2022年1月24日月曜日

24- 資本家が絶対に見せたくない映画 (植草一秀氏)

 植草一秀氏が「資本家が絶対に見せたくない映画」という記事を出しました。 

 映画の題名は『アリ地獄天国』で、30代の現役正社員による3年におよぶ労働争議に密着したドキュメンタリーです。
 34歳の営業職・西村有さん(仮名)は、会社の方針に異議を唱えて、個人加盟の労働組合(ユニオン)に加入します。会社はシュレッダー係への配転を命じ、給料は半減され、ついには懲戒解雇にまで追い込まれてしまいますが、清水執行委員長が率いる労働組合の精力的な活動が着実に成果を上げ解雇は撤回されました。しかし復職後もシュレッダー係のままで、会社に反省の色は見られませんでした。
 その点はある意味での限界ですが、植草氏は
 西村さんがたった一人でも闘ってゆけたのは労働者を守る法制があり、その法制に基く労働組合の力強い行動があったからだ。実は日本の労働法制が備える力強い労働者保護の仕組みが十分に知られていない。映画は日本に存在する力強いセーフティネットの一端を垣間見せるものになっている。
 その意味でこの映画は資本家が絶対に見せたくない映画であり、逆に言えば、すべての労働者が必ず見る必要のある映画であると言える
と述べています。
 そして
 今回新たにDVDの販売が開始されたので、貴重な活動を支援する意味でDVD販売に協力いただければありがたく思う。見て良かったと必ず思える優れた作品だ
と訴えています。
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資本家が絶対に見せたくない映画 
                植草一秀の「知られざる真実」 2022年1月23日
私が解説委員を務めているニューズ・オプエド https://op-ed.jp/ 1月19日放送で
「アリ地獄天国」 https://www.ari2591059.com/ というタイトル映画が紹介された。
番組にはこの映画を制作した土屋トカチ監督が出演した。
映画.comではこの作品を次のように紹介している。https://eiga.com/movie/92399/ 

30代の現役正社員による3年におよぶ労働争議密着したドキュメンタリー。

長時間労働を強いられ、事故や破損を起こせば会社への弁済で借金漬けになる状況から、社員たちが自分たちの状況を「アリ地獄」と自嘲する引っ越し会社。

34歳の営業職・西村有さん(仮名)は、会社の方針に異議を唱えて、個人加盟の労働組合(ユニオン)に加入する。

ユニオンに加入した西村さんに会社はシュレッダー係への配転を命じ、給料は半減、西村さんは懲戒解雇にまで追い込まれてしまう。

ユニオンの抗議によって、解雇は撤回されたものの、復職後もシュレッダー係のままで、会社に反省の色は見られなかった。

監督は「フツーの仕事がしたい」など労働問題に関する映像作品を数多く手がけてきた土屋トカチ。

貧困ジャーナリズム賞2019
第20回ニッポン・コネクション​第1回ニッポン・オンライン賞(ドイツ)
第2回ピッツバーグ大学日本ドキュメンタリー映画賞 ​グランプリ(アメリカ)
門真国際映画祭2020ドキュメンタリー部門優秀作品賞
福井映画祭14TH長編部門観客賞
2020年・第94回キネマ旬報ベスト・テン文化映画ベスト・テン第8位
第1回日本の窓ドキュメンタリー映画祭 2021賞受賞(フランス)
など、多くの受賞歴を有する。

今回、新たにDVDの販売が開始され、その告知を兼ねて番組で紹介された。
https://www.ari2591059.com/dvdanantstrikesback 草の根のドキュメンタリー作品。
貴重な活動を支援する意味でDVD販売に協力いただければありがたく思う。
見て良かったと必ず思える優れた作品だ。

映画の主人公西村さんは苦境に対して力強く立ち向かってゆく。
誰でも心が折れてしまうような状況の中にあって、明るく気丈に振る舞う。
劣悪な労働環境。会社の非人道的な対応に対して、ひるむことなく立ち向かってゆく。
その支えになっているのが、家族であり、映画を制作する土屋氏であり、そして労働組合だ。
西村さんが個人で加入した労働組合はプレカリアート。

たった一人でも加入できる労働組合。https://www.precariat-union.or.jp/ 
プレカリアートのサイトを見ると、
「誰でも1人から加入できる労働組合」
「非正規雇用・若年正社員
 働く人の駆け込み寺から砦へ」
と記載されている。
映画ではプレカリアート執行委員長である清水直子氏の力強い行動が描かれる。

日本の労働法制は労働者の権利をしっかりと守る体制を整えている。
企業は団体交渉を拒絶することができない。
労使の紛争が労働委員会に持ち込まれれば企業は真摯な対応を強制される。
西村さんがたった一人でも闘ってゆけたのは労働者を守る法制があり、その法制に基く労働組合の力強い行動があったから。
同時に、映画製作で事実が確実に記録に残されたことも大きい。
労働組合にも加入せず、映像記録も残さずに、たった一人で企業に立ち向かっても押し潰されてしまう。
清水執行委員長が率いる労働組合の精力的な活動が着実に成果を上げる。

新自由主義が大手を振って闊歩する時代。
労働者はいかにして我が身を守ることができるか。
実は日本の労働法制が備える力強い労働者保護の仕組みが十分に知られていない。
映画は日本に存在する力強いセーフティネットの一端を垣間見せるものになっている。
その意味でこの映画は「資本家が絶対に見せたくない映画」であり、逆に言えば、すべての労働者が必ず見る必要のある映画であると言える。

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             (以下は有料ブログのため非公開)