016年4月15日
 昨夜、熊本県益城町で震度7、マグニチュード6.5という大きな地震が起きました。 震度7の激震は、阪神・淡路、中越沖地震、東日本大震災に続く4回目で、九州では初めてになります。
 今のところ、死者9人、負傷者は900人以上と伝えられていますが、被害はさらに増える見込みです。亡くなられたり負傷されたりした方、被災された方々にお見舞い申し上げます。
 
 他方、お隣の韓国は政治的な激震に見舞われたようです。13日に実施された総選挙で、与党である「セヌリ党」が衝撃的な惨敗を喫し、第一党の座を「共に民主党」に明け渡すことになりました。
 韓国の有権者は「1票の力」を限りなく発揮して、「選挙革命」を実現したと言って良いでしょう。国会は一院制でその定数は300議席ですが、「共に民主党」が123、「セヌリ党」122、「国民の党」38、正義党6、無所属11、無所属を除いた野党3党の獲得議席は167となり、16年ぶりに与野党が逆転して「与小野大国会」となったからです。
 その内訳は、小選挙区253のうち「共に民主党」が110、「セヌリ党」が105、「国民の党」が25、正義党が2、無所属が11議席となっています。また、比例代表では、「セヌリ党」が17議席、「共に民主党」と「国民の党」がそれぞれ13議席、正義党が4議席を獲得しました。
 
 この結果を伝える新聞には、「強権に反発」「若者らの怒り」「傲慢への国民的審判」などという見出しが並んでいました。毎日新聞は「比較的安定した支持を保っているように見えたが、独善的とも言われる政権運営に国民の拒否感が募っていたようだ」と書き、「政治はただ、国民だけを見て、国民だけを恐れなければならないという事実を忘れていたために起きたことだ」という与党代表の総括を伝えています。
 まるで、安倍政権のことを指しているような記事ばかりではありませんか。韓国での総選挙の結果は、これからの日本で起きることの予兆であり、日本でも同じような結果を引き出さなければなりません。
 韓国の例は、たとえ比較的安定した支持を得ているように見えても、政治的な大変動を引き起こすことができるということ、地域的な支持基盤や構造を大きく変えて与野党逆転を実現することは十分可能だということを示しています。しかも、小選挙区制の下で野党が分裂したにもかかわらず、そうなったということの意味は極めて大きいと言わなければなりません。
 
 このような結果が生じた要因の第1は、パククネ政権による経済政策の失敗と強権的な政治運営にあります。これは安倍政権によるアベノミクスの破綻と独裁的な政治スタイルという点で共通しています。
 第2に、若者の不満が高まり、若い世代が投票所に出向いて野党に投票したためです。昨年の安保法制に対する反対運動や将来に対する展望の無さを背景にした若者の不満の増大という点で、これも日本と共通していますが、その若者が投票所に足を運んで野党に投票するかどうかは、これからの問題です。
 第3に、このような政治的な変化が小選挙区制という制度によって増幅され、与党の「セヌリ党」は野党の「共に民主党」に第一党の座を明け渡すことになりました。これも参院選での1人区や衆院選での小選挙区という制度では共通していますが、野党が分裂しているのではなく共闘が進みつつあるという点で異なっています。
 
 参院選では1人区が32ありますが、その全てで野党共闘が実現すれば、韓国で現に生じたような政治的激震を生み出すことは十分に可能です。与野党の議席差は28しかありませんから、これをひっくりかえすには野党が与党から15議席を奪いさえすればよいのですから。
 衆院選でも小選挙区での勝敗がカギになります。今日の朝日新聞には、衆院選の前回票を合算すれば、59議席が逆転するとの試算が報じられています。
 その結果、野党は107議席、与党は172議席となって、「比例区の議席を加味しても、衆院での再可決が可能で、憲法改正の国会発議に必要な3分の2議席を確保するのは難しくなりそうだ」と朝日新聞は書いています。そうなれば、安倍首相は政治責任を問われて退陣せざるを得なくなるでしょう。
 しかし、参院選はともかく衆院選では、民進党と共産党を軸に選挙共闘が実現できる具体的なメドはたっていません。ここでもカギを握っているのは民進党であり、アベ政治をストップできるチャンスを生かすかどうか、その本気度が試されているということになるでしょう。
 
 若者などこれまで投票に行かなかった人が投票所に足を運び、これまで与党に入れていた人が野党に投票すれば、その1票は大きな力を発揮して政治を劇的に変え「選挙革命」を実現できるという実例を韓国の総選挙は示しました。それを次の参院選(衆参同日選挙?)で、この日本でも示そうではありませんか。
 そして、「比較的安定した支持を保っているように見えたが、独善的とも言われる政権運営に国民の拒否感が募っていたようだ」と、新聞に書かせましょう。与党の責任者が「政治はただ、国民だけを見て、国民だけを恐れなければならないという事実を忘れていたために起きたことだ」と総括せざるを得ないような選挙結果を、ぜひこの日本でももたらしたいものです。