2022年2月5日土曜日

コロナ ピークアウトの沖縄で入院増加/「インフルエンザと同じ」のウソ

 4日の全国のコロナ感染者数は9万5453人(累計はクルーズ船の712人合わせて312万3885人)で、同コロナで亡くなった人は全国で103人(累計はクルーズ船の乗船者13人合わせて1万9173人した。

 いずれも急増中でまだピークは見通せません。いち早くオミクロン株が流行した沖縄は新規感染者数の減少傾向が顕著となり、それは喜ばしいことですが、入院患者と施設療養者はいまだ増え続けています。ピークアウトしたからといって安心はできません。
 日刊ゲンダイは、全国でも同じことが起こる可能性が高いとして、「オミクロン株ピークアウトの沖縄で入院増加が続くナゾ  全国で深刻事態の可能性大」とする記事を出し、岸田政権の楽観視に対して警鐘を鳴らしました。
 2日の厚労省専門家組織「アドバイザリーボード」で脇田座長は沖縄の高齢者の感染増に伴う入院患者の増加傾向について、「今後は他の地域でも同様の傾向が見られる可能性がある」と警告しました
 日本は高齢化社会なので、若い人たちの感染が基礎疾患を持つ高齢者に及ぶ中で必然的に起きている現象と見られます。

 世に倦む日々氏の論理はより明快で、
橋下徹や安倍晋三は、コロナはインフルエンザと同じだから感染法上の分類を5類にせよと喚いていて、その主張がメディアによって昨年からずっと刷り込まれ、正論のようわれているが、インフルエンザはコロナと同じではない。何故ならインフルエンザは罹患すれば診療所で検査を受け、陽性ならタミフルなどの治療薬もあるし、効果が確認されているワクチンもあるのに対して。コロナについては厚労省は、医療の提供はしないから自己責任で治せと言っているからである
 そもそも日本は他の国より高齢者の割合が多く、全体として重症化のリスクが高い。オミクロン株は軽症で済むという概念は、若年人口の構成が相対的に高い国で成立した知見で、基礎疾患を持っている者にとっては、オミクロン株の脅威はデルタ株と同じなのである。
 現在の第6波の苦境と混乱は、昨秋ミクロン株を甘く見て正しい分析と予測を怠った結果であるのに、今もなおオミクロン株の今後について楽観論に傾いたまでいる2月中旬以降状況が改善するという保証は何もない(要旨)」
と述べています
 2つの記事を紹介します。
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オミクロン株ピークアウトの沖縄で入院増加が続くナゾ…
  全国で深刻事態の可能性大
                         日刊ゲンダイ 2022/02/04
 3日の新型コロナの新規感染者数はとうとう10万人を超えた。ピークが見通せない中、いち早くオミクロン株が流行した沖縄は新規感染者数の減少傾向が顕著となる一方、入院患者と施設療養者はいまだ増え続けている。ピークアウトで安心はできない。全国でも同じことが起こる可能性が高い。
                ◇  ◇  ◇
 沖縄では昨年末、在沖米軍基地のクラスターから市中感染が拡大した。新規感染者数は元日の52人から7日には1400人を突破。その後、15日の1829人をピークに減少に転じ、3日は652人で10日連続、前週の同じ曜日を下回った。
 ところが、感染者数がピークアウトしても入院患者と施設療養者数は増加傾向が続いている。感染者数が過去最多だった15日の入院、施設療養者は688人だったが、3日は883人。3割近くも増えている。県に聞いた。
「沖縄では当初、入院リスクが低い若者の感染が中心でしたが、だんだん高齢者に広がっていきました。高齢者の場合、入院が必要なケースが少なくないため、入院患者が増えています」(感染症対策課)
 2日の厚労省専門家組織「アドバイザリーボード」でも、沖縄の高齢者の感染増に伴う入院患者の増加傾向が取り上げられた。脇田座長は「今後は他の地域でも同様の傾向が見られる可能性がある」と警告している。

若年層から高齢者に感染広がる
 西武学園医学技術専門学校東京校校長の中原英臣氏(感染症学)が言う。
「オミクロン株は当初、若年層の感染が多かった。入院は少なく、重症、死亡例もまれでした。そのため、『軽症がほとんど』との楽観論が広がった面があります。ところが、ここへきて、若年層から高齢者に感染が広がり、全国的にも入院患者、重症者、死者が急増しています」
 3日発表された全国の重症者数は911人。900人を上回るのは4カ月ぶりだ。死者は90人確認され、第5波の最多(89人)を上回った
 感染者数がピークアウトした沖縄はそのうち入院患者も減少に転じるとみられる。しかし、アドバイザリーボードは「全国的にピークがいつ来るかは見通せない」との分析結果を示している。全国の重症者と死者はしばらく、増え続ける可能性が高い。
 オミクロン株は「弱毒化」が指摘されているが、なぜ、重症者と死者がこんなに増えるのか。
「これまでの新型コロナと異なり、オミクロン株は肺炎の症状は少なく、弱毒化しているのは事実です。ただし、基礎疾患がある高齢者が感染すると危険です。感染した時は軽症でも、その後、持病が悪化し、重症化したり、死に至るケースが起きている。医療が逼迫し、適時・適切な治療が行き届かなければ、さらに深刻な事態も起こり得る。宿泊施設をもっと活用し、今からでも臨時医療施設を増設し、ピークアウト後の医療体制を整えるべきです」(中原英臣氏)
 沖縄の先取り事例を参考にピークアウト後に備える必要がある。


「インフルエンザと同じ」のウソ – 死屍累々と座視等閑の2月
                          世に倦む日々 2022-02-04
3日にサンデーモーニングに出演した二木芳人が、みなし陽性という制度を導入している国は世界に他にないと言っていた。感染者数として集計してWHOに届ける際、不具合が生じるのではないかとコメントした。国際的なニュースにはなってないが、世界の人々はこの事実に驚愕するだろう。PCR検査体制が不十分なため、感染状況を管理できず、感染対策も不全で劣後したままという国は多くある。だが、それは経済的に立ち後れた途上国の話である。

先進国では考えられない。一般的な表象と通念において、日本は世界の中でも公衆衛生の水準が最も高い国で、先進国でも優等生の位置で評価されてきた国だ。その日本が、PCR検査ができないために感染状況を把握できない国になっている。しかも、その日本は、コロナ対策費として2年間に7000億ドルの国費を投じてきた国だ。77兆円の予算を注ぎ込んで、PCR検査ができないため陽性者の正確な捕捉と算定ができない。GDP世界第3位の民主主義の国がである。これはショッキングでミステリアスな事件だろう。

検査なしにどうやってコロナ陽性と診断するのか。発熱、喉の痛み、咳、頭痛、倦怠感など、コロナの症状は風邪・インフルエンザと似ている。患者の訴える症状だけでは特定できない。そもそも、風邪とインフルエンザも見た目で区別できないから、検査して診断するのである。そうした批判が医師から上がってテレビで紹介されているけれど、報道番組のキャスターやコメンテーターは「仕方がない」で済ましている。国会が開かれているのに、野党はこの政府決定をまともに追及しない。何のために77兆円も税金を使っているのか。

私はずっと、野党はコロナ専門家チームを作れと提唱し続けてきた。コロナのシャドーキャビネットの機能を持てと訴えてきた。専門家の知見がないと、政府の判断や方針を説得的に批判できず、オルタナティブのソリューション⇒別の解決策を提案・対置できないからである。枝野幸男はこの問題に関心がなく、政府与党にまともに対抗しようとせず、国民を救う実務の政策力を示して世論の支持を得ようとしなかった。枝野幸男には政治のセンスがなかった。執行部が変わったから動くだろうと期待していたが、泉健太も何もせず無能野党のままだ。

橋下徹や安倍晋三は、コロナはインフルエンザと同じだから感染法上の分類を5類にせよと喚いている。この主張が昨年からずっとマスコミで刷り込まれ、正論のような扱いで有力な政治論調になっている。NHKでもそのプロパガンダが歯止めなく拡散されている。誰も正面から批判しない。小池晃は、今年に入って報道1930のコロナ特集回に二度出演したが、5類に変えろというネオリベ政策に対して反駁と糾弾の論陣を張らず、1/31の放送ではむしろ納得して容認するような姿勢を見せていた。我慢できない。この主張には虚構と陥穽がある。われわれはトリックに騙されている。

インフルエンザには検査と診断があるではないか。タミフルがあり、ワクチン予防もあるではないか。騙されるな。インフルエンザはコロナと同じではないのである。発熱した、咳が出る、インフルエンザに罹ったかもしれないと思ったとき、人は健康保険証を持って内科医に受診に行く。そこで検査を受け、陽性なら治療薬を処方される。風邪なら抗生物質をもらって帰る。医療を受けられる。橋下徹や黒岩祐治のコロナ対策、それが現実に施策発動された今回の厚労省の通達はそうではない医療の提供はしないから自己責任で治せと言っている

実際、神奈川県も東京都も同じだが、50歳未満は自分で健康観察するという新制度になっている。2日の報道では、東京都が保健所のコンタクトとケアの代わりに用意した「自宅療養サポートセンター」には、電話が殺到して応答できたのは3割だとある。7割は放置されたままで、この7割にはパルスオキシメーターも配られない。東京都の3日の新規感染者数は2万679人。児玉龍彦は、市中の陽性者はこの4倍に上ると推計を出している。3日のNHKのニュースでは、電話がクリニックに殺到して要求に対応できなくなっている現状が報道されていた。PCR検査キットも不足している。発熱難民が多数出ている。

橋下徹や黒岩祐治やネオリベ専門家は、オミクロン株はインフルエンザと同じ扱いでよく、保健所が対処する必要はなく、それより経済を回せと言う。だが、少し考えれば分かるけれど、インフルエンザで発熱難民になることはないのだ。「インフルエンザと同じだ」という言説は虚偽である。それは、健康で資産と人脈があり、医療に即アクセスできる者の言い分であり、コロナに罹っても脅威を感じない者の見方である一般庶民の立場の代弁にはなっておらず、そこには虚構と欺瞞がある。棄民政策を正当化する者の巧詐がある。ネオリベの奸計だ。発熱難民になるはずのない者の言葉を信用してはいけない。

昨日(3日)あたりになって、ようやく、日本の高齢化社会の特徴が言われ始め、他国と違ってオミクロン株でも医療逼迫になるという問題が提起され始めた。日本は、他の国より高齢者人口の割合が多く、全体として重症化のリスクが高い。オミクロン株は軽症で済むという概念は、若年人口の構成が相対的に高い国で成立した知見だ。70代になって基礎疾患や既往症を持ってないという人は稀だろう。65歳以上の高齢者は日本の3割を占める。持病を抱えながら現役で働いている者も多く、経済社会を回しているまさに主力の一部だ。

基礎疾患を持っている者にとっては、オミクロン株の脅威はデルタ株と同じなのである。であれば、オミクロン株に対してもデルタ株と同じ公衆衛生上の対策をとらないといけないはずだ。実際に重症病床は埋まってきていて、現場の医療者が疲弊とキャパオーバーを訴えている。今後の感染者数の予測については、専門家によって見方が分かれていて、どれが正しいのかは分からない。政府とマスコミは、来週(2/6-12)にピークに達して下降するだろうという予測の下に楽観的方向にシフトしていて、ウィズコロナで経済を回すという信念と態度に凝り固まっている。

ウィズコロナという金科玉条の下で、現在の無規制の放置政策を続けている。が、専門家の予測の中で名工大の平田晃正が出したものを見ると、陽性者数は2月中旬になっても高止まりし、高原状のグラフで推移するという分析になっている。普通に考えたとき、日本は欧米とはオミクロン株流行の前提条件が違っていて、(1)3回目接種が進んでおらず、(2)高齢者が多い、のだから、平田晃正が描く予測カーブが現実化しておかしくない。少なくとも、高齢者の感染が増えて入院が必要になる者の数が多くなると考えるのが妥当だ。今、政府と野党とマスコミの等閑と楽観によって、多くの国民は2月中旬以降状況が改善すると安心しきっていて、社会に緊張感はない。

現在の第6波の苦境と混乱は、昨秋にわれわれがオミクロン株を甘く見て、正しい分析と予測を怠った結果である。そして現在なお、われわれはオミクロン株の今後について楽観論に傾いた構えのままでいる。ウィズコロナの「理念」をオミクロン株の「分析」に投影させ、都合のよい(おそらく非科学的な)主観的認識で固まっている。ひょっとして、2月中旬以降、恐ろしい破局が日本を襲うのではないか。昨夏の地獄図以上に、そこら中で医療難民化した低所得高齢者が溢れ、病床と治療にありつけず、救急搬送されず、保健所から見捨てられ、声も上げられないまま自宅で命を落として行くのではないか。