新型コロナ第6波は、ようやく新規感染者数は減少傾向が見られるものの、死者数は高止まりが続き、累計は日毎に増大しています。最も深刻なのが高齢者施設で、医療が行き届かずに命を失う“手遅れ死”が多発しています。
1月1日以降の死者の累計は大阪府が圧倒的に多く、人口100万人当りに換算すると
84・8人で、全国平均の2・3倍、東京都の3倍です。
今後の死者数に影響を与える重症者数も、1月1日以降の増分では全国総数の53%を占め、人口100万人当りに換算すると86・8人で、全国平均の7・5倍、東京都の15・2倍です。
詳細は下表のとおりです。
1月1日以降のコロナ死者累計と重症者数の増分(2月25日時点)
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| 全 国 | 東京都 | 大阪府 |
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| 死者数 実数 | 4,618 | 389 | 750 |
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| 100万人当り | 36・7 | 27・9 | 84・8 |
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| 重症者 増分 | 1,456 | 79 | 767 |
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| 100万人当り | 11・6 | 5・7 | 86・8 |
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18日の大阪府新型コロナ対策本部会議の資料によると、17日時点で陽性者が複数発生している高齢者施設と障害者施設は426施設で、入所者の陽性者3125人のうち、入院できているのは349人(11%)にすぎません。426施設のうち、病院での治療や往診など「医療介入」があったのは、158施設(37%)で、6割超の施設は医療機関の手が届いていないというのが実態です。
またも医療崩壊で、これでは重症者数も死者数も増える一方です。大阪府・市のトップはこの実態をどう考えているのでしょうか。言い逃れに腐心している場合ではありません。
日刊ゲンダイの記事を紹介します。
お知らせ
都合により28日の記事の更新は夕方になります。
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高齢者施設で“手遅れ死”多発…
第6波死者数突出の大阪では6割超の施設が医療提供ナシ
日刊ゲンダイ 2022/02/26
第6波の新規感染者数は減少傾向が見られるものの、死者数は高止まりが続く。最も深刻なのが高齢者施設だ。医療が行き届かずに命を失う“手遅れ死”が多発している。
厚労省によると、14~20日の1週間に全国で発生したクラスターは、過去最多の1253件。高齢者施設などの「福祉施設」が699件と最も多く、「学校・教育施設」276件、「医療機関」179件をはるかにしのぐ。「飲食店」はわずか9件だった。
死者増も高齢者施設が震源地だ。読売新聞の集計によると、都内の高齢者施設で療養中の死亡例は1月が3人だったのに対し、今月は23日時点で35人に上る。
高齢者施設の入所者が感染しても、軽症なら施設内療養となることが多い。問題は急変した時だ。高齢者施設は医療機関ではなく、すみやかに病院に入る必要があるが、対応が追いついていないのだ。もともとリスクの高い高齢者だけに、治療の手遅れは死に直結する。
3月にも第6波死者が1万人超え
第6波の死者数が突出している大阪の衝撃データがある。
18日の大阪府新型コロナウイルス対策本部会議の資料によると、17日時点で陽性者が複数発生している高齢者施設と障害者施設は426施設。入所者の陽性者3125人のうち、入院できているのは349人(11%)にすぎない。
さらに、426施設のうち、病院での治療や往診など「医療介入」があったのは、158施設(37%)。実に6割超の施設は医療機関の手が届いていないことになる。
「今頃、政府は高齢者施設の3回目接種を急いでいますが、効果が出るのはまだ先。急変し、すぐに入院できなければ、手遅れで死亡するケースは避けられません。当面、高齢者施設を中心に死者数が高止まりする可能性があります」(医療ガバナンス研究所理事長・上昌広氏)
第6波(1月~23日)の死者数は4196人。足元(23日までの1週間平均)の1日当たりの死者数228人が続けば、来月にも第6波の死者は1万人を超える計算だ。
24日の参院予算委員会で、岸田首相は高齢者施設に医療が届いていない問題について「施設への医療従事者の派遣単価の拡充など強化を行っている」と答弁。カネを積めば何とかなると思っているのか。高齢者施設の前倒し接種に“ブレーキ”をかけた岸田政権の罪は大きい。