日米両政府は7日、外交・軍事担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)をテレビ会議方式で開き、共同発表文書で、日本は「ミサイルの脅威に対抗する能力を含め、国家防衛に必要なあらゆる選択肢を検討する」と決意表明しました。そして林芳正外相は会見で「いわゆる敵基地攻撃能力も含まれる」と明言しました。要するに安倍元首相が退陣の間際に布石した同能力保有の構想を、岸田政権がそのまま受け継いで進めるということです。
かくして岸田氏も安倍氏と同様 憲法蹂躙の姿勢をいっそう鮮明にしました。安倍氏は極右であるとともに隷米であったのですが、岸田氏もその点で何も変わらないようです。
共同声明はさらに、南西諸島の自衛隊基地を含め「日米の施設の共同使用を増加」すると表明しました。しんぶん赤旗が報じました。
ところで南西諸島は日本からかなり離れているので、そこの自衛隊基地の日米共用や米軍基地の新な開発については遠いところの事柄と受け止められ勝ちですが、実は中国とロシアにとっては大問題であるのです。マスコミに載らない海外記事が「中国とロシアをいら立たせる日米『列島』」とする記事を出しました。併せて紹介します。
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敵基地攻撃能力「検討」表明 緊急事態で「共同計画」
日米2プラス2 南西諸島の共同基地化も
しんぶん赤旗 2022年1月8日
日米両政府は7日午前(日本時間)、外交・軍事担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)をテレビ会議方式で開きました。共同発表文書で、日本は、今年末までの国家安全保障戦略などの改定にあたり「ミサイルの脅威に対抗する能力を含め、国家防衛に必要なあらゆる選択肢を検討する」と決意表明。この表現について林芳正外相は同日の会見で、「いわゆる敵基地攻撃能力も含まれる」と明言しました。
憲法違反である同能力の保有をめぐっては岸田文雄首相が初めて国会で検討を表明しており、岸田政権の憲法じゅうりんの姿勢がいっそう鮮明になりました。
共同声明は米中対立が激化する台湾情勢について、「台湾海峡の平和と安定性」に言及。「緊急事態に関する共同計画作業の進展」と表明しました。林外相は「緊急事態」に台湾有事が含まれる可能性について「差し控える」と述べ、否定しませんでした。
共同声明はさらに、南西諸島の自衛隊基地を含め「日米の施設の共同使用を増加」すると表明。米海兵隊は、東シナ海で中国艦船を抑止するために島しょ部に一時的な前進拠点を設ける「遠征前進基地作戦」(EABO)の具体化を進めており、南西諸島の自衛隊基地が日米共同基地となる可能性を示しています。
また、極超音速滑空弾などの兵器に対抗するため日米共同研究を実施することで一致。共同研究協定に署名しました。同兵器は中国やロシアの開発が先行し米国が遅れており、共同研究は軍拡競争の過熱につながります。
日本側は「防衛力を抜本的に強化する決意」を表明し、8年連続で過去最高を更新している軍事費をさらに増やすことを誓約。米側は「歓迎」しました。
米国は「核を含むあらゆる種類の能力による日本の防衛へのコミットメント」をすると表明。両政府は核抑止を含む「米国の拡大抑止」を確保する重要性を確認し、日本は核兵器禁止条約の締約国会議の開催を控え、米国の「核の傘」にしがみつく姿勢を改めて強調しました。
日本側は林外相と岸信夫防衛相、米側はブリンケン国務長官とオースティン国防長官が出席しました。
辺野古新基地推進を確認
7日の日米安全保障協議委員会(2プラス2)は、「普天間飛行場の継続的な使用を回避するための唯一の解決策」として沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設を推進すると改めて強調。完成の見通しも立たない中、建設反対の民意を無視し、工事を強行する姿勢を表明しました。
また、全国の米軍基地で新形コロナウイルス感染が急増している問題で「日米2国間の連携の重要性を再確認した」と言及しました。沖縄県など各地で「基地由来」の感染爆発が起こり、周辺住民の怒りが強まる中、新基地建設が最大争点となる名護市長選(23日投票)を念頭に置いた動きです。
しかし、林芳正外相は記者会見で「(米軍に対し)外出制限の導入、感染症拡大防止措置の強化の徹底を求める」と述べるだけで、沖縄県が要請する「米軍関係者の入国禁止と外出禁止」には触れませんでした。
米空母艦載機離着陸訓練(FCLP)移転が狙われている馬毛島(鹿児島県西之表市)での自衛隊基地建設の整備に日本政府が2022年度当初予算案に前年度の18倍である549億円を計上したことについて、米国は「歓迎」を表明しました。
中国とロシアをいら立たせる日米「列島」
マスコミに載らない海外記事 2022年1月 6日
M.K.BHADRAKUMAR 2021年12月25日
Indian Punchline
金曜日、台湾有事の際、日本の南西にある南西諸島沿いに攻撃用軍事拠点設置を可能にする共同作戦計画案を東京とワシントンが作成したという日本政府筋情報を共同通信が報じた。
報道によれば、アメリカと日本の外務、国防担当閣僚による日米安全保障協議委員会(2プラス2)で正式な計画策定に向けた作業開始に合意する見通しだ。
この記事は、この計画では、南西の台湾方向に広がる(琉球列島としても知られる)無人のものを含め、およそ200の南西諸島で、約40の「候補地」に「アメリカ海兵隊が一時的な攻撃用軍事拠点を設置する」と述べている。
この報道は、日本のタカ派前首相安倍晋三による、どんな台湾有事でも、日本にとって日米安全保障同盟にとっても緊急事態だという最近の発言に続くものだ。
この報道は、金曜日、第二次世界大戦以来、日本の防衛費のこれまでで最大の増加を日本の議会が承認して、わずか一日後のことだ。
日本政府が今日本が戦争を行うことを可能にする憲法修正を推進するかどうかはまだ不明だ。第二次世界大戦の遺産である既存の平和憲法は、厳密な自己防衛以外、日本軍が戦争を行うことを禁じている。
70年前、アメリカは連合軍最高司令官マッカーサー将軍率いるアメリカ人の小チームが、わずか一週間で立案した平和憲法を日本に押しつけた。皮肉にも、今アメリカは、この制約を投げ捨てて、アジア太平洋での戦争で、同盟体制の本格的参与者として徴募可能な「普通の」国になるよう積極的に東京を奨励している。
日本軍国主義は近代史の事実だ。大恐慌は日本に大きな影響を与え、軍国主義の勃興をもたらした。簡潔に言えば、日本は、より多くの天然資源を得て、自身の経済帝国を作るため太平洋に拡張したいと望んだのだ。その起源は、急速に近代化し、西洋に遅れずついていくための急激な軍国化の時期までたどることができる。
当時と現在の状況には類似と相違がある。20世紀早々における主な相違は、世界で多数の国々の植民地建設をもたらし、その波及効果が特にアジアで感じられた欧米列強による近代的グローバリゼーションの大波に日本が不満だったことだ。要するに、日本は植民地建設をする欧米諸大国から自身を守ったのだ。
欧米列強との戦争の可能性と考えたことから自身を守るため、軍隊と結びついた経済力で、政治支配体制が軍国主義的決定をする、大いに軍隊化した政府の国防国家として発展した。
もちろん、イデオロギー的再生は、好戦的で極端に国家主義の国に仕えることを神聖な義務として日本国民が信じるようになったことと密接に関係していた。こうして日本は急速な産業発展と、中国、韓国と満州への侵略でアジアの帝国主義勢力に変わったのだ。
現在、北京とモスクワは日本の動きについて過度に心配しているように思われない。だが彼らは、今中国とロシアに対するアメリカのインド・太平洋戦略としっかりつながっているという地政学的現実から、日本軍国主義のどんな復活も、しっかり見守っている。彼らは、日本が実際、その平和憲法を初めて改訂して、これまでで最大の動きをするかどうか見守っているのかもしれない。
ウクライナを巡るアメリカとのロシアの緊張も、極東に関係する。第二に、ロシアと日本は、第二次世界大戦戦争を正式に終わらせる講和条約にまだ署名していない。ロシアは益々中国と権益が一致するようになりつつある。
11月23日、ロシア国防大臣セルゲイ・ショイグが、中国国防大臣魏鳳和、ウェイ・フォンホーに、ロシア東国境近くのオホーツク海上でのアメリカによる空中偵察が、2020年には前年の三回から合計22便の戦略的飛行に増加し、ロシア・中国両方に対する脅威となったと言った。「この背景に対し、ロシア・中国の協調が世界情勢における安定化要因になっている」とショイグが言った。
この会話は、二人の国防大臣による軍事協力「ロードマップ」署名のかたわら行われた。それより3日間前、中国とロシア空軍が日本海と東シナ海で戦略的共同空中偵察を行った。二機のロシアのTu-95MCとの共同編成のため、中国は二機のH6Kを送った。
中国の声明によれば、これは「戦略的協調と共同作戦能力、世界の戦略的安定を共同で維持する水準」向上を目指す中国とロシアの軍による三度目の戦略的共同空中偵察だった。
一カ月前に日本海での合同海上軍事演習を終えた後、10月17日に10隻の強力な中国、ロシア軍艦が、津軽海峡を通過して太平洋に出る前例がない日本を巡る最初の共同海上哨戒任務を行った。
ロシア国防省は「この哨戒業務は、アジア太平洋地域の平和と安定維持と、二国の海上経済活動対象の監督責任でロシアと中国の意義を示すものだ。」と述べた。
ここ数ヶ月、日本との千島列島問題を巡るモスクワの主張は極めて明らかに硬化している。9月に、プーチン大統領はロシア法の下、問題の島々に経済特区を設立するという新提案を明らかにした。明らかに、ロシアは千島列島を集中的に、急速に発展させ、統合を強化する計画だ。東京は抗議した。
もしそれらが日本に返還されたら、島にアメリカ・ミサイルシステムが配備される可能性があり、ロシアへの直接軍事的脅威となるのをモスクワは恐れている。12月2日にロシア国防省は千島列島のマトゥア島(松輪島)への先進的な移動可能沿岸防衛ミサイル・システム、バスチオン配備を発表した。
ロシア国防省は同じく12月21日、ボストークとグロムという名の二つの戦略司令部とスタッフの演習を来年開催する計画を発表した。ロシア極東でのボストーク(東)演習は全ロシア軍にとっての重要な戦闘演習として計画されている。
南西列島沿いに攻撃拠点を準備するアメリカ-日本共同作戦計画の共同通信による公表がモスクワの反発を誘うのは確実だ。「共同通信」報道はアメリカ軍配備は「可動性の高い大砲ロケットシステム」を含むと言う。ロシアは日本への中距離ミサイル配備に対しアメリカに繰り返し警告している。(ここと、ここ)中国も同様姿勢で、アメリカがアジアに陸上発射ミサイルを配備すれば「座視しているつもりはない」と警告した。
記事原文のurl:https://www.indianpunchline.com/japan-us-island-chain-will-roil-china-russia/