2016年4月3日日曜日

03- 日銀短観 景況感悪化13年以来の水準に

 アベノミクスは完全に破綻
 
 1日に発表された日銀短観(6月末時点の予測)によると、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)は、大企業・製造業が6下がってプラス6ポイントとなり、異次元緩和導入直後の13年6月調査(プラス4)以来の水準に低下しました。
 「はん用機械」「生産用機械」「業務用機械」が5〜10ポイント悪化。「鉄鋼」が22ポイント、「化学」が10ポイント低下した。円高のダメージを受ける輸出型産業の「自動車」「電気機械」も6〜10ポイント悪化しました。
 大企業・非製造業では「建設」「不動産」は2〜4ポイント改善したものの、「小売り」や「宿泊・飲食サービス」がそれぞれ4ポイントと10ポイント悪化しました。
 中小企業は、製造業がマイナス4と前回から4ポイント悪化し、14年9月調査(マイナス1)以来のマイナスに転じ、非製造業もプラス4と1ポイント悪化しました。 
 
 「アベノミクス」は円安・株高による企業の高収益を背景に演出されましたが、16年度の企業収益は減収減益に転じる見通しで、設備投資や賃上げの動きが停滞する見込みで、破綻は明らかです。 
 日銀が2月16日に導入したマイナス金利政策は必ずしも実体経済に好影響を与えていません。
 毎日新聞としんぶん赤旗の記事を紹介します。
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日銀短観 景況感2期ぶり悪化 
大企業・製造業、13年以来の水準 3月
毎日新聞2016年4月1日
 日銀が1日発表した3月の企業短期経済観測調査(短観)によると、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)は、大企業・製造業プラス6と2四半期ぶりに悪化した。日銀が2013年4月に異次元緩和を導入した直後の13年6月調査(プラス4)以来の水準に低下。大企業・非製造業もプラス22と6四半期ぶりに悪化。新興国経済の減速や年明け以降の円高・株安を背景に、輸出企業をはじめ幅広い業種で景況感が悪化していることが鮮明となった。【中井正裕】 
 
 大企業・製造業のDIは、16業種のうち10業種が悪化した。 
 中国など新興国の設備投資の鈍化を受け、「はん用機械」「生産用機械」「業務用機械」が5〜10ポイント悪化。中国の過剰生産の影響を受ける「鉄鋼」が22ポイント、「化学」が10ポイント低下した。円高のダメージを受ける輸出型産業の「自動車」「電気機械」も6〜10ポイント悪化した。改善は円高や原材料安の恩恵を受ける「食料品」「繊維」など4業種にとどまった。 
 
 大企業・非製造業12業種のうち7業種が悪化。個人消費の低迷や、訪日外国人によるインバウンド消費の伸び率鈍化などで「小売り」や「宿泊・飲食サービス」がそれぞれ4ポイントと10ポイント悪化。日銀のマイナス金利政策に伴う金利低下の恩恵を受けやすい「建設」「不動産」は2〜4ポイント改善した。 
 
 中小企業のDIは、製造業がマイナス4と前回から4ポイント悪化し、14年9月調査(マイナス1)以来のマイナスに転じた。非製造業もプラス4と1ポイント悪化した。 
 
 大企業の15年度の経常利益は前年度比3・9%増と6年連続で増益の見通し。好調な業績を背景に15年度設備投資計画は前年度比9・8%増と06年度(同11・9%増)以来の高水準となった。一方、業況感の前提となる16年度の想定為替レートは1ドル=117円46銭と、15年度の通期見通し(119円80銭)から円高方向に修正された。新興国経済の減速や円高予想を受け、大企業の16年度業績見通しは売上高が0・4%減、経常利益が2%減の減収減益見通しとなった。 
 
■解説 
増税判断に影響も 
 日銀の3月短観は、新興国の経済減速や原油安に伴う年明け以降の金融市場の動揺を受け、2012年末の安倍政権発足以来の円安・株高の流れが反転したことで、輸出企業を中心に景況感が大幅に悪化した。15年度までの高収益を背景に企業の設備投資意欲はなお底堅いものの、世界経済の先行き不透明感は強まっており、政府の追加経済対策や来年4月の消費増税先送りの判断に影響を与える可能性がある。 
 外国為替市場では、昨年末から今年3月末にかけて1ドル=120円前後から110円台前半まで円高・ドル安が進展した。15年10〜12月期の実質国内総生産(GDP)は年率換算で前期比1・1%減と2期ぶりのマイナス成長となり、消費や生産がさえない状況も続いている。3月短観では、3カ月後の先行きDIが大企業の製造業で3ポイント悪化、非製造業で5ポイント悪化を見込んでおり、日本経済の停滞感が強まっている。 
 
 アベノミクスによる景気回復は円安・株高を背景とした企業の高収益が起点となっていた。しかし、16年度の企業収益は減収減益に転じる見通しとなり、今後、設備投資や賃上げの動きが停滞するリスクも高まっている。 
 
 日銀が2月16日に導入したマイナス金利政策は必ずしも実体経済に好影響を与えておらず、景況感の下支えにもつながっていない。今後、政府の景気てこ入れ策や日銀の追加緩和への期待が市場で高まりそうだ。【中井正裕】  
 
 
大企業も景況感悪化 日銀短観 13年以来の低水準
  アベノミクス 三つの破綻明白
しんぶん赤旗2016年4月2日
 日本銀行が1日発表した3月の全国企業短期経済観測調査(短観)によると、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)は、大企業、中小企業とも前回の昨年12月調査よりも悪化し、総崩れ状態になりました。大企業製造業は、前回調査を6ポイント下回るプラス6で、2013年6月調査(プラス4)以来の低水準を記録しました。
 台東区上野公園。子連れで花見を楽しむ30代の夫婦は、「大企業は好況を感じているようだけど、私たちアベノミクス効果は感じません」と口をそろえました。1日発表の日銀短観には、この大企業の好況感すらも悪化している様相が示されました。
 消費税大増税路線と社会保障の切り捨てで家計は負担増を強いられています。経済財政諮問会議の民間議員である新浪剛史サントリーホールディングス会長も「個人の消費力は非常に厳し(い)」(3月24日の会合)といわざるを得ない状況です。
 
 安倍政権は「大企業がもうけをあげれば、いずれ家計にまわる」としてきました。しかし、大企業は利益をあげても内部にため込むだけで、賃金の本格的引き上げには後ろ向きの姿勢を続けてきました。いわゆる「トリクルダウン」(したたり落ち)は起きず、いよいよ大企業の景況感も後退し始めたのです。
 
 日本銀行の「異次元の金融緩和」は、「マイナス金利」を実施するに至りました。日銀審議委員からも「金融機関や預金者の混乱・不安を高める」との声があがるほどです。
  (1) 消費税大増税路線
  (2) 「トリクルダウン」
  (3) 「異次元の金融緩和」
 ―自民・公明政権の三つの経済政策の破綻は明白です。大企業頼みの経済運営を転換し、経済に民主主義を貫き、貧困と格差を正すことこそが必要です。 (金子豊弘)
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