2022年1月24日月曜日

日米首脳会談 米国追随で空前の軍拡 首相表明

 無謀な軍備拡張ほど空しいものはありません。GDPが世界一の米国では軍需産業をはじめとしてI T企業や多国籍企業などが「我が世の春」を謳歌していても、庶民生活の実態はまさに「貧困大国」です。

 日本で憲法違反の軍備拡張を進める口実は偏に「仮想敵国の存在」で、それこそは安倍元首相がただ一途に用いてきた手段です。しかしそれは文字通り単なる「仮想」であって事実ではありません。本人もそんなことは百も承知の上で、米国の軍備拡張の要求に迎合するために国民を欺こうと、見え透いた猿芝居をしたのでした。
 岸田首相は21日夜、バイデン米大統領とテレビ会談を行い、「日本の防衛力を抜本的に強化する」「防衛分野における投資を今後も持続させる」と表明し、空前の大軍拡に前のめりの姿勢を示しました。しかし日米地位協定の改定は議題となりませんでした。
 それほど軍備に予算を割けるのであれば、どうしてカツカツで暮らしている生活保護受給者への給付を減らそうとするのでしょうか。
 今なお出口戦略が見い出せない(存在しない)アベノミクスによって、いま輸入品価格高騰で大インフレを招こうとしている中なのに、なぜ安倍元首相が敷いた軍備拡張路線をそのまま踏襲しようとするのでしょうか。
 しんぶん赤旗の主張「日米首脳会談 米国追随で果てしない軍拡か」と、関連記事「空前の軍拡 首相表明 日米首脳会談 バイデン氏が歓迎」を紹介します。
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主張日米首脳会談 米国追随で果てしない軍拡か
                       しんぶん赤旗 2022年1月23日
 岸田文雄首相がバイデン米大統領とテレビ会議方式で初の本格的な会談を行いました。両氏は中国への対抗を念頭に日米同盟をさらに強めることで一致し、岸田氏は新たな「国家安全保障戦略」などを策定し、「敵基地攻撃能力」の保有検討を含め日本の軍事力の飛躍的な強化を表明しました。日本が違憲の「敵基地攻撃能力」の保有に踏み出すことは、軍拡競争の悪循環に拍車をかけ、衝突や戦争という破局的な事態にもつながりかねません。米国に追随し、そうした危険な約束をバイデン氏にしたことは極めて重大です。

地位協定改定の声に背
 会談で両氏は、中国による東シナ海や南シナ海での一方的な現状変更の試みや経済的威圧に反対し、同国をめぐる諸課題に日米が緊密に連携して対応することで合意しました。また「台湾海峡の平和と安定の重要性」を強調し、「日米同盟の抑止力・対処力を一層強化する」ことを確認しました。
 その上で岸田氏は、外交・軍事の基本方針である「国家安全保障戦略」とそれに基づく「防衛計画の大綱」、「中期防衛力整備計画」の3文書を改定し、「日本の防衛力を抜本的に強化する決意」を示しました。さらに「敵基地攻撃能力」も含めてあらゆる選択肢を排除せず検討していくと説明し、バイデン氏は「支持」を表明しました。
 米ホワイトハウスが会談後に発表した声明では、バイデン氏が特に日本の防衛費の支出増加を歓迎し、「こうした非常に重要な投資を長期にわたって持続させることの重要性を強調した」とされています。日本に果てしない軍拡を迫るもので看過できません。
 中国による東シナ海や南シナ海での覇権主義の行動に対しては、国連憲章と国際法に基づいた冷静な批判こそ何よりも重要です。あらゆる紛争を話し合いで解決し、平和的に共存していく道を追求する外交努力に徹することが求められています。
 新型コロナウイルスのオミクロン株の感染が沖縄県や山口県などの在日米軍基地から広がった問題については、岸田氏から指摘したといいます。しかし、日米で「新型コロナ感染症の拡大防止のために引き続き緊密に協力する」としただけです。在日米軍基地から入国する米軍関係者が日米地位協定によって日本の検疫の対象外になっていることは取り上げられなかったとみられます。
 日本政府の権限の下で米軍関係者の出入国管理や検疫を行えるよう地位協定の抜本改定を求める沖縄県などの声に背を向けることは許されません。

核のない世界遠ざける
 会談で両氏は「『核兵器のない世界』に向けてともに取り組んでいく」とし、21日の「NPT(核不拡散条約)に関する日米共同声明」を強調しました。しかし、同声明は22日に発効1年を迎えた核兵器禁止条約には一切触れていません。一方、両氏が「支持」を表明した7日の日米外交・軍事担当閣僚会合(2プラス2)の共同発表は、核兵器による「米国の拡大抑止」の「決定的な重要性」を指摘し、「核の傘」にしがみつく姿勢をあらわにしています。
 会談で岸田氏は「現実主義に基づく核軍縮の考え」を説明したといいますが、それは「核兵器のない世界」を遠ざけるだけです。


空前の軍拡 首相表明 日米首脳会談 バイデン氏が歓迎
                       しんぶん赤旗 2022年1月23日
 岸田文雄首相は21日夜、バイデン米大統領とテレビ会談を行いました。両首脳は日米同盟の抑止力・対処力を一層強化することで一致しました。岸田首相は、国家安全保障戦略、防衛計画の大綱、中期防衛力整備計画を策定することで「日本の防衛力を抜本的に強化する」と表明。空前の大軍拡に前のめりの姿勢を示しました
 ホワイトハウス担当官の記者説明によると、岸田首相は補正予算と本予算を合わせて軍事費を8%増額したことを伝達。バイデン氏は歓迎と支持を表明し、「防衛分野における投資を今後も持続させる」と述べるなど、歯止めのない軍拡の危険な動きが示されました。ホワイトハウス担当官は「日本にとって空前のことだ」と説明しました。

 会談では、東シナ海・南シナ海をめぐり覇権主義的な動きを強める中国に対し日米両国の緊密な連携の必要性を強調。台湾海峡の平和と安定の重要性を確認しました。また、核実験と大陸間弾道ミサイル(ICBM)試射の再開を示唆した北朝鮮への対応に関し、日米・日米韓の連携を強調しました。
 オーストラリア、インドを加えた日米豪印4カ国「クアッド」首脳会談を今年前半に日本で開催することで一致しました。バイデン大統領は就任以来、初来日となります。
 経済安全保障やインフラ投資などを外務・経済担当閣僚が協議する日米経済政策協議委員会(経済版「2プラス2」)を新設することで合意。「経済版2プラス2」は日本側が外相と経済産業相、米側は国務長官と商務長官がメンバーとなり、サプライチェーン(供給網)強化や先端技術の流出防止、脱炭素化などの課題をめぐり連携するとしました。
 在日米軍基地で新型コロナ感染が爆発的にまん延している問題で、両首脳は感染拡大防止での協力に言及しましたが、日本政府の権限下で米軍の出入国管理や検疫を可能にするための日米地位協定の改定は議題となりませんでした。