2016年5月13日金曜日

「日本国憲法」と「自民改憲案」はまるで水と油

 「アエラ」 5月16日号に、自民党の改憲案を批判する、”まるで水と油・・・「日本国憲法」と自民党「改憲草案」は違い過ぎる?”という記事が載りました。ブログ:「dot.コム」 が、その概要を紹介していますのでここに転載します。
 そのなかで、青井未帆学習院大教授が、現憲法と自民草案の違いについて「この二つは、よって立つ理念が異なっていて、まるで水と油のように別なもの」、「現憲法では、個人の自由や権利は何よりも尊重されるべきものとされ、国家はその最大の侵害者として考えられている」のに対して、自民草案は「国家と国民が同じ方向を向くものという印象がある」「自民草案には、国家があって個人がある、という価値観の転換がある」、述べています
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まるで水と油・・・「日本国憲法」と自民党「改憲草案」は違い過ぎる?
〈AERA〉
dot.コム  2016年5月11日
 改憲に向けて、すでに憲法改正草案を示している自民党。しかし前文からして、現在の日本国憲法と自民党草案は全く異なっており「水と油のようだ」と専門家は指摘する。
 
 3月1日の衆院予算委員会で、改憲の目的について問われた安倍晋三首相はこう言った。
「我々はすでに憲法改正草案を示している」
 それが、2012年4月に発表された「日本国憲法改正草案」だ。結党以来、「憲法の自主的改正」を党の使命に掲げてきた自民党が、現憲法を全面的に書き換えたものだ。発表当時は野党だったが、安倍首相は3月、自民党総裁任期の18年9月までに「(憲法改正を)成し遂げたい」と発言、この夏の参院選の結果次第では「草案」が憲法になることも現実味を帯びてきた。
 
 改憲といえば9条ばかりが話題になるが、ほかの条文はどうなのか。自民草案からは、この国の形が根底から変わってしまう可能性さえ見えてくる。
 憲法学者で学習院大学大学院法務研究科教授の青井未帆さんは、現憲法と自民草案の違いについてこう指摘する。
「この二つは、よって立つ理念が異なっていて、まるで水と油のように別なものです」
 現憲法では、個人の自由や権利は何よりも尊重されるべきものとされ、国家はその最大の侵害者として考えられているからこそ、好き勝手できないよう憲法で政治や国家を縛っている。これが「立憲主義」と呼ばれる近代憲法の精神だ。国家と国民が対峙しているイメージだが、自民草案は「国家と国民が同じ方向を向くものという印象がある」(青井さん)という。
 確かに自民草案の前文を読むと、「日本国民は、国と郷土を誇りと気概を持って自ら守り」「我々は~活力ある経済活動を通じて国を成長させる」「日本国民は、良き伝統と我々の国家を末永く子孫に継承するため」など、国民は国のために尽くすもの、という印象を抱く。
 
 さらに前文冒頭を読み比べてみても、「日本国民は~」と国民が主語の現憲法に対し、自民草案は「日本国は~」と国家が主語に書き換えられている。
 自民党がネット上でも公表している「日本国憲法改正草案Q&A(増補版)」には、「人権を保障するために権力を制限するという、立憲主義の考え方を何ら否定するものではありません」とあるが、青井さんは言う。
自民草案には、国家があって個人がある、という価値観の転換があります。ここは注意して見ていかなければなりません」(アエラ編集部)
※AERA 2016年5月16日号より抜粋