1月1日〜2月6日までのコロナによる死亡者数は、東京都が64人であるのに対し、大阪府は138人です。死亡者数を人口100万人当たりに換算すると東京都4・6人に対して大阪府15・6人で、大阪は東京の3・4倍です。
大阪の軽症中等症病床の病床使用率はすでに100%を超えているので、府は7日、コロナ患者の入院基準を「酸素投与が必要な中等症2以上」に絞るようにと医療機関などに通知しました。コロナの「軽症」や「中等症」の定義は世間の常識とは大きく異なって、中等症1は「呼吸困難、肺炎所見」であり、本来は直ちに入院すべきものです。それを自宅に放置するのでは直ぐに重症化する惧れがあります。
要するに入院の制限は重症化し死亡する危険を大きく孕む措置であって、上記の死亡状況はより悪化しても改善されることはありません。もはや「医療崩壊」というべきですが、吉村・府知事は7日の囲み会見で、「入院がまったくできないという状況ではない」、「入院が本当に必要な方を入院させる措置(要旨)」などと、その場限りの言い訳をしたようです。明らかに実態を偽るものです。
LITERAは、この惨状は昨年の繰り返してあるのに、それをあたかも適切な医療提供体制を維持しているかのように語って自分の責任問題を回避しようとするのが、吉村知事の常套手段だと批判します。そしてそういう状況を許しているのは、彼のコロナ失策を検証・追及することもなく礼賛報道にかまけ、「コロナ対策で手腕を発揮!」「「大阪モデル」などで被害を最小化」などと持ち上げてきた在阪メディアにも責任があるとしています。
実際吉村氏にしても松井一郎・大阪市長にしても、昨年の失敗を何ら反省することなく、今回の第6波でも感染拡大防止策をおざなりにして、これまで国政の野党攻撃に勤しんできたのでした。
LITERAは、最悪の状況を生み出しつづける最低の知事、この明々白々の事実が報じられないことの弊害によって、再び医療崩壊は起こったというしかないと述べています。
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大阪が医療崩壊で中等症2以上しか入院させない方針! 死者も東京の倍以上…それでも吉村知事は「入院できる」「死者は全国的」とゴマカシ
LITERA 2022.02.08
大阪府の医療提供体制およびコロナ対応の壊滅ぶりがどんどん明らかになっている。つい先日も、大阪市保健所で感染者の入力作業が追いつかず、1月下旬以降、1万2700件もの入力漏れがあったことが明らかになったばかりだが、今度は軽症中等症病床の運用率が98.3%(7日時点)と満床直前の状態に。しかも現在は確保病床数を超える運用数となっているため、軽症中等症病床の病床使用率はすでに100%を超えている。
そして、この事態を受けて大阪府は昨日7日、コロナ患者の入院基準を「酸素投与が必要な中等症2以上」に絞るようにと医療機関などに通知したというのだ。
ご存知のとおり、中等症1は酸素投与の必要はなくとも「呼吸困難、肺炎所見」がある状態で、国のマニュアルでも中等症1は入院治療の対象だ。実際、大阪でもこれまでは中等症以上の患者および基礎疾患など重症化リスクがあり中等症に移行するおそれのある患者などが入院対象となってきた。だが、大阪府では中等症1が入院対象から外され、入院治療を受けられなくなる、というのだ。これはもはや「医療崩壊」状態と言うべきだろう。
ところが、吉村洋文知事は、昨日おこなわれた囲み会見で、こんな主張をおこなったのだ。
「確保病床数以上に運用されている病床もあり、入院がまったくできないという状況ではない」
「『入院が本当に必要な方をお願いします』という意味で中等症2以上」
「確保病床数以上に運用されている病床もある」と言うが、その数は250〜260床程度であり、ほとんど焼け石に水。それで「入院がまったくできないという状況ではない」と言い張るとは……。だいたい、国のマニュアルでは入院対象とされている人が入院できないのに、一体どこが「入院がまったくできないという状況ではない」だというのか。
しかも、「入院が本当に必要な方」として「中等症2以上」などと強調するのだから開いた口が塞がらない。吉村知事はいつから国の入院基準を変更する権限を手に入れたのか。
ちなみに、吉村知事は「入院フォローアップセンター」が入院調整をする際の基準は「中等症1以上」を維持すると付け加えていたが、先週だけでも約8万人もの新規感染者が出ているというのに、「いまは中等症1だが重症化の危険がある」などといったきめ細やかな判断ができるとは到底考えられないだろう。
1週間前、吉村は「『中等症2で酸素必要な方だけ』という入院基準はやるべきじゃない」と否定していた
実際、つい1週間前には、きのう口にしたこの新たな方針を吉村知事自身が否定していた。
1月末の時点で大阪ではすでに軽症中等症病床の使用率が80%を超えていたのだが、1月31日の囲み会見で吉村知事は「できるだけ早く入院をしてもらって早く治療をするということが重要」と強調し、「極論を言えば『中等症2で酸素が必要な方だけ入院』という入院基準をつくったら病床使用率は一気に下がってくると思うが、それはやるべきじゃないと思う」と語っていたのだ。
つまり、この発言からわずか1週間で「極論」を選択するという異常事態に陥ったというのに、この期に及んで「入院がまったくできないという状況ではない」「『入院が本当に必要な方をお願いします』という意味で中等症2以上(に絞る)」と言い募ったのである。
あたかも適切な医療提供体制を維持しているかのように語ることで、自分の責任問題を回避しようとする──。姑息・卑劣としか言いようがないが、これこそ吉村知事の常套手段だ。
実際、吉村知事はこれまでもコロナで大阪が東京を上回る死者を出していることについて「とくに大阪は高齢化が進んでいる」「大阪は3世代同居率が高く、高齢者施設も多い」などとデタラメ強弁をしてきたが、2日にリモート出演した『キャスト』(朝日放送)では、「昨日も18人が亡くなった。どうして高齢者に感染が広がっているのか、どうしてそこを抑え込めないのか」と問われると、吉村知事は事も無げに「いや、これは全国的だと思います」と返答したのである。
言っておくが、大阪の死亡者数は「全国的」などと言えるような数字ではない。事実、1月1日〜2月6日までの死亡者数は、東京が64人であるのに対し、大阪は138人。なんと2倍以上になっているのだ。つまり、大阪は全国でもずば抜けて死亡者数が多いというのに、吉村知事は高齢者の死亡例が増加しているのは「全国的」だと矮小化したのだ。
だが、これほどの異常な状況に陥っているのは、全国でも大阪だけだ。感染者数も人口比では東京を超えて大阪がダントツのトップであり、死亡者数も大阪はワースト1。さらに、1万件を超える入力漏れが発生し、ついには国の入院基準を維持できず、基本的に中等症2以上でなければ入院できない状況に突入したのだ。
松井市長はオミクロンほったらかしで、ヒトラー問題と立憲叩きを延々ツイート
さらに重大なのは、コロナにおいて大阪が異常な状況に陥るのは今回がはじめてなどではまったくなく、何度も繰り返されてきたということ。本サイトでは繰り返し指摘してきたが、在阪メディアを中心に吉村知事のコロナ失策を検証・追及することもなく礼賛報道にかまけ、「コロナ対策で手腕を発揮!」「「大阪モデル」などで被害を最小化」などとヨイショを繰り広げてきた。その結果、吉村知事や松井一郎・大阪市長は何ら反省することなく、今回の第6波でも感染拡大防止策をおざなりにし、国政の野党攻撃に勤しんできた。
実際、この1週間の松井市長のツイートを見てみると、立憲民主党叩きや維新アピールばかりで、まるで第6波など起きていないかのよう。たとえば憲法審査会の開催をめぐり〈立憲の皆さんはルールを捏造してでも議論を邪魔するのですね。〉とイチャモンをつけたり、前言を翻してのカジノへの税金投入を批判したツイートに対し〈土地賃貸料が年間25億、交付金が1,100億〉と“取らぬ狸の皮算用”的反論とか、門田隆将氏や維新議員たちの立憲批判をリツイートしたり、米山隆一衆院議員の維新批判を揶揄するひろゆき氏のリツイートしたり……。コロナに関するツイートは、3回目のワクチン接種に関する大阪市広報の告知ツイートを2回リツイートしただけだ。
これでは、危機感がなくなって、悲劇が繰り返されるのも当然だろう。
しかも、今回の入院基準の変更によって早期入院・治療ができなくなれば、今後、大阪ではさらに重症者および死亡者が増えていくことは必至。実際、大阪府下に4つの病院を持つ社会医療法人弘道会の生野弘道理事長は「中等症患者に適切なタイミングで治療できなければ、症状が重くなり重症病床を逼迫させる恐れがある」と述べている(毎日新聞2月6日付)。
全国でも突出した最悪の状況を生み出しつづける、最低の知事。この明々白々の事実が報じられないことの弊害によって、再び医療崩壊は起こった。そう言うほかないだろう。(編集部)