2022年2月5日土曜日

05- スクープ コロナ対策の大穴 米軍の「検査なし入国」(しんぶん赤旗)

 3日の衆院予算委で、立民党の源馬謙太郎議員が昨年9月の時点で在日米軍が出国前検査を免除することにしたと通知したというNHK報道を引用して質問したのに対し林外相は「日本政府が確認したのは昨年1224日であり、それよりも前に日本側に通知していたとの認識は誤りである旨、米軍に申し入れたと答弁しました。

 しかし日曜版編集部が、「昨年9月からの検査なし入国という事実を在日米軍はいつ日本側に伝えたのかと電子メールで在日米軍司令部に質問したところ、同司令部は「いうまでもなく日本政府には絶えず情報提供を続けてきた」と回答し、「少なくとも昨年9月末までには日本政府に伝えたという意味か」との質問に「イエス」と答えていました。
 これを伝えた「しんぶん赤旗」日曜版(2月6日号)のスクープが、国会でも大きな話題になっています。
 しんぶん赤旗の記事と日曜版のスクープ記事を紹介します。
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水際大穴の米軍「検査なし入国」 日本政府 9月に把握
          日曜版スクープが衝撃
                       しんぶん赤旗 2022年2月4日
 在日米軍司令部が「検査なし入国」を始めた昨年9月時点で日本政府に伝えていた―。「しんぶん赤旗」日曜版(2月6日号)のスクープが、国会でも大きな問題になっています。
 米軍が日本に向かう米兵の出国前検査を免除したのは昨年9月3日。この米兵の「検査なし入国」が新型コロナウイルスの水際作戦の「大穴」となり、国内で“米軍由来”の感染拡大を招きました。
 日曜版編集部は、昨年9月からの「検査なし入国」という事実を在日米軍はいつ日本側に伝えたのか、と電子メールで在日米軍司令部に質問。同司令部は「いうまでもなく日本政府には絶えず情報提供を続けてきた」と回答し、編集部の「少なくとも昨年9月末までには日本政府に伝えたという意味か」との質問に「イエス」と答えていました
 NHKも同様のニュースを報道。2月2日付でホームページ上に在日米軍司令部からの質問回答文書の日本語訳全文を掲載し、「なぜ緩和した際、日本政府に情報を共有しなかったのか」との質問に対して、米軍側は「言うまでもなく、とられている措置については、日本政府に対して情報を提供してきた」と回答しています。

林外相は否定
 林芳正外相は3日の衆院予算委員会で、立憲民主党の源馬謙太郎議員がNHK報道を引用し質問したのに対し、「昨年9月の時点で、在日米軍が出国前検査を免除することにしたという通知を受けていない」と否定しました。
 林外相は「出国前検査が免除されたことを日本政府が確認したのは昨年12月24日であり、それよりも前に日本側に通知していたとの認識は誤りである旨、米軍に今般申し入れたところ」と答弁。申し入れは、外務省北米局地位協定室が在日米軍司令部にメールで行ったとし、米側の回答期限については「詳細は差し控える」と述べました。

国民の命にかかわる問題 日本政府は責任ある対処を
志位氏要求
 日本共産党の志位和夫委員長は3日の記者会見で、新型コロナウイルスの入国前検査をめぐって在日米軍と日本政府の説明が食い違っている問題について問われ、「まさに国民の命にかかわる問題で、どちらかが虚偽を言っているということがはっきりしている以上、日本政府としてきちんとしかるべき対処をすべきだ」と述べました。
 志位氏は「政府が確認したのは12月24日だというのであれば、メールで担当者が伝えるレベルの話ではない。米側の言う通りなら、岸田政権が9月に知りながら隠していたことになる。大変な問題だ」「もし岸田政権の言う通りなら、米側がうそをいっていることになる」と指摘。在日米軍司令部は、「しんぶん赤旗」の取材だけでなくNHKの取材に対しても同じように日本政府に伝えたことを確認しているとして、「私たちは、米側が9月に日本政府に伝えていたことが事実だと思うが、日本政府がそうでないというのなら、担当者の対応ではなくて、きちんとした対応をやるべきだ」と述べました。


スクープコロナ対策の大穴 米軍の「検査なし入国」
岸田政権知っていて放置 重大疑惑浮上昨年12月「確認」のはずが・・・
在日米軍司令部〝昨年9月には伝えた”
                 しんぶん赤旗日曜版 2022年2月6日号
 「検査なし入国」を始めた昨年9月時点で日本政府に伝えていた-。編集部の取材に在日米軍司令部が認めました。事実とすれば、日本に向かう米兵が「検査なし入国」だと知りながら、岸田政権は新型コロナウイルスの水際対策の「大穴」を放置し、″米軍由来″の感染拡大を招いたことに。岸田政権は「検査なし入国」は昨年12月末に「確認した」と説明しており、国民にウソの説明をしていた疑いも出てきます。     田中一郎 記者
 林芳正外相によると、米軍が日本に向かう米兵の出国前検査を免除したのは昨年9月3日(同年12月24日の記者会)。以降、ワクチン接種が完了している米兵には検査をしていませんでした。
 米軍の「検査なし入国」について松野博一官房長官は、米軍キャンプ・ハンセンでのクラスター(感染者集団)発生判明(昨年12月17日)を受けた在日米軍とのやりとりで「確認された」と発言しています。(昨年12月28日の記者会見)
 昨年9月からの「検査なし入国」という事実を在日米軍はいつ日本側に伝えたのか-。編集部の電子メールでの取材に在日米軍司令部は「いうまでもなく日本政府には絶えず情報提供を続けてきた」と回答。編集部の「少なくとも昨年9月末までには日本政府に伝えたという意味か」との質問に「イエス」と答えました。
 「検査なし入国」を始めた昨年9月の時点で、在日米軍司令部はその事実を日本政府に知らせていたというのです。

感染拡大に影響
 その出国前検査を米軍が免除して2ヵ月後の昨年11月に新たな変異株「オミクロン株」の感染が世界的に拡大。岸田政権は同月30日から全世界からの外国人入国停止を始めました。
 ところが在日米軍の特権を定めた日米地位協定に基づき米軍関係者はこの水際措置の対象外。しかも米兵は出国前検査すら受けておらず、水際対策に「大穴」があいていたのです。
 その後、日本各地の米軍基地でクラスターが発生し、市中感染につながりました。米軍岩国基地を抱える山口県の村岡嗣政知事は検査なしの入国が「感染拡大に大きく影響したのではないか」と語っています。(1月7日)
 松野官房長官によると、米軍は昨年12月26日以降、日本に向かう米兵の出国前検査を再
開しています。岸田政権が早い段階から「検査なし入国」を許さず、出国前検査を徹底させていれば、米軍由来の感染爆発をある程度抑え込むことができた可能性があります。
 昨年9月の時点で「検査なし入国」について米側から知らされていたのではないのかとの編集部の質問に外務省日米地位協定室は「イエス、ノーでは言えないところではある」と回答。「(検査なし入国を)確認したのは(外相が会見した昨年)12月24日だ」とのべました。
 在日米軍司令部の回答が事実とすれば、水際対策の「大穴」を知りながらなぜ岸田政権は手を打たなかったのか。岸田政権は、国民に真実を明らかにすべきです。