NHKがオミクロン株の感染力、重症化の年代依存性と発現時期までの期間、医療逼迫の可能性等についてこれまでに分かったことをまとめた記事を出しました。
以下に紹介します。
併せて「新型コロナ、日本人の『ファクターX』は緑茶? 茶カテキンがウイルス感染予防、不活化に効果という論文も」と「打つ? 必要ない? 悩ましいワクチン3回目接種に医師がアドバイス 定量検査を参考にしては」の二つの短い記事を紹介します。
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オミクロン株 感染拡大 これまでにない速さ 一定程度重症化も
NHK NEWS WEB 2022年1月13日
新たな変異ウイルス、オミクロン株によって新型コロナウイルスの感染拡大のスピードはこれまでより格段に速くなっています。
一方、オミクロン株は重症化しにくいとも言われ、感染しても大丈夫なのではないかという声も出てきています。
しかし高齢者などは一定程度重症化するとみられることや、重症化する割合が低くても感染者が大幅に増えると重症者の数が多くなり医療のひっ迫につながるおそれがあるとして、専門家は対策を怠らないよう訴えています。
「重症者増」は高齢者への感染拡大後に
新型コロナウイルスは人と人との接触が多いほど広がりやすく、重症化する割合が低く活動的な若い世代から感染が拡大するため、これまでも当初は軽症の人が多く、重症化する人が増えるのは高齢者や基礎疾患のある人に感染が広がってからでした。
厚生労働省が示しているデータでは、重症化のしやすさは30代を1とした場合
▽10代は0.2倍 ▽20代は0.3倍と低い一方で
▽40代は4倍 ▽50代は10倍 ▽60代は25倍 ▽70代は47倍 ▽80代は71倍
▽90代は78倍と年齢が上がるにつれて高くなっています。
WHOの報告でもオミクロン株は重症化する割合がデルタ株などと比べて低いとされる一方、WHOは「年齢が上がる、基礎疾患がある、ワクチンを打っていない人ではオミクロン株でも重症化する割合は上がる」としています。
日本国内ではオミクロン株による感染拡大が本格化したのはことしに入ってからで、厚生労働省の専門家会合で示された資料によりますと、最も感染が拡大している沖縄県では今月11日までの1週間で感染者のおよそ75%が30代以下で、12日の時点では感染者の95%以上が無症状か軽症と報告されています。
今回の感染拡大でもこれまでと同様、今後、高齢者に感染が広がり重症者が増えることが懸念されています。
「感染者数」増から約2週間遅れで「重症者数」増か
厚生労働省が作成した「診療の手引き」によりますと、これまで新型コロナウイルスに感染した患者は、発症した当初は多くの場合は軽症でも発症からおよそ1週間でおよそ20%は酸素投与が必要になり、およそ5%は人工呼吸器を使った治療が必要になるとされています。
感染から重症化までには多くの場合一定の時間がかかることもあり、去年夏の第5波では1日の感染者数のピークは8月20日の2万5992人でしたが、入院患者数のピークは厚生労働省のまとめで9月1日の2万4081人、重症者数のピークは感染者数のピークから2週間たった9月4日の2223人でした。
今回のオミクロン株による感染拡大でも感染者数の増加から2週間ほど遅れて入院患者数や重症者数が増加するおそれがあり、厚生労働省の専門家会合ではオミクロン株でも慎重に見る必要があると指摘しています。
入院患者数増で医療ひっ迫の可能性
さらに問題となるのが、オミクロン株では感染力がこれまでの変異ウイルスより強いため、重症化する割合が低くても入院に至る患者の数が大きく増えて医療体制がひっ迫するおそれがあることです。
イギリスのデータではオミクロン株で入院に至るリスクはデルタ株に比べて3分の1になっている一方、オミクロン株の感染力は最大でデルタ株の3倍とも報告されています。
イギリスでは新規の感染者数はデルタ株の感染が広がった去年夏以降のピークの3倍以上となる1日20万人を超える日もあり、保健当局によりますと連日2000人以上が新たに入院し、今月11日時点の入院患者数は2万人近くに上るなど医療体制がひっ迫してきています。
また、アメリカでもCDC=疾病対策センターによりますと、感染者数は今月10日、1日あたり140万6500人を超え、入院患者数も14万人余りと過去最多の水準となり医療体制への負荷が高まっています。
国内で最も感染が拡大している沖縄県では感染拡大が始まってから時間が経過し、今月12日の時点で確保病床の使用率は47.1%、重症患者向けの確保病床の使用率も51.4%と医療機関の負担が増加してきています。
専門家「注意必要な状況に変わりない」
専門家は、日本国内でも感染が爆発的に増加すれば重症化する割合が低くても入院が必要な人の数が増え、医療体制がひっ迫する可能性があると警戒しています。
海外の感染症に詳しい東京医科大学の濱田篤郎 特任教授は「今は感染した人は若者が多いが高齢者に広がるとより重症化しやすい可能性がある。重症化リスクが低いといっても注意が必要な状況であることに変わりはない」と話しています。
新型コロナ、日本人の「ファクターX」は緑茶? 茶カテキンがウイルス感染予防、不活化に効果という論文も
松本 浩彦 ドクター備忘録 2021.12.31
まだ総括するには時期尚早でしょうが、日本における新型コロナウイルスによる人的被害は、諸外国と比べて極めて低かったことは異論のないところです。いま海外ではオミクロン株が猛威を降るっており、感染者が急増しています。お隣の韓国は、人口が半分ですので日本に換算すると、毎日1万人が感染し、100人の死者が出ている計算になります。日本では昨夏のピーク時で1日の感染者2万5千人、1日の死者88人でした。
日本でコロナ感染者・死亡者が少ない理由は分かっていません。BCGという説もありましたが、京都大の山中先生は「ファクターX」と呼んでおられます。要は「よく分からん」と言うことです。最新の論文で、日本人の約6割にある白血球の型「HLA-A24」がファクターXかもしれないという報告がありましたが、それだけではないでしょう。韓国は人種も食生活も衛生状態も日本とかなり近いので、コロナに関しても同じような結果がでるはずですが、実際にはまったく違います。では韓国にあって日本にないもの。それは「緑茶」です。
日本人は緑茶をよく飲みますが、韓国人はほとんど飲みません。緑茶による新型コロナウイルスの不活化効果や、茶カテキンがウイルスの感染予防、不活化に効果があるという論文が相次いで発表されています。茶カテキンがウイルスのスパイク蛋白に結合し細胞への感染力を低下させ、ウイルスそのものに対しても不活化が認められたそうです。ただしその論文で使用した新型コロナウイルスは変異株ではないウイルスで、オミクロン株などの変異種に対する効果は不明ですが、ファクターXの正体は「緑茶」ではないか、というのが私がたどり着いた結論です。
打つ? 必要ない? 悩ましいワクチン3回目接種に医師がアドバイス
定量検査を参考にしては
まいどなニュース 2022/01/14
新型コロナワクチンの3回目接種、はたして自分は3回目を受ける必要があるのか、悩んでおられる方も多いと思います。2回目接種後の副反応で辛い思いをされた方は、とくに不安を感じておられるでしょう。コロナにかかりたくはないけど、接種翌日のあの辛い副反応はもうこりごり。
そういう方にお勧めしたいのが、「新型コロナスパイク蛋白トータル抗体(中和抗体)定量検査」です。保険適応ではないので医療機関によって金額はまちまちですが、1万円以下で検査を受けられます。この検査には「ロシュ」社製と「アボット」社製の2つのキットがあり、精度は変わりませんが、結果の単位と数値が異なります。
ロシュ社製は240U/ML以上あれば95%の確率でコロナに感染しない、と判定します。一方アボット社製は、4160AU/ML以上で、同様の効果が保たれていると判定します。
当院では主にロシュ社製で検査しており、実例を挙げますと、2回目のワクチン接種後2週間で4000U前後の値が出ます。6カ月経ってもほとんどの人は1000U前後、少ない人で300Uはありますので、そういう人は慌てて3回目を受ける必要はありません。
ただ、高齢で飲酒喫煙の習慣がある人で、2回目接種後3カ月で23Uまで減少した方もおられます。こういう方は、そもそもワクチンが効いていなかったか、一旦は効いたけど一気に抗体価が落ちたのか定かではありませんが、すぐにでも3回目の追加接種を受けていただきたいです。
最近はロシュかアボット、もしくは両方を導入している医療機関も多いので、ネットで調べて検査をお受けになるのも、3回目接種を受けるか否かの大きな目安になると思います。
◆松本 浩彦 芦屋市・松本クリニック院長。内科・外科をはじめ「ホーム・ドクター」家庭の総合医を実践している。同志社大学客員教授、日本臍帯プラセンタ学会会長。