オミクロン株が猛威を振るう第6波は、ケタ違いの新規感染者数に加え死者や重症者も急増していて、9日、10日の1日当たり死者数は150人を超え、重症者数は4カ月半ぶりに1200人を上回りました。
広島県の調査によると、第5波と第6波を比べると発症から「中等症2以上」への移行までの日数が「3日以内」は、第5波が10%だったのに対し、第6波では35%と3倍以上です。オミクロン株が軽症で済むというのは体力のある若い人たちのことで、基礎疾患のある高齢者には当てはまらず、早期発見・早期治療がより求められていますが、実態はそれと正反対です。
厚労省医薬・生活衛生局・同課は7日、都道府県、市町村などの衛生主管(部)局宛に「オミクロン株の感染流行に対応した広域火葬計画の整備について」、「災害発生時と同様に広域火葬計画の整備が重要」とした事務連絡を出しました。
PCR検査の拡充等には一貫して反対している厚労省が、こんな点だけ早手回しなのは、ブラックジョークそのものです。それにしても何を考えているのかがサッパリ見えない岸田政権です。
日刊ゲンダイの2つの記事とNHKの記事を紹介します。
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オミクロン株「重症化スピード」は最速!第5波の3倍、発症から「3日以内」で悪化の調査結果を紐解く
日刊ゲンダイ 2022/02/11
“最速”は感染力だけではなかったー。オミクロン株が猛威を振るう第6波は、ケタ違いの新規感染者数に加え、死者や重症者も急増している。9日の死者数は2日連続で150人を超え、重症者数は4カ月半ぶりに1200人を上回った。オミクロン株は「弱毒化」との指摘もあるが、一体、何が起きているのか。要因はオミクロン株の「重症化スピード」にありそうだ。
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厚労省は入院期間を最短4日間に短縮する根拠として、今年1月の入院患者のうち、4日間の入院期間を過ぎて「中等症2以上」(酸素投与が必要な中等症、重症、死亡)に悪化したのが「0・9%」だったことを挙げている。
では、感染者はどれくらいの日数で悪化しているのか。広島県の調査結果は衝撃的だ。県内の患者データを分析し、第5波(昨年7月1日~10月31日)と第6波(昨年12月22日~今年1月)を比較。発症(無症状や不明は陽性判明日)から「中等症2以上」への移行までの日数を調べた。
「3日以内」は第5波が10%だったのに対し、第6波では35%と3倍以上だ。逆に、第5波では「8日以上」が47%を占めていたが、第6波は25%にとどまる。
第6波では、“発症後”いきなり症状が悪化していることがよくわかる。医療ガバナンス研究所理事長の上昌広氏が言う。
「違いが出るのはワクチン接種が原因でしょう。第5波は流行前に高齢者がワクチン接種を終えていたのに対し、現在はほとんどブースター接種を打てていません。基礎疾患がある高齢者が感染すると、あっという間に悪化してしまいます」
ようやく、岸田政権は3回目接種を加速させようとしているが、オミクロン株のピークには間に合わない。無防備のまま第6波に直撃されている。
「感染後、あっという間に重症化する恐れがあるだけに、これまで以上に“早期発見・早期治療”が重要な局面です。ブースター接種が間に合わないとしても、幸い、重症化を防ぐ治療薬が登場している。早期投与が必要なので、徹底検査を実施し、陽性が確認された高齢者にどんどん投薬するしかありません」(上昌広氏)
不気味な「広域火葬計画」に批判の嵐
ところが、検査もお寒い状況だ。東京の検査数は1月29日の2万9000件から減少し、足元は2万5000件前後と低迷している。
増大する検査需要に検査が追い付かず、基礎疾患がある高齢者もなかなか検査を受けられない事態だ。“早期悪化”が特徴の第6波で、発見・治療が遅れれば、さらに死者が増えてもおかしくない。
厚労省もこの先の「コロナ死ラッシュ」を覚悟しているようだ。7日付で「オミクロン株の感染流行に対応した広域火葬計画の整備について」と題した事務連絡を自治体に送付。多数の死者が発生し、火葬が追いつかない事態に備え、体制整備を呼び掛けている。
ネット上では〈#火葬でなく検査と医療を〉が登場。〈軽症、軽症って言ってるのに火葬の話?〉〈検査拡充をせず、火葬の準備とは〉〈火葬計画だけ先手〉などの声が上がっている。
これ以上、死者を出さない努力をすべきだ。
厚労省が自治体に「広域火葬計画」事務連絡の意味深…<これが政府のコロナ対策?>と批判噴出
日刊ゲンダイ 2022/02/10
厚労省医薬・生活衛生局生活衛生課は7日、都道府県、市町村、特別区の衛生主管(部)局宛に「オミクロン株の感染流行に対応した広域火葬計画の整備について」とした事務連絡を出している。
資料には、「オミクロン株の感染力の高さは各方面から指摘されている」「死亡者数も再び全国的に増加」とし、災害発生時と同様に広域火葬計画の整備が重要と書かれていたが、これにはツイッターで早速、批判の声が飛び交っている。
〈弱毒化してただの風邪ですらないオミクロン。しかし日本では火葬場の需要ひっ迫に備えて、応援依頼などの整備を指示〉〈まさか色々すっ飛ばして火葬の準備されるとは思わなかった〉〈これが日本政府のコロナ対策?〉といった具合だ。だが、もっとも投稿数で目立ったのが、〈コロナではなくワクチンだね、これは〉というワクチン接種への疑念に関するもの。
「超過死亡」約6万人は戦後最大
背景には、「超過死亡」が関係している。厚労省の人口動態調査によると、昨年9月までの死亡数は約107万5000人で、前年同期より5万9810人増えた。これは東日本大震災の11年を超える数値で、戦後最大という。
「超過死亡」とは、例年同期の死亡者数に比べてどのくらい亡くなったかを数値にしたものだ。国立感染症研究所の調査(昨年8月時点)でも、前年同期の新型コロナウイルス以外の超過死亡者数は5万5930人。呼吸器系疾患は1万1153人、循環器系疾患は2万4723人、老衰は1万1301人、がんは1万3593人、自殺は4327人といずれも増加。しかし、新型コロナウイルス以外の死者が急増する理由として、しっくりくる答えがでていない。
もっとも、医療のひっ迫で、適切な治療や手術を受けられなかった人が多かったことが考えられるし、ワクチン関連死は根拠を求めるのが難しい。だが、国民に多くの疑念を抱かせている以上、説明も必要だろう。
新ウイルスは重い症状で流行繰り返すか 数理モデルで分析
NHK NEWS WEB 2022年2月7日
新型コロナウイルスのような新たに出てきたウイルスがどう進化していくか、総合研究大学院大学などのグループが数理モデルと呼ばれる手法で分析したところ、しばらくの間は重い症状を引き起こすウイルスが流行するおそれがあるとする試算結果を発表しました。
この試算は総合研究大学院大学の佐々木顕教授らのグループが行いました。
グループでは、ウイルスの変異やヒトの免疫の状態などを数式で分析する数理モデルと呼ばれる手法を使い新たに登場したウイルスがどう進化するかを試算しました。
ウイルスは、ヒトが免疫を獲得すると押さえ込まれますが、その後、変異を繰り返して免疫をすり抜けるようになります。
今回の試算では、この際、短期間で大量に増殖するウイルスの方が変異が起こりやすく、免疫から逃れて感染を広げるのに有利になるという結果になったということです。
ウイルスの増殖力が高まると症状が重くなるとされることからグループでは、新型コロナのように新しいウイルスでは、重い症状を引き起こす変異ウイルスがしばらくの間、流行を繰り返すおそれがあるとしています。
佐々木教授は「免疫から逃げ続けてまだ根絶されていない感染症は数多くある。新型コロナウイルスもそうなると考えていろいろな対策をしていく必要があると思う」と話していました。