NHKは2日に、朝日新聞と毎日新聞は3日に憲法に関する世論調査を発表しました。
3者が行った主要な質問は下記の2項目で、調査結果を一覧表で示します。
「憲法を改正する必要」があるか についてはさまざまで、毎日は「あり」と「なし」が同数、NHKは微差で「なし」が多く、朝日は大差で「なし」が多くなっています。
それに対して「9条を改正する必要」があるか については、いずれも「なし」が「ある」をダブルスコアで上回っています。9条の「正しさ」と「重要性」は完全に国民の中に浸透していることが分かります。
憲法を改正する必要があるか
朝日新聞
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毎日新聞
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N H K
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憲法改正の必要あり
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37%
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42%
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27%
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憲法改正の必要なし
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55%
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42%
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31%
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9条を改正する必要があるか
朝日新聞
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毎日新聞
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N H K
| ||
9条改正の必要あり
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27%
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27%
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22%
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9条改正の必要なし
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68%
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52%
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40%
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次のグラフは2日のブログ:「Everyone says I love you !」から転載したものですが、NHK世論調査の経年変化を示したものです。
安倍政権は平成24年の年末に成立しました。平成25年(2013年)の4月時点ではまだ憲法改正を明確に主張していなかった時期で、それまでは「憲法改正の必要あり」が41~42%と優位を保っていたのですが、安倍首相が改憲を明確にした平成26年(2014年)以降はそれが28~27%に落ち、今回は「必要ない」が逆転しました。
Everyone says I love you !氏は、安倍首相や自民改憲案を作った磯崎陽輔氏らよりも、国民の方がよほど賢いことがわかると述べています。
ここではNHKの記事とLITERAの記事を紹介します。
(追記) 最近、朝日新聞は記事の転載を全て拒否しているし、毎日新聞もこの記事をコピー不能の処理をしているため、原記事は転載できません。それぞれでアクセス願います。
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NHK世論調査 憲法改正「必要」27% 「必要ない」31%
NHK NEWS WEB 2016年5月3日
3日は憲法記念日です。NHKの世論調査で今の憲法を改正する必要があると思うか聞いたところ、「改正する必要があると思う」は27%、「改正する必要はないと思う」が31%、「どちらともいえない」は38%でした。
NHKは先月15日から3日間、全国の18歳以上の男女に対し、コンピューターで無作為に発生させた番号に電話をかけるRDDという方法で世論調査を行い、2425人のうち62.8%に当たる1523人から回答を得ました。なお、地震活動が続いているため、熊本県では調査を行わず、大分県では調査を途中で取りやめました。
憲法の改正
今の憲法を改正する必要があると思うか聞きました。
「改正する必要があると思う」が27%、「改正する必要はないと思う」が31%、「どちらともいえない」が38%でした。
去年の同じ時期に行った調査と比べると、「改正する必要がある」は、ほぼ同じ割合だったのに対し、「改正する必要はない」は増え、「どちらともいえない」は減りました。
NHKは平成19年からことしまで、合わせて5回、同じ質問を行っていますが、憲法を「改正する必要はない」と答えた人の割合は、今回、最も多くなりました。
憲法を「改正する必要があると思う」と答えた人に理由を聞いたところ、「日本を取りまく安全保障環境の変化に対応するため必要だから」が55%と最も多く、「国の自衛権や自衛隊の存在を明確にすべきだから」が20%、「アメリカに押しつけられた憲法だから」と、「プライバシーの権利や環境権など、新たな権利を盛り込むべきだから」がそれぞれ8%でした。
憲法を「改正する必要はないと思う」と答えた人に理由を聞いたところ、「戦争の放棄を定めた憲法9条を守りたいから」が70%と最も多く、「すでに国民の中に定着しているから」が11%、「憲法の解釈や運用に幅を持たせればよいから」が10%、「アジア各国などとの国際関係を損なうから」が4%でした。
憲法9条 集団的自衛権
「憲法9条」について、改正する必要があると思うか聞きました。
「改正する必要があると思う」が22%、「改正する必要はないと思う」が40%、「どちらともいえない」が33%でした。
3年前の同じ時期に行った調査では、憲法9条について改正が「必要」という人と「必要はない」という人の割合はほぼ同じ程度でした。その翌年のおととしからは、それぞれ「必要はない」という回答が「必要」という回答を上回っています。
憲法9条を「改正する必要があると思う」と答えた人に理由を聞いたところ、「自衛力を持てることを憲法にはっきりと書くべきだから」が55%、「国連を中心とする軍事活動にも参加できるようにすべきだから」が23%、「自衛隊も含めた軍事力を放棄することを明確にすべきだから」が10%、「海外で武力行使ができるようにすべきだから」が5%でした。
憲法9条を「改正する必要はないと思う」と答えた人に理由を聞いたところ、「平和憲法としての最も大事な条文だから」が65%、「改正しなくても、憲法解釈の変更で対応できるから」が15%、「海外での武力行使の歯止めがなくなるから」が12%、「アジア各国などとの国際関係を損なうから」が4%でした。
ことし3月、安全保障関連法が施行され、日本が集団的自衛権を行使することが可能になったことについて賛成か反対か質問したところ、「賛成」は25%「反対」は27%、「どちらともいえない」は40%でした。
立憲主義
今の憲法の基本的な考え方である「立憲主義」について聞きました。
「政府の権力を制限して国民の人権を保護する」という立憲主義を知っていたかどうか尋ねたところ、「知っていた」が16%、「ある程度知っていた」が37%、「あまり知らなかった」が30%、「まったく知らなかった」が11%でした。
NHKはおととしも同じ項目の調査を行っていますが、立憲主義を「知っていた」「ある程度知っていた」という人の割合はいずれも増加しています。
憲法解釈や憲法改正を議論するにあたって、立憲主義の考え方を重視すべきかと思うか聞いたところ、「重視すべきだ」が69%、「重視する必要はない」が12%でした。これはおととしの調査結果とほぼ同じ程度で、回答したおよそ7割の人が「立憲主義を重視すべき」だと考えていることが分かりました。
(後 略)
安倍政権の改憲扇動は空振り?
世論調査で「憲法改正が必要」の意見が激減!
NHKの調査でも42%から27%に
LITERA 2016年5月3日
昨日からの憲法記念日特別企画では、急加速している安倍政権の憲法改正の動きについて指摘してきた。実際、安倍首相の発言は最近、明らかに前のめりになっており、極右団体と連動した改憲の国民運動が様々な場所で展開されている。そして、これに呼応するように、マスコミでも、ネット上でも、憲法改正の勇ましい声ばかりがあふれている。
ところが、国民の意見はこうした動きとまったく逆の方向に向かっているようなのだ。改憲ありきの安倍政権やマスコミとは裏腹に、世論調査では「憲法改正すべき」という意見が急激に減少、「憲法を守ろう」という意見が増加しているのだ。
NHKが先月4月15日から3日間実施した全国電話世論調査で改憲の必要性を聞いたところ、「改正する必要があると思う」が27%、「改正する必要はないと思う」が31%、「どちらともいえない」が38%だった。一見、両者は拮抗しているように見える。
だが、実はNHKは2007年から今年で5回同じ質問をしているのだが、「改正する必要はないと思う」の割合が一番高かったのが、今年の調査だったのだ。
たとえば、第一次安倍政権時の07年のNHK世論調査では、「改正する必要があると思う」が41%で、「改正する必要はないと思う」の24%を大きく上回った。また第二次安倍政権が本格始動した13年調査でも、“必要”42%に対し“必要ない”がわずか16%だった。ところが、14年以降、“必要”が大きく割合を落とし28%、“必要ない”が26%と拮抗、15年もほぼ同じ数字が出た。そして、今年の調査ではついに“必要ない”が僅かながら“必要”を上回ったのである。
こうした結果が出ているのは、NHKの調査だけではない。たとえば、朝日新聞が今年3月から4月に実施した全国郵送世論調査では、憲法を「変える必要はない」が昨年3月調査の48%から55%に増えた一方、「変える必要がある」は昨年の43%から37%に減少。また、共同通信社が4月末に実施した全国電話世論調査でも、安倍晋三首相の下での憲法改正に「反対」が56.5%で「賛成」の33.4%を大きく上回っている。
ようするに、安倍政権が、解釈改憲によって強行した安保法制など、その打ち出すタカ派の政策の数々、そして「任期中に着手する」として一方的に改憲へと邁進していることに、国民は明確に危機感を募らせているのだ。それは、立憲主義を無視した暴挙を繰り返す安倍政権への、従来の“護憲派”の枠を超えた国民のアンチテーゼでもある。
これはなにも9条の議論だけにとどまらない。安倍政権と日本会議が打ち出す緊急事態条項の新設についても、これは国民の要望から生まれたものではない。毎日新聞が東日本大震災で被災した岩手、宮城、福島3県の42自治体に尋ねたところ、回答した37自治体のうち「緊急事態条項が必要だと感じた」としたのは、わずか1自治体だけだった(4月30日付朝刊)。
しかし、安倍政権はこうした世論調査や自治体の意見に耳を貸すことはないだろう。国民がいくら憲法改正に反対しても、議会で3分の2をおさえてしまえば、そのまま一気に改憲に着手するはずだ。
改憲の動きを止めるためには、ただ反対を口にしているだけでは足りない。7月の参院選では、他の政治的課題をいったん棚上げし、改憲勢力をひとりでも多く落選させる必要があるだろう。(編集部)