世界最大の年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)のトップ(理事長)は、昨年、年間報酬額を6割強も引き上げました。この時代に恐るべきことです。きっと独立行政法人の特権だとでも思っているのでしょう。そしてGPIFに限ったことでもないのでしょう。
そのGPIFが昨年後半から年金の株式投資の結果が思わしくなくなったからでしょう、これまで年4回運用実績を公表してきたのを年1回に減らそうとしているということです。
曰く-四半期ごとに公表する意味がないから-ということですが、意味云々の問題ではなくて、公金の運用状況を隠蔽することは許されません。これまでも公務員の年金運用には全く損失が付かずに、損失を繰り返しているのは公務員以外の年金だという不公平な処理が行われてきました。
公金を公平に運用することは初歩中の初歩の問題です。
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年4回の公表を1回に GPIFがもくろむ運用損の“隠蔽”工作
日刊ゲンダイ 2016年4月17日
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が、損失隠しに躍起になっている。これまで、運用実績を四半期ごとに年4回発表していたが、通期のみの年1回に減らそうというのだ。
GPIFは15日、3月10日に行われた運用委員会の議事録をホームページで公開。委員からはこんな声が上がっていたようだ。
〈長期運用なので、四半期で公表すること自体がそんなに意味があるのか〉〈四半期ごとに公表するのは良いが、『損・得』という出し方はいかがなものか〉〈四半期毎に運用実績の数字を出すのは、損得という意味のない誤解を招くという点で、あまり賛成ではない〉
2015年度の損失は5兆円に上るとみられ、15年度第3四半期は7・8兆円のマイナスだった。原因は、株式での運用比率を倍増させたことだ。GPIFはどうしても損失を公表したくないのだろう。そんなに運用に自信を持てないでいるのか。
この日、都内で行われたGPIFへのヒアリングを開催した民進党の山井和則衆院議員はこう言う。
「国民の年金を預かっているのだから、本来は公表の機会をさらに増やし、透明性を確保するべきでしょう。それを年1回に減らすというのだから、国民をバカにしている。損失の隠蔽以外の何ものでもありません」
国民の年金を原資にギャンブル――「5兆円負けちゃいました」ではとても済まされない。