2020年11月24日火曜日

学術会議に10億円と攻撃する菅氏は機密費から毎年11億円超を使う

 菅首相は、共産党の志位委員長から、任命拒否「現実に学問の自由が脅かされている」「あってはならないことだとは思わないか」とただされたのに対して、「任命しなかったことと学問の自由とは関係ない。丁寧に説明したい」と答弁しました。
 本当に学術会議会員の任命拒否が「学問の自由をおかす」ことにならないと思っているのであれば、かなり頭が悪いというしかありません。事実さえ認めず「関係ない」と切り捨てたり、一方的に答弁書の読み上げを繰り返すことを「丁寧な?説明」と思っていることも同じです。
 かつては穏便に済ませようとされてきたものを、今回菅首相が確信犯的に任命拒否し、「学者にはつべこべ言わせないという意思を示した背景には、かつて戦争法などで学者から違憲と批判されたトラウマがあるという指摘もあります。
 菅首相は何とか日本学術会議を批判したいようですが、その都度関係者から事実を以て反論されている姿は滑稽です。

 それにしても単に国会内の力学からたまたま首相になったに過ぎない人物が、学問の中枢を自由に操ろうとするとは、恐るべき不見識であり傲慢さです。騎馬に乗って巨大な風車に立ち向かったドンキホーテ―の惨めさを思うべきです。
 学術会議関係費として国が10億円近くを支出しているから、政府は口出しが出来るというのもとんでもない了見違いです。科学者が政府から独立した学術機関を通じて政府に提言を行うのは世界各国で行われていることで、そうした機関に対して米国は年間277億円、同じく英国は134億円を配分しています。
 そもそも10億円の大半はそれに関与する官僚の給与であり、出張費など学者各人に渡る金は微々たるもので、決定的に不足しています。かのアベノマスクにかかった466億円(実際には何割か安くなったようですが)の数十分の1に過ぎません。

 菅首相が官房長官時代に受け取った内閣官房機密費(報償費)のうち、領収証不要の“つかみ金”である「政策推進費」が年間11億円超だったことが明らかになりました。官房長官として自由に使える国からの金が月に1億円弱もあったということです。
 官房機密費をめぐっては、市民団体が情報公開を求めた訴訟で18最高裁が使途文書の一部開示を命じその際原告側は菅氏に(1) 政治家・公務員・マスコミ・評論家に支出しないこと (2)「秘匿性の程度」に応じて使途を非公開にする期間を決め、その期間が経過すれば公開することなどを提案しましたが、菅氏の提案を一顧だにしませんでした。
 これこそがまさに改めるべき「既得権益」に他なりません。
 しんぶん赤旗の記事を紹介します。
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学術会議に10億円と攻撃するが 菅氏 機密費から毎年11億円超
「閉鎖的で既得権益」なのは いったいどちらか
                      しんぶん赤旗 2020年11月23日
 菅義偉首相が官房長官時代に受け取った内閣官房機密費(報償費)のうち、領収証不要の“つかみ金”である「政策推進費」が年間11億円超だったことが22日、本紙が入手した資料でわかりました。日本学術会議の会員候補6人の任命拒否で、菅首相は「(日本学術会議は)年間約10億円を使っている。国民に理解される存在でなければ」と攻撃していますが、菅氏にその資格があるのでしょうか。(矢野昌弘)

 菅氏は2012年12月から今年9月半ばまでの7年10カ月にわたり、官房長官でした。
 本紙は情報公開で今年半ばまでの官房機密費の使途文書を入手。その結果、13年度からの7年間分で総額86億1100万円余の官房機密費を使っていました。

領収書不要“つかみ金”
 官房機密費は、会計検査院にも領収書や支払先を明らかにする必要がない“ヤミ金”です。その中でも最も深いヤミの金が「政策推進費」と呼ばれる費用です。
 菅氏自身が管理し、菅氏に渡した時点で“支出完了”となります。領収証は不要で、何に使ったのか、知っているのは菅氏のみです
 政策推進費は7年間で総額78億円、年平均11億1400万円余となっています。官房機密費全体の90・5%は、菅氏に渡った“使途不明金”だったことになります。
 一方、菅氏が“問題視”する日本学術会議の予算は、平均で年間9億9300万円余となっています。菅氏が1人で使った政策推進費より毎年1億2100万円も少なく、13年度からの7年ともすべて政策推進費より少ない予算で運営されてきました。官房機密費と違い、使途は当然、公開されています。

見直しへの提案を黙殺
 また菅首相は日本学術会議が「閉鎖的で既得権益のようになっているのではないか」とも、国会で攻撃しています。
 官房機密費をめぐっては、市民団体が情報公開を求めた訴訟で2018年、最高裁が使途文書の一部開示を命じました。
 その際、原告と弁護団は菅氏に抜本的な見直しを求める文書を送りました。そこでは、(1) 政治家・公務員・マスコミ・評論家に支出しないこと (2)「秘匿性の程度」に応じて使途を非公開にする期間を決め、その期間が経過すれば公開することなどを提案しています。

 菅氏は、この提案を一顧だにせず、従来通りにブラックボックスに入った多額の官房機密費を使っています。「閉鎖的で既得権益のようになっている」と批判されるべきは、菅首相自身。国民に「自助、共助」という前にわが身をふりかえってみてはどうでしょうか。