いまロシアの侵攻に対峙して戦い世界中から賞賛されているウクライナのゼレンスキー大統領は本当に救国の英雄なのでしょうか。何か違うのではという疑問を抱く人もかなりいるのではないでしょうか。
ある国家がNATOへの加盟を目指すのは、国家の自由であり権利と言えるのかも知れませんが、NATOはロシアを敵国とする軍事同盟なので、それへの加盟にロシアが大反対するのは自明のことです。
「だから侵攻する」というのは論外ですが、隣国のロシアが侵攻も辞さないほど強烈に反対している中で、敢えて加盟に突き進むほどに価値のある軍事同盟なのかについては大いに疑問があります。結果的にウクライナに今の悲劇をもたらしたことについて、ゼレンスキーには何の責任もないのかということです。
マイク・ホイットニーがそれに関する記事を発表しました。
ホイットニーは、ゼレンスキーが大統領選でミンスク合意を実行するという公約を当選後に破り、NATOへの加盟を目指したことや東部のロシア系住民への攻撃を計画したことでプーチンを激高させて、ウクライナへの軍事侵攻を誘発し、それによってプーチンを世界から孤立させ、さらに過酷な経済制裁によってロシア経済に壊滅的なダメージを与えるように仕向けたのは、米国の傀儡であるからとしています。そしてロシアを破滅させるという米国の目的と権益のために、あえて自国を犠牲にした大統領であると述べています。
それは仮説と呼ばれるものかも知れませんが、その説明ですべての事柄を現実と矛盾することなく理解することができます。
政治とは全く無関係の芸能人であったゼレンスキーは、大統領選に関係するTVドラマの主人公で大当たりして、19年の実際の大統領選でもそのドラマそっくりに当選を果たしたのでした。それはまるで小説のような出来事なのですが、背景に米国が存在するのであればあり得ることです。
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ウクライナを売った男
マスコミに載らない海外記事 2022年3月17日
マイク・ホイットニー 2022年3月4日
Unz Review
ウォロディミル・ゼレンスキーは現ウクライナ大統領だ。2019年、ロシアとの緊張を緩和し、東ウクライナの独立共和国問題を解決するという公約で彼は地滑り的勝利で選出された。彼はどの問題に関しても約束を守ろうとしなかった。それどころか、ウクライナの内部危機を大い悪化させ、ロシアを容赦なく挑発した。ゼレンスキーにはモスクワとの関係を丸く収め、戦争の発生を防ぐ多数の機会があった。ところが、彼は首尾一貫、やみくもにワシントンの命令に従って、問題を一層悪化させた。
ゼレンスキーは欧米でもてはやされ、個人的勇敢さを称賛されている。だが実際問題として、彼は国家的団結の復活も、和解の唯一の道である重要な和平協定も実行し損ねている。
ウクライナ大統領は、いわゆるミンスク合意が気に入らず、基本的な必要条件を遵守するのを拒否した。結果として、これまで8年間、ウクライナを飲み込んだ民族的要因による兄弟殺し戦争は、今日に至るまで、とどまるところを知らずに継続している。最近クレムリンで行なった演説で ウラジーミル・プーチン大統領は、ゼレンスキーの強情さに言及した。彼はこう述べた。
「昨日の催しで、ウクライナ指導部は、公式に、これら協定に従うつもりがなかったと宣言した。それらに従うつもりはないのだ。それについて他に何が言えるだろう?」 |
大半のアメリカ人は、ゼレンスキーのミンスク合意拒否が、最後の決定的なとどめだったことを理解し損ねている。ロシア当局は、8年苦労して、全当事者にとって納得がゆく条件、ミンスク合意を作り出したのだ。ところが、土壇場になって、ゼレンスキーは、それを、あっけなく、だめにしたのだ。なぜだろう?一体誰がゼレンスキーに合意を破棄するように言ったのだろうか? ワシントンだろうか?
もちろん(そうだ)。
ゼレンスキーは、一体なぜ(東ウクライナで)境界線を越えて、ロシア人が暮らしている町村に致命的な砲弾を打ち込める区域に、60,000人の戦闘部隊を派兵したのだろう? これが人々に送ったメッセージは、明らかに侵略が差し迫っていて、すぐさま家から逃げるか、地下室に避難すべきだということだった。ゼレンスキーは、人々が自宅で、命の恐怖で、寄り集まるよう強いて、一体どんな目的を達成しようとしているのだろう? 大統領がただ驚いて、事態の展開を見ていたモスクワに、彼は一体どんなメッセージを送るつもりだったのだろう?
自分の動きが、ロシアで警鐘を鳴らし、大規模民族浄化作戦と思われるものに対し、自国民を守るべく、プーチンに軍隊動員を強いると知っていたのだろうか?
彼は知っていた。
すると、これらの行動は、国の結束を復活させ、ウクライナ問題をロシアと平和裏に平和に解決するというゼレンスキーの選挙公約と、一体どう一致しているだろう?
全く一致しておらず、まさに正反対だ。実際、ゼレンスキーは、全く違う脚本で動いているように見える。例えば、ロシアの最低限の安全保障に対する懸念に、彼は全く対応する気がなかった。ゼレンスキーは、プーチンが繰り返し、ウクライナのNATO加盟は、ロシアにとって「越えてはならない一線」だと言っていたのを知っていたのだろうか? 2014年から、プーチンが繰り返し何度も同じことを言っていたのを彼は知っていたのだろうか? 彼はプーチンが、ウクライナがNATOに加盟する措置をとったら、ロシアは自身の安全保障を確保する「軍事的-技術的」措置をとるよう強いられると警告していたのを彼は知っていたのだろうか? NATOは、他の主権国家に対する多数の侵略行為に携わったワシントンが支配する同盟だとゼレンスキーは知っていたのだろうか。ここにNATOの実績の一覧表がある。
1 ユーゴスラビアの破壊
2 アフガニスタンの破壊
3 リビアの破壊
4 イラクの破壊
5 シリアの破壊
NATOが公然とロシアに敵対的で、ロシアを、連中の拡張主義の野心に対する重大な脅威と見なしていることをゼレンスキーは知っているのだろうか?
そう、彼はこれら全てを知っている。それなのに、彼は公然と核兵器開発に対する彼の関心を表明した。一体何を狙ったいるのだろう? それがロシアにとってどういう問題かを想像願いたい。ゼレンスキーのようなアメリカが支援する操り人形が、彼の指先で核弾頭ミサイルを使えることを想像願いたい。それがロシアの安全保障にどのような影響を与えると皆様は思われるだろうか? プーチンがそのような進展を無視して、それでもロシア国民を守る彼の義務を実行できると皆様は思われるだろうか?
もし彼が心からロシアとの平和を望んでいたのなら、なぜゼレンスキーは、致命的兵器が次々とウクライナに送り込まれるのに同意したのだろう? プーチンは余りに愚かで、目と鼻の先で起きていることに気がつかないと彼は思ったのだろうか? 彼は兵器庫を拡大し、自国民を脅迫して、何であれワシントンの命令に従おうと思っているのだろうか?
あるいは彼はプーチンの安全保障要求は不当だと思ったのだろうか? そうなのだろうか? 事態が逆の場合、メキシコに軍事基地や大砲とミサイル基地をアメリカの南国境沿いに配備するのを、アメリカが許すと彼は思ったのただろうか? アメリカ史上、プーチンがしたのと同じことをしない大統領がいただろうか? それらメキシコの武器に対し先制攻撃を開始して、半径30キロ内の全ての生物を蒸発させない大統領がアメリカ史上いるだろうか?
いや、プーチンの要求は完全に妥当だったが、ゼレンスキーは、とにかく、それを一笑に付したのだ。なぜだろう?
ネオ・ナチの右派セクターが、政府や軍や治安機関にいるのを、ゼレンスキーは知っているのだろうか。連中は数こそ少ないが、侮れない勢力で、ロシア人に対する酷い憎悪と迫害の要因であることを、彼は知っているのだろうか? これら極右分子が松明行進に参加し、腕に、かぎ十字章やSSの入れ墨を入れ、アドルフ・ヒットラーの人種差別イデオロギーを崇拝しているのを彼は知っているのだろうか? これらナチの多くが、2014年、オデッサ労働組合ビルで一般人40人を焼き殺したのを含め野蛮な犯罪行為をしているのを彼は知っているのだろうか? 彼はこれら右翼過激派戦士を武装し、訓練するCIA秘密プログラムが信頼を構築すると彼は考えているのか、それとも、それはモスクワに、2700万人のロシア人がドイツ国防軍に根絶された悲惨な戦争を思い出させると彼は思わないのだろうか?
ゼレンスキー行った全てのことが、ロシアを挑発する意図で行われたのを皆様お分かりだろうか?
NATO加盟に関する、あらゆる話、核兵器製造の話、致命的兵器の着実な準備、東部への部隊の動きのあらゆる話、ミンスク条約実行拒否とプーチンの安全保障要求の拒否。これら全てが意図的挑発だった。だが、一体何故だろう? なぜ「熊をいじめる」のか? それが疑問だ。
プーチンを更に悪者にできるよう、ロシアを戦争に誘い込み、ロシアを孤立させ、ロシア軍に対し反乱鎮圧作戦を始動し、ロシア経済に最大の損害を与える厳しい経済封鎖を押し付けたいとワシントンが望んでいるためだ。一言で言えば、それがワシントンの戦略で、ワシントンが目的を達成するのをゼレンスキーは助けているのだ。彼はワシントンの言うがままになっている。彼はアメリカの権益のために自国を犠牲にしているのだ。
この全てが、メディアは決して考慮せず、ケーブル・ニュースの評論家連中が決して論じない話題、つまり、ウクライナは戦争に負けつつあること、そして、ゼレンスキーはそれを知っているということを強調する。彼はウクライナ軍がロシア軍には歯が立たないのを知っている。巨人が蝿をピシャリと叩くようなものだ。ウクライナは蝿だ。大衆はこれを聞く必要があるが聞いていない。それどころか、大衆は英雄的なウクライナ人がロシア侵略者と戦うことに関する、愚劣なおしゃべりを聞かされている。だが、これはたわごと、勝ち目のない戦いのために命を犠牲にするよう人々を鼓舞する危険なたわごとだ。この紛争の結果は一度たりとも不確かだったことはない。ウクライナは負ける。それは確実だ。そして、行間を読めば、ロシアが非常に巧みに戦争に勝っているのが分かるだろう。彼らは至る所でウクライナ軍を押しつぶし、ウクライナが降伏するまで押しつぶし続けるだろう。タッカー・カールソンの番組で、このダグラス・マグレガー大佐の短いインタビューをご覧になれば、一体何が本当に起きているか理解されるだろう。
タッカー:「今晩の時点で、戦争はどうなっていますか」?(3月1日) |
動画リンク
この短いインタビューから我々が推論できること。
1 ロシアは勝利し、ウクライナは敗北するだろう。
2 ウクライナは分割される。プーチンはロシアの安全を保証するのに必要な緩衝地帯を
作ろうとしている。
3 ウクライナ西部を支配する者は誰であれ、書面で「中立」を宣言し、NATO加盟に対
するどんな申し出も拒絶するよう要求されるだろう。もし彼らがその約束を破れば、彼
らは武力で排除されるだろう。
だが、重要なことがある。この大失敗の主要当事者全員、そもそも最初からウクライナがロシア軍を破る可能性がないのを知っていた。それは必然的結果だった。それで-我々が知りたいのは、事態が展開する前に、一体何故ゼレンスキーは悲劇を避ける措置をとらなかったのかだ。
この疑問の答えは「ゼレンスキーは本当に一体何者か」を明らかにするのに役立つ。
皆様はこう自問して頂きたい。その機会があった時に、ゼレンスキーはなぜプーチンと交渉しなかったのか? 彼はなぜ東部から60,000人の兵隊を撤退させなかったのか? 彼はなぜワシントンの武器出荷を止めなかったか? 彼はなぜミンスク条約を実行しなかったのか? 彼はなぜNATOの加盟申し出を拒否しなかったのか?
最終的に、モスクワを怒らせ、戦争の可能性を高めることに、なぜ彼はそれほど懸命だったのか?
これらの質問に答えるのは難しいことではない。
ゼレンスキーは始めから、ワシントンの命令で動いている。我々はそれを知っている。彼は彼自身のものでも、確実にウクライナのものでもなく、ワシントンの狙いを実行しているのだ。我々は、それも知っている。だが、だからといって、彼は責任から逃れられない。結局、彼は悪と善を区別できる立派な大人だ。彼は自分が何をしているか知っており、それが間違っているのを知っている。間違っている以上に酷いく、許せない。彼は男性たちを、自身勝てないと知っている戦争で死ぬよう行かせている。彼は何の理由もなしに自国民に数え切れない苦しみと傷害を与えている。そして、何よりも悪いことに、彼は守ると誓った国ウクライナ自身の崩壊の道を開いたのだ。ロシアとの最終解決の一環として、ウクライナはバラバラに砕かれるだろうが、ゼレンスキーは、この罪のかなりの部分を共有するだろう。
このような男が、一体どうして、良心に恥じないよう生きられるだろう?
記事原文のurl:https://www.unz.com/mwhitney/the-man-who-sold-ukraine/