松本文明内閣府副大臣(67)は現地対策本部長として15日に現地に乗り込んだのですが、着く早々に「全避難者を屋内避難させるように」と知事に要求しました。蒲島知事に「余震が怖くて部屋の中にいられないから屋外に出ているんだ」と反発されると、住民の恐怖などまだ何もわからないうちに「大臣命令だ!」と上から目線で威張り散らしたということです。これでは現場で浮き上がってしまいます。
そして配給された食事がおにぎりだけだと、「こんな食事じゃ戦はできない」と待遇への不満を繰り返し、翌16日の本震の後に行われた県と政府のテレビ会議を利用して、河野防災大臣に「食べるものがない。これでは戦えない。近くの議員に差し入れをお願いして欲しい」と依頼して周囲の顰蹙を買いました。
さらに、支援物資が各地の避難場所にスムーズに行き渡らないと、「物資は十分持ってきているんだ。被災者に行き届かないのはあんたらの責任だ。政府に文句を言うな」と荒れました。
これでは現地は復旧に集中したいのに、政府から余計な荷物を押し付けられたようなものです。当然、現地の報道陣へのブリーフィングもほとんど中身がありませんでした。
現地からクレームがあったのでしょう、ついに官邸もたまりかねて20日に松本氏を事実上更迭し、新たに酒井庸行内閣府政務官を送り込みました。松本氏はもう十分に汚名を着たと思うのですが、官邸が早めに彼を隠した理由は、彼が安倍首相の“子飼い”の議員=安倍氏の出身派閥の細田派の議員で、首相が会長をつとめる創生「日本」にも所属=で、選挙でも首相自ら応援演説を行うなどしているので、これ以上評判を落とさないようにという意図からです。いずれにしてもお粗末極まる話です。
ところで、先に「保育園落ちた」のブログに対し、「まぁ、落書きですね」、「生んだのはあなたでしょう」、「親の責任でしょ、まずは」などの暴言を浴びせた山田宏氏(参院選自民党比例区代表候補予定)は、「週刊文春」4月28日号で「愛人&隠し子&泥沼離婚裁判のトリプルスキャンダル」を報じられたばかりですが、その山田氏も「日本会議議員懇談会」のメンバーで、改憲、安保、愛国心教育など、思想的にも安倍首相と非常に近く、安倍氏はその発言力や京大・松下塾のコネクションを買って、いち早く彼に自民党参議院全国区支部長というポストを与えたということです。
こういう人格を疑われるような話もそれこそ伏せておきたかったことでしょうが、こちらの方は既に週刊誌に載ったのでもはや隠しようもありません。(山田氏についてもリテラ紙が別建てで記事にしているのでそちらを参照してください ⇒ http://lite-ra.com/2016/04/post-2177.html )
松本文明 副大臣に関するLITERAの記事を紹介します。
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松本文明副大臣が熊本の職員にも自分の食事が足りないと無理難題!
「政府に文句言うな」暴言も…安倍“子飼い”議員の典型
LITERA 2016年4月21日
熊本大地震の政府対応で、呆気にとられるような問題が浮上した。政府の代表として現地対策本部長を務めていた松本文明内閣府副大臣が、16日の本震の後に行われた県と政府のテレビ会議において、河野太郎防災大臣に被災者対応を差し置き、こんな申し出を行っていたというのだ。
「食べるものがない。これでは戦えない。近くの先生(国会議員)に差し入れをお願いして欲しい」
当時、被災地では食料や物資が不足し、多くの被災した人びとが満足に食事を摂れていないことが問題化しており、おにぎり一個で1日を過ごす人もいるような状況だった。くわえて、新たに発生した大地震の打撃は大きく、迅速に物資不足解決の検討が求められていた。そんな差し迫った状況で、政府に被災地の惨状を訴えるでもなく「自分への差し入れ」を要望していたのである。
しかも、西日本新聞の報道によると、松本副内閣相は配給がおにぎりのみだった際に「こんな食事じゃ戦はできない」と述べるなど、〈待遇の不満を何度も口に〉していたというのだ。
さらに、地元の自治体職員に対しても、支援物資の配布について、こう怒鳴り散らしていたという。
「物資は十分持ってきているので足りているんだ。被災者に行き届かないのは、あんたらの責任だ。政府に文句は言うな」
自分が助けるべき被災者がおにぎりひとつで我慢をしている最中に「こんな食事じゃ戦はできない」と怒り、対処すべき問題を地元の職員(無論、職員たちも被災者である)に押し付け、挙げ句「政府に文句は言うな」とは……。これが政府の代表とは、とんだ恥知らずである。
そもそも、最初の地震発生当時から松本副内閣相の行動は怒りを買っていた。15日に政府の意向を受け、被災地入りした松本副内閣相は熊本県の蒲島郁夫知事と面会するなり、「今日中に青空避難所というのは解消してくれ」と指示。これに対して蒲島知事は、「避難所が足りなくてみなさんがあそこに出たわけではない。余震が怖くて部屋の中にいられないから出たんだ。現場の気持ちがわかっていない」と不信感を露わにした。
本来なら、唯一、被災地入りした松本副内閣相は、政府の意向を一方的に押し付けるのではなく、逆に一刻も早く事態の把握につとめ被災地の現状を政府に伝える役割を果たすべきだった。だが、松本副内閣相は“政府の伝書鳩”という怠慢な態度をとった。「現場の気持ちがわかっていない」という蒲島知事の怒りは当然であり、ついに松本副内閣相は最後まで被災地の気持ちを理解しないばかりか、“副大臣様に対してもてなしが足りない” “国は物資を出しているんだから、あとはお前たちの問題。国に文句は言うな”というような信じられない態度を取りつづけたのだ。
もちろん、熊本県や被災自治体からは「松本氏が震災対応の邪魔になっている」という声が上がっていた。そうした実情を官邸も把握しており、事実、松本副内閣相は政権幹部に「怒鳴ってしまいました。すみません」と電話で謝罪したのだという。まず、自治体職員や被災者たちに謝るべきだと思うが、松本副内閣相は自分の保身しか考えていないようだ。
とはいえ、“保身”に走っているのは政権も同じだ。昨日20日、政府は現地対策本部長を松本副内閣相から酒井庸行内閣府政務官に交代すると発表し、菅義偉官房長官は「昼夜違わず陣頭指揮をしており、体力的なもの。長引けばまた途中で交代する」と説明。しかし、これまで述べてきたとおり、被災地ではすでに松本副内閣相の横暴な振る舞いが問題視され、そうした情報を汲み取っていた官邸が今回、交代に踏み切った。つまり、問題行動を理由にした事実上の「更迭」だったわけだ。
だが、政権は口が裂けても更迭だと認めるわけにはいかないだろう。それでなくても、政権の災害対策に対する初動の甘さや、被災地を利用したオスプレイの“政治パフォーマンス”、被災地視察を延期しながらTPP審議を優先させた件、そして激甚災害指定を渋る態度など、政権への不信感は高まるばかり。その上、24日には参院選の前哨戦である衆院補欠選挙がある。実際、西日本新聞の取材に対し、ある政府関係者は「(このまま松本副内閣相が本部長を務めれば)政権に大打撃となる。早め早めに手を打った」と語っている。
しかも、官邸が早めに松本副内閣相を隠した最大の理由は、松本氏が安倍首相の“子飼い”議員の典型だったためだろう。松本氏は安倍首相の出身派閥である細田派の議員で、安倍首相が会長をつとめ、子飼い議員が多数所属する右派の国会議員連盟、創生「日本」にも属している。
松本氏は2012年の選挙では東京7区で敗れ、比例復活でなんとか当選したが、第二次安倍政権で総務大臣政務官に抜擢された。選挙でも安倍首相自ら応援演説を行うなど、松本氏を一貫してバックアップしてきた。
そうした“子飼い”たる副大臣の不祥事は、なんとしても表沙汰にするわけにはいかない。結局、こんなときでも安倍政権が見ているのは、被災地ではなく、内閣支持率という数字や選挙なのだ。
松本副内閣相の振る舞いは言語道断であり、副大臣辞任もおかしくないほどの問題だが、それ以外にも、今回の大地震の初動において安倍政権が被災地の声を汲み取らず屋内避難を一方的に指示したことなど、政府の対応に問題はなかったのか、きちんと責任が追及されるべきだ。これ以上、安倍政権の被災地無視の態度を許していてはいけないだろう。 (水井多賀子)