2016年5月25日水曜日

司法取引が成立 通信傍受も拡大 改正刑訴法

 改正刑事訴訟法などが24日、衆院本会議で可決・成立しました。
 可視化(録画・録音)の対象は全体の3%程度で、取り調べの全過程を録ることが義務化されましたが、取調官が十分な供述を得られないと判断したときは実施しなくていいという例外規定も設けられました。
 冤罪を生む温床となりかねない司法取引が導入されました。
※  2014年9月20日 司法取引導入の危険性について
 
 また犯罪捜査で電話やメールを傍受できる対象事件をこれまでの4類型に、組織性が疑われる殺人や詐欺、窃盗など9類型が追加されました。
 
 ・公判前整理手続きで検察官が被告側に証拠の一覧表を交付する ・勾留された全ての容疑者に国選弁護人を付ける などは改善された点です。
 しかし日本の訴訟有罪率は99.7%と世界の中でも異常に高い(海外では70%程度)ものとなっていることへの問題意識は見られません。
 刑事法学者らからは「冤罪(えんざい)防止策が不十分」との批判が出ています。
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可視化・司法取引が成立 通信傍受も拡大 改正刑訴法
東京新聞 2016年5月24日
 取り調べの録音・録画(可視化)の義務付けや、司法取引の導入、通信傍受の拡大を柱とした改正刑事訴訟法などが二十四日午後、衆院本会議で可決、成立した。可視化の対象事件が限定された一方、捜査手法が大幅に拡充されることになり、刑事法学者らからは「冤罪(えんざい)防止策が不十分」との批判が出ている。
 
 可視化の対象は裁判員裁判事件と検察の独自捜査事件で、全事件の3%程度。これらの事件の取り調べ全過程で警察と検察に義務付けられる。「逮捕または勾留されている容疑者」に限られ、別事件で起訴後に勾留されている「被告」は含まれない。
 さらに、対象であっても取調官が十分な供述を得られないと判断したときは実施しなくていい例外規定も設けられている。このため付帯決議には、対象にならない場合でも「できる限り行うよう努めること」と明記された。三年以内に施行される。
 
 また、容疑者や被告が共犯者ら他人の犯罪を解明するために供述したり証拠を提出したりすれば、起訴の見送りや取り消しといった利益を得られる司法取引を導入する。
 犯罪捜査で電話やメールを傍受できる対象事件を拡大。これまでの四類型に、組織性が疑われる殺人や詐欺、窃盗など九類型を追加する。
 このほか(1)公判前整理手続きで検察官が被告側に証拠の一覧表を交付する(2)勾留された全ての容疑者に国選弁護人を付ける-ことなどが盛り込まれた。