2016年5月21日土曜日

米軍基地の全面撤去以外にない(目取真俊氏)、謝罪なき広島訪問に抗議(植草一秀氏)

 米軍基地の町・沖縄で、元海兵隊員の米軍属によって20歳の女性が命を奪われるという凶悪事件が引き起こされました。
 沖縄県出身の芥川賞作家で基地反対の活動家でもある目取真俊氏が、「米軍基地の全面撤去以外にない」とする怒りのブログを発表しました。
 
 かねてからオバマ大統領の「謝罪なき広島訪問」を批判してきた植草一秀氏も、「この状況下でオバマ大統領は沖縄に謝罪することもせず、沖縄の米軍基地建設推進を強要するのか」と、怒りのブログを書きました。
 二つのブログを紹介します。
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米軍基地の全面撤去以外にない
目取真俊 海鳴りの島から 2016年5月20日
 講演のため横浜に来ているのだが、沖縄を発つ前から気になっていたうるま市の女性行方不明事件は、最悪の結果となってしまった。容疑者の元海兵隊員の米軍属は、嘉手納基地に勤めているという。米軍基地がなければ、このような犯罪は最初から起りはしない。基地あるが故の犯罪がいつまでくり返されるのか。
 
 今年3月にもキャンプ・シュワーブ所属の海軍兵によるレイプ事件が起こっている。辺野古新基地建設が中断したと思ったら、米軍関係者による凶悪事件が連続して起こっている。沖縄戦から71年が経っても、沖縄に米軍基地が集中し、米軍犯罪の被害者が生み出され続けている。
 
 辺野古新基地建設、高江ヘリパッド建設への阻止だけではない。沖縄の全米軍基地の撤去をめざして沖縄県民は全力を尽くす時だ。怒りを行動として示さなければ、日本政府は事件をもみ消して、見せかけの謝罪で終わらせようとする。それではいつまでも米軍犯罪から抜けだせない。
 
 大手メディアの報道を見ていると、オバマ大統領の訪日への影響を強調し、この事件の影響が拡大するのを食い止めようという動きが早くからみられる。事件の凶悪さだけではない。なぜこのような米軍犯罪が沖縄で連続するのか。沖縄に米軍基地を押しつけて成り立っている日本の安全保障体制を根本から問わずに、メディアは何の役割を果たすのか。
 
 
謝罪なき広島訪問を政治利用する「ゲスの極み」
植草一秀の「知られざる真実」 2016年5月20日
5月7日付ブログ記事 「知られざる原爆投下の真実とオバマ広島訪問」
メルマガ記事 「米国は日本への原爆2発投下を目的に行動した」 http://foomii.com/00050 
にオバマ大統領が伊勢志摩サミット出席のために訪日する際に、5月27日午後ないし5月28日午前に、広島を訪問する可能性が高いと記述した。
そして、その通り、オバマ大統領は5月27日午後に広島を訪問することが公表された。
 
記事では、次のように記述した。
「伊勢志摩サミット参加のために来日するオバマ米大統領による広島訪問についての情報が観察されている。米国はオバマ大統領の広島訪問を検討していることを明らかにしている。しかし、謝罪はしないとの方針も明示している。」
「原爆投下によって無辜の市民が一瞬にして数十万人単位で殺戮され、その後もおびただしい数の放射能被害者を死や苦しみに追い込んだ。このことに日本政府は抗議せず、米国は謝罪していない。この現実に手を付けぬまま、オバマ大統領の広島訪問だけが実行されようとしている。欺瞞に満ち溢れていると言わざるを得ない。」
 
米国の原爆投下を日本政府が抗議せず、米国も謝罪していない。では、オバマ大統領は何を目的に広島を訪問するのか。
原爆の威力がどの程度あったのかを、自分の目で見物するために広島を訪問するとでも言うのか。
 
沖縄では、20歳の女性の死体を遺棄した容疑で、米軍属の米国人が逮捕された。このタイミングでオバマ大統領が来日することになる。
沖縄の過大な基地負担と米国軍人による凶悪犯罪の多発について、オバマ大統領がどのような謝罪を行うのか注目しなければならない
このような凶悪犯罪に見舞われている沖縄県民に対して、さらに基地負担を押し付ける考えを述べるのだろうか。
米国大統領選で共和党候補者に指名される可能性の高いドナルド・トランプ氏は、日本が米軍駐留費を全額負担しないなら、米軍は日本から撤退することを検討すべきだとの考えを示している。
日本にとっては千載一遇のチャンスになる。
 
日本が無条件降伏を受け入れたポツダム宣言には以下の条文が置かれている。
ポツダム宣言第十二条
十二、前記諸目的カ達成セラレ且日本国国民ノ自由ニ表明セル意思ニ従ヒ平和的傾向ヲ有シ且責任アル政府カ樹立セラルルニ於テハ聯合国ノ占領軍ハ直ニ日本国ヨリ撤収セラルヘシ
また、日本の国際社会への復帰根拠となったサンフランシスコ講和条約には以下の条文が置かれた。
サンフランシスコ講和条約
第六条 (a)連合国のすべての占領軍は、この条約の効力発生の後なるべくすみやかに、且つ、いかなる場合にもその後九十日以内に、日本国から撤退しなければならない。
 
日本の独立回復後、占領軍は日本から撤退することが義務付けられた。
ところが、サンフランシスコ講和条約第にはただし書きが付けられた。
「但し、この規定は、一又は二以上の連合国を一方とし、日本国を他方として双方の間に締結された若しくは締結される二国間若しくは多数国間の協定に基く、又はその結果としての外国軍隊の日本国の領域における駐とん又は駐留を妨げるものではない。」
 
さらに、同講和条約第条には次の規定が盛り込まれた。
「第三条 日本国は、北緯二十九度以南の南西諸島(琉球諸島及び大東諸島を含む。)孀婦岩の南の南方諸島(小笠原群島、西之島及び火山列島を含む。)並びに沖の鳥島及び南鳥島を合衆国を唯一の施政権者とする信託統治制度の下におくこととする国際連合に対する合衆国のいかなる提案にも同意する。このような提案が行われ且つ可決されるまで、合衆国は、領水を含むこれらの諸島の領域及び住民に対して、行政、立法及び司法上の権力の全部及び一部を行使する権利を有するものとする。」
 
つまり、米軍は日本の独立回復後、すみやかに日本から撤退することが定められたが、日米両国は日米安全保障条約を締結し、米軍の駐留が継続され、現在に至っている。
そのなかで、沖縄は1952年4月28日の日本の独立回復と同時に、日本から切り離され、米国施政下に置かれた。
そして、日本本土にあった米軍基地は沖縄に移設され、現在では日本に存在する米軍専用施設の74%が沖縄に集中している。第2次大戦で地上戦が行われ、沖縄は本土防衛のための捨て石にされた。敗戦後は、日本から切り離された。そして、日本復帰後も、過大な基地負担が押し付けられたままになっている。そのなかで、米兵による凶悪犯罪が後を絶たない。
 
この状況下でオバマ大統領は沖縄に謝罪することもせず、沖縄の米軍基地建設推進を強要するのか。
無辜の市民を大量虐殺した現地を訪問して、国際法違反の行為について、謝罪もせずに観光のために訪問するというのか。
心ある日本国民は、オバマ大統領の「謝罪なき広島訪問」に連帯して抗議の意思を表明するべきである。
 
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(以下は有料ブログのため非公開)