総務省の消費者物価指数の数字をみると物価はほとんど上がっていないように見えます。
しかし、実際に私たちが買い物をしている中では、モノの値段がビックリ仰天するほど上がっています。
ある主婦がここ数年の食料品の値上がりぶりをレポートしています。
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スーパーの店頭で 起きている詐欺
辻井裕子(主婦) 田中龍作ジャーナル 2016年4月21日
最近、スーパーに行くと、「ありえへん!」と、のけぞるような衝撃を受けることはないですか?
たとえば、竹輪。
よくある5本入りの商品をみると、従来の商品とおおむね同じパッケージデザインなのに、なんと、その中身の竹輪一本一本のサイズが極端に小さくなっています。つまり総内容量が明らかに減っているんです。それにもかかわらず、値段をみる と、(数年前なら通常価格で178円前後だったものが)今は228円~248円くらいに値上がりしています。
また、お魚ソーセージ。
よくある4本 入りの商品をみると、これもまた従来の商品とおおむね同じパッケージデザインなのに、一本一本が目にみえてサイズダウンしていて、総内容 量が激減しています。それにもかかわらず、(数年前なら、通常価格で158円前後 だったものが)今は198円くらいに値上がりしています。
さらには、バター。
数年前に総内容量が245gくらいだった商品が、今では200gに減っているのに、(通常価格で250円前後だったものが)300円 以上に値上がりしています。これもまた、従来の商品とおおむね同じパッケージデザインなんです。
野菜も同様です。たとえば、ピーマン。
数年前までは、1パック4~5個入りだった商品が、今では3~4個入りに目減りしているの に、(通常価格で90円前後だったものが)140円 くらいに値上がりしています。
それぞれの商品は一見すると、従来の商品とおおむね同じパッケージデザインなので、内容量が減っている事実に気づかないまま、(従来と同じ内容量だと勘違いして)購入している人も多いかもしれません。
食品企業は「商品の値上げは企業努力で最小限にしております」という美辞麗句を並べながら、その実、従来商品とほぼ同じパッケージデザインで消費者を騙し(印象操作し)、内容量をコッソリ減らしている事実を誤魔化そうとしているわけです。
総務省の消費者物価指数の数字をみると、物価がほとんど上がっていないように見えます。しかし、先に述べた通り、実際に私たちが買い物をしている中では、モノの値段がビックリ仰天するほど上がっていることは紛れもない事実です。
政府も食品企業も、お得意の数字のマジックとか、印象操作などを駆使して、狡猾に私たちを騙しているとしか思えません。
さらに、このように、総内容量が2~3割ほど減っているのに、逆に価格は2~3割値上がりしている状況は、あらゆる食品に関しても起きています。
主婦感覚の実感としては、
「数年前と同じ内容量を購入したいと思うと、以前のほぼ倍の出費がかかっている感じ」
「政府の発表する物価の変動なんて、実態とはまったくかけ離れている」・・・というのが共通の認識です。
たとえば、お鍋を作ろうと思って、家族4人分の容量600gの鶏モモ肉を買うとします。
数年前だと、100g当たり通常価格で100円前後だったと思います。だから、単純計算すると、(100円/100gあたり×6=)600円くらいで購入 できました。
ところが今は、100gあたり通常価格で160円前後。だから、単純計算すると、(160円 /100gあたり×6=) 960円くらい支払わされてしまいます。
また、肉野菜炒めを作ろうと思って、家族4人分の容量400gの豚バラ肉を買うとします。
数年前だと、100g当たり通常価格で100円前後。だから、単純計算すると、(100円 /100gあたり×4=) 400円くらいで購入できました。
ところが今は、100gあたり通常価格で250円前後。だから、単純計算すると、(250円 /100gあたり×4=) 1,000円くらい支払わされてしまいます。
こうした値上げの影響で、仮に家計支出が、ひと月あたり10,000円 増えるとすると、1年で120,000円の家計損失です。
一方、収入の方はどうか?
「サラリーマン平均年収の推移」をみてください。会社員でさえ、ほとんど収入は増えていません。非正規社員が4割以上と激増している昨今、総合的にみると庶民の収入は減少していることになります。
非正規の方々の年収は、平均で168万円。正規社員の年収よりも300万円近く安く、食品の値上がりは生死を分かつほど深刻な打撃をもたらす大問題と言えます。
大多数の庶民の生活が苦しくなっているのに、生きていくために不可欠な食品の価格がべらぼうに値上がりし続けている現状は看過できるレベルの問題ではありません。
~終わり~