今日のウクライナ問題は2014年2月に米国の手厚い援助と指導で引き起こされたクーデターに起因しています。クーデターの直前に、当時米国国務次官補だったビクトリア・ヌーランドが現地に乗り込んで最終打ち合わせてしていますが、当時の上司はバイデン副大統領でした。
2人の関係はその後も維持され、現在はジョー・バイデン大統領とビクトリア・ヌーランド国務次官という関係にあります。バイデンは当時から大のロシア嫌いでした。
血塗られたクーデター以降、ロシア系住民が居住するドンバス(ドネツクやルガンスク)に対して、度々キエフ政府の暴力分子は「侵攻」と殺戮を繰り返しています。クーデター以前は、ウクライナ系住民とロシア系住民はそうした対立関係にはありませんでしたが、いまや一部暴力分子によってロシア系住民への攻撃とそれに対する反撃という厳しい対立関係に発展しました。それをこのままでいいというわけにはいかないし、単にウクライナの内政問題と割り切ることも不自然です。
櫻井ジャーナルが、「プーチン露大統領がドンバスの独立を承認すると発表」という記事を出しました。ドンバスにロシア軍が乗り込んでロシア住民を守ることになります。
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プーチン露大統領がドンバスの独立を承認すると発表
櫻井ジャーナル 2022.02.22
ロシアのウラジミル・プーチン大統領はドンバス(ドネツクやルガンスク)の独立を承認すると伝えられている。すでにウクライナのボロディミル・ゼレンスキー大統領の発言からも同国の軍や親衛隊を大統領がコントロールできていないことが推測できたが、プーチンは軍への命令がNATOの司令部から来ていると主張、またロシアの安全が脅かされる事態になり、奇襲攻撃の危機も迫っているとしている。
アメリカのジョー・バイデン大統領は就任早々、「ルビコン」を渡ってしまい、後戻りできない状態になっていた。ロシアは「一線」を超えれば厳しく対応する意思を示していたが、バイデンはその一線を超えたということだろう。
アメリカのバラク・オバマ政権がネオ・ナチを使い、ウクライナのビクトル・ヤヌコビッチ大統領をクーデターで排除したのは2014年2月22日のことだった。その時のアメリカ副大統領がバイデンにほかならない。
言うまでもなくクーデターは憲法に反する行為である。ヤヌコビッチの支持基盤だった東部や南部ではクーデターを受け入れない人が多く、クリミアでは3月16日にロシアとの一体化の是非を問う住民投票が実施された。投票率は80%を超え、そのうち95%以上が加盟に賛成したと発表されている。
アメリカやその従属国では、アメリカの支配層にとって都合の悪い選挙結果は不正だとされる。クリミアでもそうした宣伝がなされたが、この住民投票では国外からの監視団が入り、日本やアメリカに比べれば遥かに公正なものだったと考えられている。
5月2日にはオデッサで反クーデター派の住民が虐殺された。「サッカー・ファン」を装った「右派セクター」の集団が広場でテントを張っていた反クーデター派の市民を襲撃、何人かを殺害している。この右派セクターはネオ・ナチの一派だ。
ボロディミル・ゼレンスキー大統領は右派セクターを率いているドミトロ・ヤロシュを昨年11月に参謀長の顧問に就任させたと伝えられているが、この人事は無視できない。
ヤロシュは2007年頃からNATOの秘密部隊ネットワークに参加しているとも言われている。西側の有力メディアが売り出している「アゾフ大隊(またはアゾフ連隊)」を率いている人物はヤロシュの部下だ。
ところで、オデッサの反クーデター派の市民は労働組合会館の中へ誘導され、そこで虐殺されて建物は放火された。50名弱が殺されたと伝えられているが、これは地上階で発見された死体の数にすぎず、地下ではさらに多くの人が殺され、運び去られたと証言する人もいた。その際、警官が傍観している様子が映像に残っている。
ロシアの戦勝記念日である5月9日にクーデター軍は戦車をドネツク州マリウポリ市へ突入させて市内を破壊、非武装の住民を殺害しているのだが、住民の抵抗にあっている。その様子は住民自身が携帯電話で撮影し、世界へ発信された。そうした部隊が入らなかった(入れなかった)クリミアとは全く違う光景がそこにはあったのだ。
そこからドンバス(ドネツクやルガンスク)における戦いは始まるのだが、反クーデター軍には少なからぬウクライナ軍の将兵や治安機関の隊員が合流したとも言われている。ネオ・ナチに従属することはできなかったのだろう。そうしたこともあり、軍を信頼できない人びとは「右派セクター」をはじめとするネオ・ナチを中心に親衛隊を創設した。
クーデター軍の戦術は、まずターゲットの地域を軍隊で包囲して兵糧攻めにし、放送、電話、通信手段を断つことから始まる。その上で地上軍と航空機を組み合わせて戦略的に重要な施設を攻撃、住民を追い出して残った人びとは殺す。掃討作戦が終了した後に電力や通信を復活させるのだが、避難した住民が帰還してきたなら分離独立に賛成しているかどうかをチェックし、「ロシア嫌い」だけが帰還、あるいは移住を許されるという手順。
この作戦はアメリカ軍系のシンクタンク、RANDコーポレーションが作成したプランに従って遂行されているとも言われているが、それだけでなく、アメリカ政府はCIAやFBIの専門家数十名を顧問として送り込んだ。傭兵会社「アカデミ(旧社名はブラックウォーター)」の戦闘員約400名もウクライナ東部の制圧作戦に参加したとも伝えられていた。