2022年2月19日土曜日

「経済安保法」で官僚は“天下り先”確保 政治家にも献金が

 太平洋戦争終結後、政府は経済復興のための政策拠点として経済安定本部経安本)」を発足させました。経安本経済安定の基本的施策の企画立案、物価の統制、経済統制を所管するとともに、関係する他の行政機関との総合調整および推進も担いました。文字通り国を挙げて復興の過程で戦後の日本経済に大きな影響を与えたと言われています。
 岸田政権が目玉の政策としている「経済安保推進法」はそれに似通った名前ですが、経安本のような機能を発揮できるかと言えばNOです。
 政治評論家の本澤二郎氏は、経済安保は典型的な“統制経済”、戦前の“官僚社会主義”そのものこのままでは経済全体を萎縮させてしまうだけでなく、政治家と官僚が甘い汁を吸う可能性がある」と警告しています
 当然、一部企業も官僚と結託して甘い汁を吸うことでしょう。企業はそれを狙って既に体制を整えつつあるということです。日刊ゲンダイが取り上げました。
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「経済安保法」で経産官僚は“天下り先”確保か…政治家にも献金ジャブジャブの可能性
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 予想通りの展開になりそうだ。岸田政権がシャカリキに進めている「経済安保推進法」が、経産官僚の“天下り先”確保に利用される可能性が出てきた。毎日新聞(17日付)によると、すでに三菱電機や富士通、NECといった大企業は“担当部署”を設け、経産官僚OBを担当役員に就けているという。

「経済安保」は、国家の安全保障のために企業活動に縛りをかけるというものだ。法案は、①半導体などの重要物質を安定的に確保するためのサプライチェーンの強化 ②サイバー攻撃に備えた基幹インフラの事前審査 ③先端技術開発の官民協力 ④特許の非公開の4本柱。罰則規定も設けられ、最大で「懲役2年」の罰則がある。
 自民党は16日に開いた合同会議で法案を了承、政府は来週25日に法案を提出する予定だ。

 経済安保法案の最大の問題は、具体的にどの企業が、どんな制約を受けるのか、法律に明記されないことだ。役所が「政令」や「省令」で定めることになっている。要するに、経産官僚の“胸三寸”になる可能性があるということだ。大企業が経産官僚OBを担当役員に就けているのも、経産官僚が絶大な権限を握るからだ。
 さらに「これで自民党には、また政治献金が集まるのではないか」と囁かれている。

「役所を抑えられるのは、政権与党の大物議員と昔から相場が決まっています。企業が政治家に献金するのも、役所に口を利いてもらったり、役所の圧力をはね返してもらいたいという下心があるからです。いま、自民党の商工族のドンは、甘利明前幹事長です。自民党の“経済安保対策本部”の座長も務めている。甘利さんに献金が集まっても不思議ありません」(霞が関関係者)

 しかし、もし「経済安保」によって、大臣室で現ナマを受け取っていた政治家にカネが集まるなら、国民は怒りを爆発させるのではないか。政治評論家の本澤二郎氏が言う。
経済安保は典型的な“統制経済”、戦前の“官僚社会主義”そのものです。日本は自由経済の国だったはずです。このままでは経済全体を萎縮させてしまうでしょう。しかも、政治家と官僚が甘い汁を吸う可能性がある。岸田首相はどこまで理解しているのでしょうか」

 誰が笑っているのか、目を凝らす必要がありそうだ。