2022年1月30日日曜日

コロナ「みなし陽性」 責任放棄の岸田政権に医師から次々と悲鳴が

 第6波の急拡大に当たり岸田政権が打ち出した「検査なしで陽性診断を確定できるとする方針は、検査体制の不十分さや検査キット等の品切れという不手際のしわ寄せを、医療現場に持って行き全責任を押し付けるもので、医師から見てもあり得ないものです。

 精神科香山リカ医師は、「医者が問診だけなどから コロナ/コロナではない と判断し、その後診断が違ってたとなった場合、どこに責めが帰されるのか」と述べています。
 もしも「責任は問わない」などというのであれば、患者の人権はどうなるのでしょうか。
 政府が、検査の渋滞や検査キット等の品切れの責任を回避しようとしたとしか思えないこの方針は、医療崩壊そのものであり棄民政策です。
 日刊ゲンダイが、「新型コロナ『みなし陽性』は棄民政策の極み! 全責任放棄の岸田政権に医師から次々と悲鳴が」とする記事を出しました。
 併せて同紙の記事「小池都政2月初旬ピークアウトの希望打ち砕く 重症リスク患者“自宅放置の棄民政策”」を紹介します。
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新型コロナ「みなし陽性」は棄民政策の極み! 
      全責任放棄の岸田政権に医師から次々と悲鳴が
                          日刊ゲンダイ 2022/01/29
 新型コロナウイルス第6波の急拡大になす術ナシの岸田政権が打ち出した「検査なしで陽性診断」が波紋を広げまくっている。検査キット不足を棚上げし、ただでさえ混乱を極めている医療現場に全責任を押し付けているからだ。医師らは「そんなことできない!」と非難ゴウゴウ。国民の不安も高まる一方だが、大阪府は早速、「みなし陽性」の導入を発表。棄民政策が加速している。
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〈私は 検査せずに症状だけで、診断する技術も能力も超能力も持ち合わせていません。私の仲間 友人 同門の医師たちも同じ意見です。とりあえず十分な検査体制拡充を 繰り返し、政府にお願いする
 医師を名乗る人物がこうツイートすると、半日で5000超の「いいね」がついた
 厚労省は自治体に「新型コロナウイルス感染症の感染急拡大時の外来診療の対応について」(24日付)を事務連絡。外来や検査が混雑している場合は、「40歳未満」「基礎疾患なし」「ワクチン2回接種済み」の低リスクの人は抗原定性キットなどで自主検査し、陽性確認してからの受診を呼びかけるよう求めた。
 医療機関で再検査なしに医師の判断で陽性を確定診断できるともしている。同居家族の感染による濃厚接触者についても、検査なしで陽性診断は可能だ。

大阪府は前のめり
 精神科医の香山リカ氏も〈私にはムリ〉とツイートし、〈これ、医者が問診だけなどから「コロナ/コロナではない」と判断し、その後、診断が違ってたとなった場合、どこに責めが帰されるのでしょうかね……〉と疑問を投げかけている。
 一方、大阪の吉村知事は「みなし陽性」に前のめり。発熱などの症状が出た濃厚接触者については、医師が検査なしで感染を判断できるようにするという。現実にそんなことが可能なのか。医療ガバナンス研究所理事長の上昌広氏(内科医)はこう言う。
「無理ですよ。オミクロン株による症状は風邪と区別をつけるのが難しい。この時期は花粉症などのアレルギー性鼻炎に悩む患者さんも多いですから、なおさらです。今週診察した患者の中に検査で陽性が判明した方がいたのですが、同居する高齢の父親の身を非常に案じていました」
 濃厚接触者となった父親の検査は、翌日にならないと実施できなかった。患者が帰宅して一晩過ごすことで感染してしまう可能性がある。そこで、上氏は父親をホテルなどに隔離するよう助言。翌日の検査で父親も陽性が確認されれば自宅に連れ戻し、陰性の場合は当面隔離することになった。
診断はステップを踏んでするもので、検査なしで確定診断するのは乱暴です。経口薬投与の判断にも影響が出てしまう。そもそも、問題の根底にあるのは検査キットの逼迫です。薬剤師の指導が必要な薬局でのキット販売をやめ、厚労省が承認したキットのネット販売に切り替え、判定結果を確定と認めたほうがいい」(上昌広氏)
 ちなみに、「みなし陽性」でもいわゆるコロナ保険の給付金は受けられるのか。「コロナminiサポほけん」を展開する第一生命は、「従来通り、医師の診断で陽性が確定した場合は支払い対象になります」(広報課)とのこと。
 自分の身は自分で守るしかない。2年間、この繰り返しだ。 


小池都政「2月初旬ピークアウト」の希望打ち砕く 
         重症リスク患者“自宅放置の棄民政策”
                          日刊ゲンダイ 2022/01/29
〈究極の放置策〉〈自己責任ってことか〉──。小池都政が打ち出した「感染拡大緊急体制」を巡り、ネット上は大荒れだ。都は27日のモニタリング会議で、40代以下の自宅療養者について自分で健康観察する仕組みを公表。“棄民政策”まっしぐらの姿勢では、2月初めのピークアウトも絶望的である。
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 都内の病床使用率は28日時点で46.1%と国に「緊急事態宣言」を要請する目安となる「50%」の目前だが、小池知事は宣言要請について「総合的に検討する」と繰り返すばかり。手をこまねいている間に、更なる感染拡大は必至だ。問題は「いつピークアウトするのか」である。
 AERAdot.(28日付)によると、政策研究大学院大の土谷隆教授(統計学)は都内の第6波ピークを2月4日と予測。また、FNNプライムオンライン(27日付)は「2月の初旬にピークアウトしてくれればいいという予想がある」(広島大学大学院の坂口剛正教授=ウイルス学)とのコメントを紹介した。
 果たして「2月初旬ピークアウト」に期待してもいいのか。昭和大医学部客員教授の二木芳人氏(臨床感染症学)がこう言う。
「海外の事例を見ると、だいたい感染拡大から3~4週間でピークアウトしています。日本も特別な防止策を講じているわけではなく自然に身を任せているような状況なので、遅くとも、これから2週間でピークアウトするのではないか。ただ、都内の陽性率は30%を超えており、現在の検査能力で判明している以上の感染者が市中に存在すると思います」

なし崩し的な「医療放棄」
 あと2週間で感染のヤマを越えられるなら、とりあえず希望は持てる。だが、そんな楽観を打ち砕くのが小池都政の“棄民政策”だ。
 ただでさえ、オミクロン株の亜種である「ステルスオミクロン」の出現によって「第6波はなかなか収束しないのでは」と指摘する専門家もいるのに、都は医療支援を縮小。週明け31日から40代以下の自宅療養者に自分で健康観察をさせる体制へと転換する。重症化リスクの高い患者を優先するとの名目だが、観察の目が行き届かなくなれば、患者は野放し。市中感染がさらに悪化しかねない。
 その上、オミクロン株より強毒のデルタ株患者を見捨てる気なのか。都内の変異株スクリーニング検査(今月18~24日)のうち「オミクロン株疑い」は99.1%を占める。残る約1%は、より重症化リスクの高いデルタ株患者だ。単純計算で、28日の新規感染者約18万人のうち約180人はオミクロン株患者よりも急変する可能性が高いと言える。
「体調が急変した場合、患者自らがサポートセンターに電話しなければなりませんが、都は適切な医療につなげられるのでしょうか。28日時点で都内の自宅療養者は6万人を超え、入院・療養等調整中の人も含めると約10万人。これから自宅療養者が積み上がると予想される中、最大300回線のサポートセンターが対応できるのか大いに不安です。感染急拡大を前に、なし崩し的に『医療放棄』せざるを得なくなったのでしょう」(二木芳人氏)
 約10万人のうちデルタ株患者が約1000人いても、おかしくない。感染爆発になす術なく、揚げ句に「重症予備群」を見捨てるとは……。女帝君臨の都政には、ただただ絶望するしかない。