去年の12月27日、大阪府と読売新聞大阪本社の包括連携協定が締結されました。
前代未聞の出来事です。
作家の適菜収氏が週1連載の「それでもバカとは戦え」のコーナーで取り上げました。
読売については「報道が公正だと思っている人は少数だろうが、それでもこれまでは『公正』のフリくらいはしてきた。しかし今回はその建前すら放り投げ、完全に開き直った」と述べました。
そして維新については「嘘とデマによる手法はナチスそのものである。テーマを絞り、感情に訴えかけるスローガンを繰り返す。指導者を美化し、その過去を隠蔽する。特定の集団を憎悪の対象に仕立て上げ、不況に苦しむ国民のルサンチマン(⇒怨念)に火をつける。
ヒトラーはプロパガンダのために新聞を最大限に利用した」と述べています。
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それでもバカとは戦え
ナチスの手法を彷彿とさせる維新とメディアの連携
読売の報道姿勢を厳しくチェック
適菜 収 日刊ゲンダイ 2022/01/08
2022年は本音と建前の境界が完全に崩壊し、外道がフリチンで公道を歩く世の中になると思われる。それを端的に示すのが、2021年12月27日に行われた大阪府と読売新聞大阪本社の包括連携協定である。これは自治体と民間企業が協力する官民提携の一種であり、教育、人材育成、情報発信など8分野にわたる。そこには大阪・関西万博の開催に向けた協力なども盛り込まれている。
協定締結式には吉村洋文と読売新聞大阪本社社長の柴田岳が出席。「権力監視や中立性はどう保てるのか」「巨大な行政機関がひとつのメディアと特別な関係になるのは良くないのではないか」といった記者からの質問に対し、吉村は「締結によって報道活動への制限、優先的な取り扱いはない」、柴田は「取材・報道とは一切関係がない協定となっている」と返答。しかし、具体的に癒着を制限する方法に言及はなく、柴田は「これまで通り事実に基づいた公正な報道と責任ある論評を通じて、是々非々で大阪府の行政を監視して参る所存であります」と宣言するだけだった。読売の報道が公正だと思っている人は少数だろうが、それでもこれまでは「公正」のフリくらいはしてきた。しかし今回はその建前すら放り投げ、完全に開き直ったわけだ。
この連載では事実に基づき、維新が嘘とデマにより拡大した危険な勢力であることを指摘してきたが、その手法はナチスそのものである。テーマを絞り、感情に訴えかけるスローガンを繰り返す。指導者を美化し、その過去を隠蔽する。特定の集団を憎悪の対象に仕立て上げ、不況に苦しむ国民のルサンチマン(⇒怨念)に火をつける。ヒトラーはプロパガンダのために新聞を最大限に利用した。
現在、維新礼賛や吉村を個人崇拝する異常な記事が連日のように社会に垂れ流されている。国家と国家の武力衝突だけが戦争ではない。今回の件は、国家の中枢に食い込む悪党が合法的に日本および日本人に総攻撃を仕掛けてきたと考えたほうがいい。
こうしたメディアの連中に倫理や道徳を説くのは無駄だ。それが欠如しているからこそ平気な顔で悪に加担するのだ。
今後、国民は読売の報道姿勢を厳しくチェックすべきだ。維新ベッタリの広報紙に成り下がるのなら、カネを出して購読する必要はない。
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適菜 収 作家
近著に「日本人は豚になる」「ナショナリズムを理解できないバカ」など。著書40冊以上。購読者参加型メルマガ「適菜収のメールマガジン」も始動。詳細は適菜収のメールマガジンへ