国交省の「建設工事受注動態統計」(基幹統計)における不正集計問題は、13年~19年分については、集計表の数字を消しゴムで消して偽りの数字を記入することで、正しい数値を復元できない方法をとっていました。これ以上はない「確信犯」です。
会計検査院に問題を指摘された直後の20年1月、国交省は都道府県に中止を指示しましたが、担当課長は統計数値が段違いに変動することを恐れ、それまでは合算する量を「数カ月分全て」から「2カ月分」に減らす折衷案を作り、昨年3月まで続けました。
朝日新聞が検証のできる20年度(単年度)について、どれだけの上積みしたのかを試算したところ約4兆円でした。これは上積み額を「2カ月分」に減らす措置をしたものについての試算なので、「数ヶ月分」を積み上げていた13~19年度(7年分)のカサ上げは当然もっと巨額になります。
こんなデタラメでGDPを偽装したにも関わらず、安倍元首相はいまだ「経済を成長させるためにはアベノミクスしかない」と言い切っています。一体どういう神経なのでしょうか。
日刊ゲンダイが報じました。
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アベノミクスの“成果”はすべて虚構! 国交省不正統計13~19年度も巨額カサ上げの衝撃
日刊ゲンダイ 2022/01/26
パンドラの箱が開いたのか。国交省の不正統計問題で2020年度の統計が約4兆円過大になっていた疑い ─ 。朝日新聞が25日、報じた試算内容は衝撃だ。不正のあった「建設工事受注動態統計」はGDP算出の材料でもある基幹統計。そのデータが改ざんにより兆単位でカサ上げされたとすれば、これまでのGDPの数値はおろか、この国の信頼が大きく揺らぎかねない。
恐ろしいのが、13~19年度のカサ上げはもっと巨額になるのが確実なことだ。国交省は00年の同統計の導入当初から改ざんを始めていた。建設業者が受注実績の提出期限に間に合わず、数カ月分をまとめて提出した場合、都道府県にそのデータを消しゴムで消すよう指示。数カ月分全てを最新1カ月だけで受注したように合算していた。
13年4月からは未提出の業者分の受注実績に関し、提出した業者の平均を推計値として上乗せするルールを導入。従前の合算も継続したため、二重計上が生じてカサ上げはさらに膨張した。
国交省は会計検査院に問題を指摘された直後の20年1月、都道府県に中止を指示した。ところが、担当課長は統計数値の急な変動を恐れ、合算する量を「数カ月分全て」から「2カ月分」に減らす折衷案を採用。場所を本省に移して組織ぐるみで改ざんを隠蔽し、昨年3月まで続けた。
朝日の試算は本省での改ざん分のみ。それだけで20年度は実績全体約80兆円の5%に相当する。合算量を減らす前の各年度の二重計上によるカサ上げ額は、桁が1つ違ってもおかしくない。
「由々しき国家の大罪」
「問題を矮小化し、早期幕引きを狙う岸田政権は『GDPにおける影響は軽微』とゴマカしていますが、残っている統計の元データは19年4月分以降のみ。あとは消され、影響を検証する余地すらない。統計は連続性がいったん狂うと、二度と使えません。過去の受注実績と比較できなければ、現在の建設業の実態は掴めず、有効な政策も打てなくなる。当然それで救われない企業も出てきます。インチキ国家は海外の信用を失ってマーケットも傷つけます。由々しき国家の犯罪です」(経済評論家・斎藤満氏)
13~19年に政権を担ったのは安倍元首相だ。何かにつけ「名目GDPが安倍政権になってから500兆円を超えるようになった」と得意げに語り、「600兆円達成」目標をブチ上げたものの、単に統計をイジっただけではないのか。自慢の“成果”は全て虚構だったのに、いまだ「経済を成長させるためにはアベノミクスしかない」と言い切る安倍元首相は、もはや“憑き物落とし”が必要なレベルだ。