元米海兵隊員による女性暴行殺人遺体遺棄事件を受け、「基地・軍隊を許さない行動する女たちの会」などは36団体が22日、被害女性への追悼と米軍の撤退を求める抗議集会を開きました。
黒と白の服装に身を包んだ約1200人が、在沖米軍司令部のあるキャンプ瑞慶覧ゲート前を埋め尽くし、国道を静かに行進しました。
21日には、米軍普天間飛行場の辺野古移設計画の断念を求める「レジスタンス大行動」が霞ヶ関の警視庁・警察庁前と国土交通省・海上保安庁前で開かれました。
集会は当初、辺野古の新基地建設現場での警視庁機動隊や海上保安庁の過剰警備に抗議する趣旨でしたが、米軍属女性暴行殺人事件を受けて憤りの声が多く上がりました。
クリントン政権時代に元米国防長官を務めたペリー氏が20日、サンフランシスコ近郊で東京新聞のインタビューに応じ、沖縄の女性殺害の疑いで元米海兵隊員が逮捕された事件を受け、「カーター現国防長官は心からの謝罪を行い、再発防止に取り組むべきだ」と強調しました。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
【電子号外】米軍司令部前で沈黙抗議 米軍属女性遺棄事件で緊急集会
琉球新報 2016年5月22日
米軍属女性死体遺棄事件を受け、「基地・軍隊を許さない行動する女たちの会」(高里鈴代、糸数慶子共同代表)など36団体は22日午後2時、在沖米四軍調整官事務所がある北中城村の米軍キャンプ瑞慶覧ゲート前で「元米海兵隊兵士の事件被害者を追悼し、米軍の撤退を求める集会」を開いた。参加者は白と黒の服装、黒い喪章でゲート前に立ち並び、静かに被害女性を追悼すると同時に、県内にある全ての基地と軍隊の撤去を求めた。
主催団体には「基地・軍隊を許さない行動する女たちの会」のほか、ワンストップ支援センターの設立を強く望む会、強姦救援センター・沖縄(REICO)、県女性団体連絡協議会などが名を連ね、多くの女性が参加した。
逮捕されたシンザト・ケネス・フランクリン容疑者(32)は暴行や殺害を認める供述をしており、参加者は、繰り返される米軍人・軍属による女性暴行事件に抗議の意思を示した。
高里共同代表は、被害者女性に対する追悼の気持ちを述べた後「彼女(被害者女性)がどれほどの恐怖と苦しみの中にあったのか、荒ぶるような心を鎮めることができない」と事件を糾弾した。
声明文は、被害者を取り巻く人々への謝罪とケアが丁寧に行われること、真実が究明され、加害者への処罰が厳正に行われること、沖縄に暮らす人々の真に安全な社会を実現するため、沖縄から全ての基地・軍隊を撤去することなどを要求した。
東京でも憤りの声 海保、警視庁前で新基地反対集会
琉球新報 2016年5月22日
【東京】米軍普天間飛行場の辺野古移設計画の断念を求め、市民団体が呼び掛けた「レジスタンス大行動」が21日、霞ヶ関の警視庁・警察庁前と国土交通省・海上保安庁前で開かれた。集会は当初、名護市辺野古の新基地建設現場での警視庁機動隊や海上保安庁の過剰警備に抗議する趣旨だったが、米軍属女性死体遺棄事件を受けて憤りの声が多く上がった。登壇者が事件について「基地を許すわけにはいかない」「全基地撤去が必要だ」と声を上げると、事件を思い目頭を押さえる参加者の姿もあった。
行動は2カ所同時進行で実施された。警視庁・警察庁前では、三線の音色にのせた「沖縄を返せ」の合唱から始まった。多くの警察官らが警備に当たる中、参加者らは肩を組んで歌ったり、プラカードを掲げたりと、思い思いの表現で新基地建設反対を訴えていた。
登壇した園良太さんは「事件があり、辺野古のゲート前では米兵を外に出させないよう座り込んで非暴力、不服従の闘いを続けている。沖縄に基地を押しつけている政府がある首都圏で暴力を許さない行動をして連帯していこう」と語気を強めて語りかけた。
集会に参加していた渡辺学さん(33)=荒川区、介護職=は「東京に住んでいる者として、米軍基地も基地に反対する運動も沖縄だけに押し付けるわけにはいかない」と語り、本土の人が当事者意識を持つことが必要だと訴えた。
海上保安庁、国交省前で参加していた小林倫子(ともこ)さん(26)=小金井市、会社員=は沖縄の基地問題に関心を持っており、今回の事件を受けて「これ以上我慢できない」との思いで集会を見守っていた。小林さんは「沖縄の基地の問題は日本社会全体の問題だ。こうして東京で声を上げることによって、可視化し、多くの人が問題に気付いてくれることにつながると思う。一緒に声を上げる人が増えてほしい」と語った。
「米政府は心から謝罪を」 沖縄遺棄事件でペリー元国防長官
東京新聞 2016年5月22日
【サンフランシスコ=石川智規】 ペリー元米国防長官(88)が二十日(日本時間二十一日)、サンフランシスコ近郊で本紙のインタビューに応じ、沖縄県うるま市の女性会社員の遺体を遺棄した疑いで元米海兵隊員の軍属の男が逮捕された事件を受け「カーター現国防長官は心からの謝罪を行い、再発防止に取り組むべきだ」と強調した。
ペリー氏は「今回のようなひどい事件が起きたとき(国防長官には)二つの責任がある。個人的に誠実に深く謝罪し、同時に、再発の可能性を抑えるための措置を取らねばならない」と指摘。その上で、米兵だけでなく、軍属も含めて「規律」を求める必要があるとした。
ペリー氏は、一九九五年に沖縄県の小学生の女児が米兵三人に暴行された事件当時の国防長官。「身の毛のよだつような事件だった」と当時を振り返り、「私はすぐにワシントンをたって東京へ飛び、家族と日本のみなさんに個人的に謝罪した」と語った。
少女暴行事件をきっかけに日米両政府は米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)の全面返還で一致し、ペリー氏はその意思決定にも関わった。「事件後に日米両政府に返還交渉を早く進めるよう促した。移設がいまだに進んでいないことに驚いている」とも述べた。
今回の事件をきっかけに沖縄で米軍基地に反対する声が再燃している現状については「われわれ(米軍)は、日本の安全保障のために日本にいる必要があると考えるから駐留しているのであり、日米両政府はその必要性をあらためて明言すべきだ」と指摘。「われわれが駐留を望んでいるのではない。もし日本政府が、安全保障にとって必要がないと考えるのなら、われわれは出ていくべきだ」と主張した。
一方、オバマ米大統領が二十七日に予定する被爆地・広島への訪問では、被爆者と会うことが望まれるとした上で「核兵器が人類にとっていかに破壊的なものであるかを現地で指摘し、二度と核兵器が使われないよう(世界に向けて)強い意志を表明するべきだ」と語った。
◆少女暴行事件時現職 普天間合意に関与
<ウィリアム・ペリー> 1927年10月生まれ。米国のクリントン政権で、94年2月から97年1月まで国防 長官を務めた。任期中の95年、沖縄県の少女暴行事件が起き、在日米軍の再発防止策に取り組むとともに、普天間飛行場返還などの政策決定に携わった。
ペリー氏ら元米政府高官4人が核廃絶を訴えた新聞への寄稿が、2009年にオバマ米大統領がプラハで訴えた「核兵器なき世界」の演説に大きな影響を与えたことでも知られる。現在は米スタンフォード大学名誉教授。