かつては、自民党は「衆参同日選挙にすれば自民が圧勝する、問題はそうするうまい口実があるかだ」という感じでしたが、それがあるときから「同日選にすると衆院も参院も負ける」と、主要なメンバーたちが口にするようになりました。
参院選では野党共闘が順調に進みその威力は決して侮れないものとなったので、安倍政権は同日選にすることでその効果をそぐことができると考えました。しかし思わぬところに伏兵がいました。
いまや自民党は、選挙区に公明党支持層の固定票を回してもらわないことには勝てなくなっています。
ところが当の公明党の山口代表から、衆参同日選になれば「公明党支持層に、『選挙区は自民党、比例区は公明党』と徹底するのが困難になるので、防衛上(衆・参とも)『選挙区も比例区も公明党』ということで徹底させるしかない」と、安倍首相は申し入れられたということです。
そうなれば自民党候補は死屍累々となるので、とても同日選などは出来ません。
(註 自公政権を倒すのは結構大変ですが、もしも自民党と公明党を引き離すことが出来れば自民党政権はすぐに崩壊します)
日刊ゲンダイの記事を紹介します。
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自民は追い込まれている・・・本紙が掴んだ「W選断念」の理由
日刊ゲンダイ 2016年5月28日
安倍政権の御用メディアが衆参同日選の見送りを報じ始めた。その根拠を「参院選単独でも余裕で勝てるから」としているのだが、実相は逆だ。ダブル選だと与党が大敗する可能性がある。ダブル選を打ちたくても打てない状況で、追い込まれているのは安倍自民の方なのだ。
■侮れない野党共闘
5月中旬に自民党が行った情勢調査によると、参院は単独過半数に必要な57議席に迫る勢い、衆院も現有の290から10~20議席減で済むという結果が出たという。だが、このうち衆院の数字は野党共闘を考慮に入れずハジいたものだ。
直近の衆院選の結果をもとに野党4党の票を単純合算すると、野党共闘によって295選挙区のうち59選挙区で与党を逆転。さらに、与党候補に対して1万票差以内の接戦区も38あり、勢力図は大きく塗り替わる可能性がある。
「ダブル選になれば『衆院でも野党共闘が一気に進む』と民進党内からも歓迎する声が出ていました。『共産党と組むことはあり得ない』と言ってきた民進の保守派にしても、共産票が乗れば多くの選挙区で逆転できると分かっている以上、選挙が目前に迫れば現実的になる。事実、岡田代表もここへきて衆院小選挙区で共産党候補への一本化に応じることも示唆しています。4月の北海道5区の補選結果を見れば、野党共闘の効果が大きいことは明らかですからね」(政治ジャーナリスト・山田厚俊氏)
北海道補選では当初、「保守派の支持者が離れる」と民進党内で懸念されたが、フタを開けてみれば民進支持層の95%が野党統一候補に投票。選挙終盤には野党側がリードする局面もあった。保守支持層が離れるなんて幻想なのだ。共産党関係者が言う。
「参院では1人区すべてで野党共闘が実現する。志位委員長は衆院の方もやる気マンマンで、小選挙区で公認候補を降ろすこともいとわないでしょう。実は年明けから、選挙のプロである小沢一郎氏と水面下で協議し、衆院での選挙区調整の下地づくりを進めてきた。比例の上積みを考えると小選挙区にまったく候補を出さないわけにはいきませんが、共産票が勝敗に影響しない選挙区に限定することは可能です」
■4つの票を恐れる公明
安倍自民が野党共闘を「野合だ」とことさら攻撃しているのは、それだけ脅威に感じている証拠だ。衆院選挙区でも共闘が進むことを警戒し、こんな皮算用をしている。
「参院の野党共闘で、たしかに1人区はいい勝負になるでしょうが、選挙後は、無所属候補がどこの党に属するかなどで必ず揉める。そうなれば衆院の野党共闘も潰れる」(官邸関係者)
それで、野党がガタガタしたところで“時間差ダブル”に持ち込んだ方が得策だという声が出ている。同日選では公明票が目減りすることも、踏み切れない大きな理由だ。
「ダブルになれば、それぞれ選挙区と比例の投票がある。公明党の組織が一糸乱れず4枚の投票用紙を書き分けるのは至難の業で、『比例は公明、選挙区は自民』ができなくなる。過去のダブル選で圧勝した中選挙区時代と違って、今の自民党は公明党の協力がないと選挙区で勝てない片翼政党です。強気でダブル選に持ち込める状況にはありません」(山田厚俊氏)
22日投開票の和歌山県御坊市長選で、閣僚級や人気者を総動員した果てに二階総務会長の長男がボロ負けしたことも与党に衝撃を与えた。安倍1強といっても、足元はガタついている。