7日付の田中淳哉弁護士のブログに、
「【あすわか解説】敵基地攻撃能力について」( 上越中央法律事務所 )
が載りました。
10項目にわたり、すべてイラスト付きで分かりやすく説明されています。
公表された経緯などについては「前書き」のところに書かれています。
以下に紹介します。
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【あすわか解説】敵基地攻撃能力について(田中淳哉弁護士)
あすわか(明日の自由を守る若手弁護士の会)が、「敵基地攻撃能力」の問題について、イラストつきで解説をつくり、ブログやTwitterで発信しています。
柳澤協二さん(元内閣官房副長官補、安全保障危機管理担当)の監修で、「敵基地攻撃能力」の保有がいかに無謀で現実離れしているかが、コンパクトにまとめられています。細部にまでこだわって描かれている大島史子さんのイラストも理解を助けてくれます。
ブログやTwitterは分割されているので、まとめ読みできるようにこちらに全体をアップします。また、イラストと解説コメントをセットにしたものをPDFにしたので、こちらからダウンロードしてご活用ください→20220207105344
1 敵基地攻撃能力って?
岸田政権は「国民の命や暮らしを守るため」といって“敵基地攻撃能力”の保有に積極的な姿勢を示しています。
「敵基地攻撃能力」というのは、飛んでくるミサイルを迎撃するのとはちがい、敵の基地などのミサイル発射拠点・発射装置を攻撃する能力のことです。
さらに岸田首相はこの敵基地攻撃能力を「他国への攻撃に反撃する集団的自衛権として行使する可能性」にも言及しましたそもそも何それ?ほんとに必要なの?一緒に考えてみませんか。
2 他の国からは攻撃の準備に見える
「敵基地攻撃能力」を日本が持つと、他の国からは日本が他の国を攻撃する準備をしているように見えるよね。
そうだとすれば、他の国は、日本が「敵基地攻撃」をするより先に日本をやっつけないといけないから、日本に対して「敵基地攻撃」をしてもOKになるはずだよね。本末転倒です。
3 発射台の場所がわからない
ミサイル基地をつぶせ!っていっても、ミサイル発射台が何台あるかも、ミサイル発射台の全部がどこにあるのかも分からない。
そんな機密情報を他国に教えるはずないでしょ。山奥かもしれないし、他国との境界付近かもしれないし。常に情報を教えてくれるスパイがその国全土にいないと無理でしょ~。
4 どこを狙っているかわからない(先制攻撃になりかねない)
「日本への攻撃に着手」なんて、知ることはできないよ。仮に人工衛星か何かでミサイルへの給油の様子を捉えたとしても、それだけで日本を狙ってるかどうかは不明だね。
オンタイムで発射を見守る技術も無いし、日本が標的と思い込んで基地を破壊したら、国際法上許されない先制攻撃になる可能性大!
5 移動されると空振りに
基本的なことですが…「敵基地」のミサイル発射台を攻撃するといっても、発射台っていつも同じ場所にないよね?
こちらが見つけてから攻撃するまでに、タイムラグがあるよ。その間に車輪を使って動かせちゃう。そしたら、ピンポイントで狙わなきゃ意味ないよ。空振りになって日本が危なくなっちゃう。
6 他の国の不安をあおる
せめて専守防衛の自衛隊だったら、他国の脅威にはならないから、攻撃もされないんじゃないかな。
でも、専守防衛どころか先制攻撃にも見えかねない「敵基地を向いているミサイル配備」を見せちゃったら、他国だって日本を攻撃しないと!と考えちゃうんじゃない?(文句言えないよね)
7 全てを破壊するのは不可能で、反撃を招くことになる
イラク戦争では「世界最強」のアメリカ軍でも、イラク軍のミサイル発射台を半分ちょっとしか破壊できなかったんだ。
北朝鮮は200発以上のミサイルに加えて発射台もたくさんあると言われているから、全部を発射前に攻撃~なんて不可能。
攻撃が外れたら、当然向こうも反撃してくるよ。
8 日本が狙われていなくても使われる可能性がある
日本政府は、仮にアメリカがどこかの国に攻撃されそうになったときには、日本が、「集団的自衛権の行使」として敵基地を攻撃することも憲法許される、と国会で答弁しているから、日本自身が攻撃されてなくても日本がどこかの国をミサイル攻撃するってことにも使われかねないよ。
9 お金がかかりすぎる
最新型のミサイル、最新型の戦闘機…きりがない軍拡に、私たちの納めた税金を注ぐのって、そもそもお金の使い道としてどうよ?
税金は、まずはコロナ対策、貧困対策、子どもの就学支援、保健所・病院の増設とか、国民の人間らしい生活を保障するために使うべきなんじゃない?
10 いちばん合理的なのは
結局「抑止力」での脅し合いは、終わりのない軍拡競争になるよね。
経済的にも地政学的にも、なにより「平和のうちに生存する権利」の保障という点からも、有限な資源や税金を軍拡に使うんじゃなくて、平和外交の努力を積み重ねて戦争の芽を摘むことが、一番合理的だと思うわけ。