自民党は1日、憲法改正実現本部の実行部隊の立ち上げ会合を開き、全国11ブロックの責任者らを集め、5月の連休までに全都道府県連で少なくとも1回の集会を開くことを確認しました。6日、岐阜市で開かれた初の地方集会で、実現本部の古屋圭司本部長が「国民が国民投票に参加する機会を奪っている」として、改憲論議促進を狙う「草の根」運動の強化を訴えました。
国会では、自民党は国会内での改憲論議の開始を狙い、3日の衆院憲法審査会幹事懇談会で、与党は「10日の審査会開催」を要求し、維新の会、国民党が「早期開催」を主張しましたが、共産党の赤嶺政賢議員は「改憲発議を目的とした審査会は動かすべきでない。議論すべきは憲法に反する現実の問題だ」と批判しました。
これに対し、「9条改憲NO! 全国市民アクション」が呼びかけ、全国の草の根「九条の会」や日本共産党も1000万を目標にしているている「憲法改悪を許さない全国署名」の取り組みが広がっており、改憲策動と正面対決となっています。
共産党の志位和夫委員長は5日、全国革新懇のシンポジウム「『市民と野党の共闘の前進』をめざして」の中で、署名の意義について、政府は、安保法制のもとでも (1)フルスペックの(全面的な)集団的自衛権行使や (2)武力行使を目的とした海外派兵はできない、と説明してきたとして、「安保法制が強行されたが憲法9条の規範力はなお残っている」と指摘し、自衛隊が憲法に書き込まれれば、なお残っている9条の規範力が全て消え、海外での武力行使が完全に自由化される―無制限の海外での武力行使が可能になるという危険を強調しました。
しんぶん赤旗が報じました。
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9条“草の根”正面対決 改憲派 世論喚起狙う
しんぶん赤旗 2022年2月7日
自民、公明の与党に加え日本維新の会など補完勢力も糾合した、憲法9条破壊を狙う重大な動きが相次いでいます。
各地で集会予定
自民党は1日、憲法改正実現本部の国民運動委員会のタスクフォース(実行部隊)の立ち上げ会合を開き、全国11ブロックの責任者らを集め、5月の連休までに全都道府県連で少なくとも1回の集会を開くことを確認しました。6日には岐阜市で初の地方集会を開催。実現本部の古屋圭司本部長が改憲をめぐる現状について「国民が国民投票に参加する機会を奪っている。立法府の不作為だ」と述べ、国会での憲法論議の促進を訴えました。
1日の会合でも古屋氏は「衆参の憲法審査会が稼働せざるを得ないような環境をつくる。それが世論だ」と発言。同本部・国民運動委員会責任者の新藤義孝・衆院憲法審査会筆頭幹事は「草の根の運動として、国民の中に憲法改正の意識を高めていく」と記者団に語りました。改憲の「草の根」運動強化による改憲論議促進を狙う動きです。地方集会には、同本部最高顧問の安倍晋三元首相や同顧問の石破茂元幹事長らを「講師」として全国に派遣します。
広がる全国署名
これに対し、「9条改憲NO! 全国市民アクション」が呼びかけ、全国の草の根「九条の会」や日本共産党も1000万を目標にしている「憲法改悪を許さない全国署名」の取り組みが広がっており、改憲策動と正面対決となっています。
日本共産党の志位和夫委員長は5日、全国革新懇のシンポジウム「『市民と野党の共闘の前進』をめざして」の中で、署名の意義について語りました(別項)。
一方、国会では、自民党の改憲4項目をはじめ国会内での改憲論議の開始を狙い、衆院憲法審査会の開催を急ぐ動きも強まっています。3日の同幹事懇談会で、与党は「10日の審査会開催」を要求。日本維新の会、国民民主党が「早期開催」を主張しました。日本共産党の赤嶺政賢議員は「改憲発議を目的とした審査会は動かすべきでない。議論すべきは憲法に反する現実の問題だ」と批判しました。
自民・古屋氏は「次の参院選が終われば最長3年ほど大型国政選挙がない期間が続く。その間に(改憲国民投票を)実施できればいい」(「日経」1月14日付)と語っています。改憲準備にとっての「黄金の3年間」を見据え、世論喚起を図りつつ国会での改憲論議の推進を図る構えです。
維新は、改憲突破の突撃隊としての役割を強めています。同党の山本剛正議員は2日の衆院予算委員会で、日教組の教育研究集会での憲法教育にかかわるリポートを名指しで攻撃。「意図的に子どもたちに護憲を浸透させようと各地で授業を進めている」とし、「間違った教育」によって改憲が遠ざかってしまっているという認識はあるかと岸田首相をつきあげました。改憲という政治的意図をもって、教育内容に不当な圧力を加える異常な姿をあらわにしました。
自衛隊明記なら海外での武力行使が完全に自由化
志位委員長が指摘
日本共産党の志位和夫委員長は署名の意義について「なぜ憲法9条に自衛隊を明記すると危険なのかを明らかにすることが重要だ」と指摘。自衛隊は誰が見ても憲法9条と両立しない軍隊だが、政府は「必要最小限度の実力組織」といい、その「帰結」として (1)武力行使を目的とした海外派兵 (2)集団的自衛権の行使 (3)武力行使を目的とした国連軍への参加 ―はできないとしてきたとし、「集団的自衛権について一部、穴をあけたのが安保法制だ」と述べました。
そのうえで志位氏は、安保法制問題での論戦の際に政府は、安保法制のもとでも (1)フルスペックの(全面的な)集団的自衛権行使や (2)武力行使を目的とした海外派兵はできない、と説明してきたとして、「安保法制が強行されたが憲法9条の規範力はなお残っている」と指摘。自衛隊が憲法に書き込まれれば、なお残っている9条の規範力が全て消え、海外での武力行使が完全に自由化される―無制限の海外での武力行使が可能になるという危険を強調しました。