2022年2月12日土曜日

12- 岸田政権には時限爆弾がゴロゴロ

 オミクロン株によるコロナ第6波は深刻化の一途を辿っています。円安=輸入価格の上昇によるスタグフレーション(不況下の物価上昇)目前に迫り、ヘタをすれば石油ショックで大不況に陥りかねません。

 岸田氏が登場したときに謳った「新しい資本主義」はいまや影も形も見えないし、「令和版所得倍増」も「成長と分配の好循環」も全て絵に描いた餅でした。岸田政権は一体何をどうしようとしているのか、それがサッパリ見えません。
 一時は夏の参院選を終えればその後の3年間は安泰、と踏んだように見受けられましたがそれは甘すぎました。
 日刊ゲンダイが「 ~ 参院選 波乱がないと思ったら大間違い」とする記事を出しました。
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岸田政権には時限爆弾がゴロゴロ 参院選 波乱がないと思ったら大間違い
                        日刊ゲンダイ 2022/2/11
                      (記事集約サイト「阿修羅」より転載)
一寸先は闇の政界でこの先何が起きるのかをシミュレーション
 野党第1党の立憲民主党の失速が止まらない。泉代表が旗を振る「追及型から提案型へ」のシフトはやっぱり裏目に出て、国会での存在感はみるみる低下。政党支持率を見ても、ネトウヨをたき付けて勢いを増す最大ゆ党の日本維新の会の後塵を拝すのが常態化。元首相の「ヒトラー投稿」で攻撃材料を与え、守りに徹する情けなさだ。来る参院選について、泉は「野党で改選過半数の議席獲得」を目標に掲げているが、もはや冗談にしか聞こえない。挙党態勢でエンジンを吹かす自民党に水をあけられまくっている。
 最大のネックはグズつく野党共闘だ。共産党を敵視する支援団体の連合に締め上げられ、立憲はいまだに右往左往。スッタモンダでようやく先月末に公表した衆院選の総括で、共産党との連携について「想定した結果は伴わなかった」と明記。政権交代実現に向けて枝野前代表と志位委員長が合意した「閣外からの協力」についても、「慎重に対応する必要がある」と事実上退け、さらに泉が報道番組で「連携は白紙にするということは明確にさせていただく」と言ったものだから、収拾がつかなくなっている
 当然、共産は納得がいかない。志位は「協議なしに一方的に白紙にするという議論は成り立たない」とツイートし、小池書記局長は「見過ごすことができない発言だ」などと不快感をあらわにし、群馬、福井、鹿児島、奈良などの1人区で独自候補擁立を進めている。野党がバラバラになれば、与党を利するのは言うまでもない。そうでなくても、泉が「兄弟政党」と秋波を送る国民民主党のゆ党化は鮮明だ。国会対応では「野党国会対策委員長会談」を離脱し、維新に急接近。東京都の小池知事が率いる都民ファーストの会とは合流を視野に手を結ぶなど、引っかき回している

「是々非々」「提案型」の欺瞞
 ジャーナリストの鈴木哲夫氏はこう言う。
「泉代表の『白紙発言』は重い。立憲と共産は幹部同士で協議を重ね、選挙区ごとに調整を進めてはいるものの、政党間の動きを止めてしまった。野党がバラバラになってしまっては、与党に太刀打ちできない。保守系野党でまとまろうとする野党再編の動きも解せません。有事ならいざ知らず、『是々非々』とか『提案型』は野党がやることなのか。政権を監視し、問題があれば批判するのが野党の役割でしょう。実現したい政策を政権に託すのではなく、政権構想として示して有権者に問うのが筋です。波乱要因はいくらでもあるのに敵に塩を送るのか。このままいけば、野党はその存在意義を試されることになりますよ」

 もっとも、「政界、一寸先は闇」が永田町の常識。参院選で波乱がないと思ったら大間違いだ。なんせ、岸田政権の足元には時限爆弾がゴロゴロ転がっている。
 新型コロナウイルス第6波は収束の兆しが見えず、泥縄のコロナ対応に世間は怒り心頭だ。ワクチンの3回目接種分の調達は後手に回り、爆発的な感染拡大になす術なく、またも医療崩壊。感染しても軽症や無症状者が多い若者には受診回避を推奨、「みなし陽性」で自宅放置を容認し、国民皆保険制度は形骸化した。その一方、飲食店イジメにしかならない、まん延防止等重点措置はだらだら延長。内閣支持率は下落傾向に転じ始めた。

放置される「コロナ難民」
 政府寄りの読売新聞などの世論調査(4~6日実施)でも、支持率は前回1月調査と比べ、8ポイント減の58%に低下。不支持率は6ポイント増の28%に増加した。感染拡大で社会機能が維持できなくなるという不安を感じている人は、「大いに」と「多少は」を合わせて85%に達し、経済活動については「制限しない」が51%で、「制限する」の41%を上回った。岸田政権の無策に対する不安や不信が浮き彫りである。
 今さら岸田が「ワクチン1日100万回接種」の大号令をかけたところで、聞く耳ナシだろう。副反応が強いモデルナの供給がファイザーより多いため、敬遠ムードは消えない。「打つ頃には第6波はピークアウトしている」という根拠のない楽観論も広がる。そうなったとしても、コロナは夏と冬に流行する季節性がある。夏に向けて立ち上がる可能性がぬぐえない第7波に3回目接種率がどう影響するか。凪で迎えた昨秋の衆院選のようにはいかないんじゃないか。
「岸田首相にとってマイナス材料しかありません。たとえコロナが収束したとしても、経済は停滞。コロナ前の水準への回復はほど遠い。後遺症に苦しんだり、仕事を失った『コロナ難民』とも言うべき人たちはほったらかし。外交安保に自信があるように見せて、その実どこを見て何をやりたいのかも定かではない。日米関係すら不透明です。世界の動きについていけるのか。はなはだ疑問です」(鈴木哲夫氏=前出)

スタグフレーションから大不況へ
 岸田が首相の座を射止める原動力となったと言ってもいい「新しい資本主義」は影も形も見えない。「令和版所得倍増」も「成長と分配の好循環」も絵に描いた餅。むしろ、庶民生活は悪化の一途だ。岸田が見切りをつけないアベノミクスの弊害で、円安による物価上昇に歯止めがかからない。欧米ではインフレ抑制を狙った金融正常化が広がり、日米の金利差拡大懸念から円安が加速。ウクライナ情勢の緊迫で原油価格はうなぎ上りだ。スタグフレーション(不況下の物価上昇)は目前に迫り、ヘタをすれば石油ショックで大不況に陥りかねない
 どう見てもパッとしない首相の前に感染症、景気、紛争、さらには党内で蠢く「反岸田」。その代表格は言わずと知れた安倍元首相だ。アベノミクス継承で岸田を突き上げ、「佐渡島の金山」の世界文化遺産登録申請をめぐっては、「論戦を避ける形で登録を申請しないというのは間違っている」などと弱腰批判で大立ち回りを演じた。
「岸田政権誕生の立役者を自任する安倍さんは、少しずつ距離を置こうとする岸田総理にイライラを募らせています。だから露骨に足を引っ張り、嫌がらせを繰り返している。参院選をめぐる公明党との相互推薦が不調なのも、『敵の敵は味方』の論理で関係を修復した安倍さんと菅さんの意向とみられています」(与党関係者)
 憲法改正が悲願の安倍は維新の勢力拡大を大歓迎し、「だいぶ機運は醸成されてきた」と前のめりだが、どの世論調査でも改憲は関心薄。維新のお膝元である大阪府では再び全国ワーストとなった感染状況に怒りが渦巻いている。自公維新への拒否反応は根強い
 マトモな野党が結集しなければ、一周回ってデタラメ自民の思うツボ。この先3年間を左右する参院選の重みを甘く見たらダメだ。