櫻井ジャーナルが題記の記事を出しました。珍しくあまり饒舌ではなく短い記事になっていますが、論旨は明瞭です。
米国は半世紀以上に渡って他国を「恫喝」することでその力を示してきましたが、少なくとも1980年代からは、米国政府は約束を守らず交渉できる相手ではないことが明らかになりました。
いまやロシアも中国も米国の恫喝には屈しない姿勢を明瞭にしています。
櫻井ジャーナルは、「その米国に従属することで地位と富を手に入れてきた日本のエリートは戦争への道を進む」と述べています。
まさに日本はいま、大いに誤った方向に進みつつあるという指摘です。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
恫喝を外交だと考えている米国に露国や中国が見切りをつけ、
歴史は新ステージへ
櫻井ジャーナル 2022.01.15
世界は1月10日から12日にかけての期間に大きな節目を通り過ぎたようだ。アメリカとNATOと安全保障について話し合った後、ロシアのセルゲイ・リャブコフ外務副大臣は交渉が袋小路に入り込んだと表現、双方の問題への取り組み方が違うし、交渉を再開する理由が見つからないとも語ったようだ。少なくとも1980年代からアメリカ政府は約束を守らず、交渉できる相手ではないので、当然の結論だと言えるだろう。
ミハイル・ゴルバチョフはアメリカやEUのエリートが信頼できる相手だと信じてソ連を解体へと導き、ボリス・エリツィンはロシアを欧米を支配する私的権力の属国にした。ロシアを再独立させたと考えられているウラジミル・プーチンも完全にはそうした枠組みから抜け出せないできたのだが、1月10日と12日の話し合いで一歩踏み出した可能性が高い。
ネオコンは恫喝が好きなようだが、アメリカの大統領だったリチャード・ニクソンはアメリカが何をしでかすかわからない国だと思わせれば自分たちが望む方向へ世界を導けると考えた。イスラエルのモシェ・ダヤン将軍は、狂犬のように思わせなければならないと語った。「脅せば屈する」という信仰だ。
ニクソンはベトナム戦争をアメリカにとって都合のいい形で「和平」を実現するために核攻撃で脅したと言われているが、これは彼が副大統領だった時代の経験に根ざしている。
1953年から大統領を務めたドワイト・アイゼンハワーは泥沼化した朝鮮戦争から抜け出そうと考え、中国に対して休戦に応じなければ核兵器を使うと脅したとされている。そして同年7月に休戦は実現した。この時の副大統領がニクソンである。(Daniel Ellsberg, “The Doomsday Machine,” Bloomsbury, 2017)
ジョー・バイデン政権もロシアや中国を恫喝してきたが、当然のことながら、通じない。アメリカの「外交」は買収と恫喝が基本であり、これが通じないと袋小路。恫喝をエスカレートさせれば最終的に核戦争だが、ロシアはその覚悟をしたようだ。ネオコンは経済戦争で誤魔化そうとしているが、それも通じないだろう。そのアメリカへ従属することで地位と富を手に入れてきた日本のエリートは戦争への道を進む。自衛隊は前のめりになっている。