2022年1月23日日曜日

公的年金0・4%引き下げ 「減らない年金」への転換こそ

 厚労省は21日、22年度の公的年金額を0・4%引き下げると発表しました。これで安倍・菅・岸田の自公政権10年間で、公的年金額は実質6・6%も削減されることになります。
 アベノミクスが事実上目指した円安政策の影響で、灯油・ガソリン・火力燃料代(電気代)をはじめ各種輸入品の価格が軒並み上がり急激なインフレが起きようとしている中で、何故生活保護費を上げるのではなく、切り下げるというのでしょうか。
 国の基準は、前年度の物価変動率と実質賃金変動率の低い方に合せる(マイナスの大きい方に合せる)というもので、支給額を「下げる」ことを目指したものです。それだけでなく、もしもその両方がプラスであった場合は、「マクロ経済スライド」率が低ければ、それを適用して、兎に角「下げる」ということです。
 見逃せないのは賃金変動率が「実質賃金」ベースであることで、インフレで物価が上がっても賃金の上昇はそれに伴わないので、結局「実質賃金」のマイナス幅が大きくなることです。
 自民党政権が定めたルールではこの先も生活保護費が際限なく減らされることになり、生活弱者は貧困の苦しみから逃れられません。
 しんぶん赤旗の記事「公的年金0・4%引き下げ 自公政権10年6.6%削減 物価高騰下、2年連続」と、「『減らない年金』へ転換を 改定ルールの欠陥は明らか」を紹介します。
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公的年金04%引き下げ
自公政権10年6.6%削減 物価高騰下、2年連続
                       しんぶん赤旗 2022年1月22日
 厚生労働省は21日、2022年度の公的年金額を21年度から0・4%引き下げると発表しました。引き下げは2年連続。安倍・菅・岸田の自公政権10年間で、公的年金額は実質6・6%も削減される事態になります。食品や電気代など物価が急上昇しているもとでの年金額の削減は、年金が大きな収入源である多くの高齢者や障害者にとって、生活の悪化に拍車をかけることは必至。「年金削減を中止し、減らない年金に」との声があがっています。
 毎年度の年金額改定は、前年度の年金額に乗じる改定率を示すことで行われます。
 厚労省の発表によると、指標となる21年の物価変動率は「マイナス0・2%」、賃金変動率は「マイナス0・4%」でした。年金額改定のルールで、物価よりも賃金の変動率のマイナス幅が大きいときは、賃金の変動率を改定率にすることにしており、22年度の改定率を「マイナス0・4%」としました。
 一方、公的年金の被保険者数の変動などに応じて、削減幅をさらに大きくする「マクロ経済スライド」の22年度の調整率は「マイナス0・2%」でした。ただし、同スライドは「物価と賃金の変動率がいずれもプラス」の場合に発動するため、今回は見送られます。昨年度の見送り分(マイナス0・1%)とあわせた「マイナス0・3%」の削減は、翌年度以降に繰り越されることになります。
 歴代自民党政権は、年金額を実質削減し続ける制度改悪と運用を推進。安倍政権下の13年度から岸田政権下の22年度までの10年間について、各年度の物価変動率と年金改定率を単純に加算すると、物価の変動率は「プラス5・5%」と上昇しているにもかかわらず、年金改定率は「マイナス1・1%」で、年金額は実質6・6%も削減されることになります。
 年金受給者らでつくる全日本年金者組合の広岡元穂書記長は「燃油高騰による物価高とコロナの影響で、高齢者の暮らしは厳しさを増しています。生活に深刻な影響を与え、家計を直撃する年金削減は中止すべきです」と話しています。









減らない年金」へ転換を 改定ルールの欠陥は明らか
                       しんぶん赤旗 2022年1月22日
 岸田政権は21日、公的年金額の2022年度の改定率を「マイナスO・4」と定め、昨年度につづき、2年連続で年金削減を強行しようとしています。
 厚労省のモデル世帯の試算では、老齢基礎年金(満額は月6万5075円から6万4816円に259円の減額、老齢厚生年金(夫婦2人分)は月22万496円から21万9593円に903円の減額となります。,
 「元自営業で、国民年金をもらって生活していますが、ひもじいです。低所得者層に入ると思います。牛肉買って、すき焼きをしてみたい、そんな願いです。生きていくのがつらい」
 日本共産党本部の「国民の声に電話をかけてきた、老齢基礎年金で暮らす79歳の女性の声です。
 老齢年金の受給世帯の場合、低所得世帯では総収入の8~9割を公的年金が占めています。「マイナスO」の削減を許せば、女性のような低所得の世帯ほど打撃は大きく、貧困と格差の拡大に拍車をかけることになります
 国民に「自己責任」と「弱肉強食」を強いる新自由主義路線を強力に推し進めてきた自公政権は、年金制度について、物価や賃金などに関わる指標″にもとづきながら、年金の支給水準を下げ続けるという改定のルールを強化・徹底してきました。
 今回の削減は、その改定ルールの強化・徹底の総仕上げとして、安倍政権が導入し、21年度から始まった「賃金マイナススライド」によるものです。これは、現役労働者の賃金変動率がマイナスとなった場合は、物価変動率がプラスだったり、賃金より小幅なマイナスだったりした場合でも、ひたすら低い方″に合わせて年金額を削減する仕組みです。
 今回、岸田政権が狙う04%のマイナス改定は、20年度の実質賃金が下がったことを理由にしています。しかし、これは、新型コロナの影響で現役労働者の賃金収入が減ったことや消費税蕎税(19年10月)で物価が上がったことの影響を受けたものです。
 今年に入り、食料品や灯などの価格が上がり続けています。生活必需品の価格高騰が進む中で、なぜ、2年前の賃金低下″を理由に年金が削られなければならないのか ―。政府から、まともな説明はありません。
 物価・賃金などに関わる机上の指標″にもとづいて、「削減ありき」で年金改定率を決める現行の仕組みの欠陥は、いよいよ明らかです。貧困と格差の拡大をまねく年金削減は中止し、改定ルールの抜本的に見直して、「減らない年金」にする改革に踏み出すべきです。
                                 (村崎直人)