「マスコミに載らない海外記事」に、オンライン誌New Eastern Outlookの独占記事「ウクライナと、より深遠な世界的自殺計画」が載りました。
ロシアがウクライナ侵攻という非常手段に出た背景について総合的に書かれています。
記事は、まずウクライナでの現在の紛争は1990年のソ連崩壊を機に、それ以降米国が進めたことにその源があるとして、同年に、ドイツ再統一に関する仏、英、西独の政府それに米のベイカー国務長官と露のミハイル・ゴルバチョフ間の協議で、ソ連がNATO内でのドイツ再統一を認めるのと引き換えに、NATOは旧ソ連領域を脅かす東方への拡大をしないと(ベイカーは)口約束をしたものの、その後何年間もかけて旧ワルシャワ条約諸国10カ国を次々にNATOに加えたことを挙げました。
NATOはロシアを敵国とする軍事同盟なので、それがロシアにとって脅威なのは論を俟たないことで、隣国のウクライナをNATOに加盟させるに至っては、プーチンのレッドラインを超えるものでした。
2004年と2014年に米が仕掛けたクーデターも、とくに後者は実に残虐で異常なものでした。
そして今年の2月19日、ゼレンスキーはウクライナの核兵器不所有を決めたブダペスト覚書を廃止し、ウクライナ国内に(対露用)核兵器を配備することを宣言しました。
記事の終段では、米国防総省がウクライナ国内に8カ所以上、おそらく約30の極秘生物兵器研究所を作っていたことに触れています。
WHOはロシアによる侵攻が突発したとき、ウクライナ保健省に「同国内の公衆衛生研究所から危険度の高い病原体が流出するのを防ぐため廃棄を助言」していたことを、ロイター通信が10日、明らかにしました。ウクライナでは、西側が公認で(米国の主導で)生物兵器の開発を行っていたのでした。
そうして核兵器や生物化学兵器の所有がロシアにとって大いに脅威であったのは当然です。
+ お知らせ(追記)
都合により15日は記事の更新が出来ません。ご了承ください。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ウクライナと、より深遠な世界的自殺計画
マスコミに載らない海外記事 2022年3月13日
F・ウィリアム・エングダール 2022年3月9日
New Eastern Outlook
2022年2月24日から、隣接するウクライナでの軍事行動を命ずるロシア大統領による決定は、私自身を含め多くの人々に衝撃を与えた。ウクライナ内でのロシアや他の軍隊による軍事行動開始から、ほぼ2週間の時点での問題は、欧米メディアが一方的な不当な侵略戦争と描写することにロシアを押しやったのは一体何だったのかということだ。2月19日、年次ミュンヘン安全保障会議で最高位のNATO当局者や他の人々との会談中、ウクライナ大統領でコメディアンのウォロディミル・ゼレンスキーによる公的な威嚇は、モスクワの行動へのほとんど無視されている手がかりになる。加えて、ウクライナ内の多数のアメリカ国防総省生物兵器研究所に関する最近の報道も、この背景の脅威を更に高める。モスクワは、ロシアが文字通り、いちかばちかの現実に直面したと考えたのだろうか?
若干の不可欠な歴史
ウクライナでの現在の紛争は1990年、アメリカが進めたソ連崩壊にその源がある。1990年、ドイツ再統一に関する高官の2プラス4条約協議で、フランス、イギリス、西ドイツ政府や、アメリカのジェームズ・ベーカー3世国務長官と、当時のソ連指導者ミハイル・ゴルバチョフ間の協議の際、ドイツ統一を巡り、ソビエト社会主義共和国連邦がNATO内でのドイツ再統一を認めるのと引き換えに、NATOは旧ソ連領域を脅かすような、東方へ「1インチ」も拡大しないとベイカーは口約束をした。
何年間もかけてポーランド、チェコ共和国、ルーマニア、ハンガリー、バルト諸国を含め、旧ワルシャワ条約諸国を次々にNATOに加え、ロシアを攻撃する距離に益々近づき、ワシントンはこのやりとりに関してウソをついた。最近プーチンは、NATOとワシントンがウクライナが決してNATO加盟を許さないという拘束力がある法的保証を与えるというロシアの要求を正当化するために、1990年の、このベイカー合意を引合いに出した。ワシントンは今まで断固そうすることを拒否している。
2007年のミュンヘンでのプーチン演説
2007の年次ミュンヘン安全保障会議で、ブッシュ-チェイニー政権が「北朝鮮やイランのようなならず者国家から守るため」ポーランド、ルーマニアとチェコ共和国にアメリカ・ミサイル防衛システムを配備する計画を発表した際、ロシアのプーチンは、1990年のNATOの保証に関するアメリカのウソと違反を厳しく批判した。その時までに旧共産主義の東欧諸国10カ国が、1990年のアメリカの約束にもかかわらずNATO加盟を認められていた。さらに、2003年-4年に両国でのアメリカに率いられたカラー革命後、ウクライナとジョージア両国がNATO加入候補になった。アメリカ・ミサイルは、朝鮮民主主義人民共和国やイランではなく、ロシアに向けられているとプーチンは正しく主張した。
彼の2007年のミュンヘン発言でプーチンは欧米の聴衆に「NATOが我々の国境に前線軍を配備する結果になっているが、我々は厳密に条約義務を果たし続け、これら行動に全く対応していない。私はNATO拡大は、連合自体の近代化、あるいはヨーロッパでの安全保障と無関係なのは明白だと思う。それどころか、それは相互信頼のレベルを下げる重大な挑発だ。我々は、こう尋ねる権利がある。この拡大は一体何を意図しているのか? ワルシャワ条約機構解散後、我々の欧米パートナーがした保証に何が起きたのか? 今日それらの宣言は一体どこにあるのだろう? 誰もそれを覚えてさえいない。」プーチンは付け加えた。「けれども私はあえて、聴衆の皆様に、当時言われたことを想起頂きたい。私は1990年5月17日、ブリュッセルでのウォーナーNATO事務局長演説を引用したい。彼は当時こう言った。「我々がドイツ領土外にNATO軍を配備しない準備ができている事実は、ソ連に強固な安全保障を与える」。これらの保証は一体どこにいったのだろう?」15年前のことだ。
2014年のマイダン・クーデター
2013年11月、選挙で選ばれた、非常に腐敗したヴィクトル・ヤヌコーヴィチ大統領の下、経済的に崩壊し、危機的状況にあったウクライナは、EUとの「特別」な関係を受け入れるのではなく、ウクライナはモスクワが率いるユーラシア経済連合に加入する、モスクワからの遙かに寛大な申し出を受けると発表した。ロシアはロシア・ガス価格をウクライナに30%値引き、キエフの金融危機を緩和するため150億ドルのウクライナ債券購入に同意していた。
その時点で、11月21日、ワシントンのビクトリア・ヌーランドと在キエフ大使ジェフリー・パイアットと、当時の副大統領ジョー・バイデンに選ばれた男アルセニー・ヤツェニュクは、アメリカNGOに支援されて、ヤヌコーヴィチ政権に対するマイダン広場抗議と呼ばれるものを開始した。2014年2月20日、近くのジョージアから採用され、CIAに組織されたとされる狙撃兵が、多数の抗議行動参加学生や警官を殺害した後、ヤヌコーヴィチを逃亡するよう仕向け、とりわけヌーランドとバイデンに厳選され、ヤツェニュクはアメリカが運営する政権の首相になった。
2014年12月末、国防総省やCIAに対するコンサルティング企業ストラトフォーのジョージ・フリードマンが、ロシア新聞へのインタビューで、アメリカが率いた2014年2月のキエフ政権転覆についてこう述べた。「ロシアは今年初めに起きた出来事をアメリカが組織したクーデターと呼ぶ。それは本当に史上最もあからさまなクーデターだった。」インタビューで彼は自慢げだった。
そのキエフクーデター政権は、2014年2月22日以降、マイダン広場で治安活動し、ロシア語話者であるウクライナ人に対するテロを行ったのと同じ(ロシアで活動禁止されている)右派セクターのネオ・ナチ傭兵により、東ウクライナで、ロシア語話者の皆殺しと民族浄化戦争を推進している。アゾフ大隊はネオ・ナチ傭兵で構成されている。彼らは、ゼレンスキー大統領の財政援助者であるウクライナのマフィア・ボスで億万長者オリガルヒ支配者、イーホル・コロモイスキーに資金供与され、(アゾフ大隊は)「ウクライナ国家警備隊」兵士として公式な国家的地位を与えられた。アゾフ兵士は、ロゴとしてナチス親衛隊ルーン文字さえ誇示している。2016年に、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は、2015年1月、公式に連隊に昇格されたアゾフ大隊を、大量略奪、不法拘留や拷問などの戦争犯罪を行ったと非難した。
現在、ヌーランドはウクライナとロシア問題を担当する政務担当国務次官だ。彼女はアゾフ大隊が一体何者か十分承知している。
ゼレンスキーとミュンヘン 2022
2月19日にミュンヘンで、ウクライナのゼレンスキー大統領はウクライナ領に核兵器を配備すると恫喝した。ウクライナは、その合意の署名国ではなかったが、彼はこれを1994年ブダペスト覚書の一方的廃止と表現した。2日後、2月21日夜、プーチンはドネツクとルガンスク人民共和国の独立を認める演説をした。彼はゼレンスキーのミュンヘンでの核兵器誓約にはっきり言及した。「これは虚勢ではない」とプーチンは演説で強調した。
3月6日、モスクワの国営通信社RAIノーボスチが、重要な欧米の秘密の支援を得て核拡散防止条約の恥知らずな違反で、ウクライナの核弾頭ミサイル能力と、ウクライナ原子爆弾を作るウクライナの秘密プロジェクトに関する、SVRロシア対外情報庁(ロシアの外国諜報機関)幹部の言葉を引用した。報道によれば、ウクライナ核科学者が、高い放射能レベルのチェルノブイリ原子炉サイト近くにそれらを置いて、この開発を隠していたもので、チェルノブイリを安全に保つための速やかなロシアの動きの説明になる。「得られる利情報から判断して、「汚い」爆弾製造でも、プルトニウム分離に関しても、作業が進行中だった」とRAIノーボスチは情報提供者の言葉を引用している。主要爆弾研究施設は国立科学センター「ハリコフ物理技術研究所に」にあった。本記事執筆の時点で、研究原子炉施設を爆破し、それをロシアのせいにすることを計画しているウクライナのネオナチのアゾフ戦士とロシア軍間で、激しい戦闘が進行中だ。ザポリージャ原子力発電所支配の戦いは、どうやら違法なウクライナ爆弾プロジェクトを隠す試みとの関連だ。
ウクライナ核の脅威に、プーチンが反応する深刻な理由があったことが今益々明確になり始めている。ウクライナがNATO加盟であるか否かにかかわらず、モスクワまで6分以内のウクライナ核弾頭ミサイルは、実存的危険になるはずだ。
大規模軍事・生物兵器戦争強化?
更にある。一年前、ウクライナ・メディアが、オチャキフとベルジャーンシクで欧米が建設した新しい事実上のNATO海軍基地について「NATO標準に従って装備され、同盟諸国の資金で建設された、あらゆる種類の艦船を受け入れ可能な近代的インフラ設備」と報じた。「3年で我々は、我々のモスキート艦隊で黒海のロシア艦船を攻撃可能だろう。そして我々がジョージアとトルコと団結すれば、ロシア連邦は阻止されるだろう」とウクライナ軍事専門家が自慢した。」とこのメディアは自慢した。
更に、アメリカ国防総省は、ウクライナ内に約4,000人の軍のボランティアDNAを検査する、8カ所以上、おそらく約30の極秘生物兵器研究所を持っていた。ロシア兵が証拠を確保しようとした途端、キエフのアメリカ大使館はウェブサイトから研究所に関する以前の文書を削除し、ウクライナ人は研究所の証拠破壊に動いたとされている。ハリコフや他の場所のウクライナ研究所は、アメリカと協力して活動していた。国際条約に直接違反してこのような生物兵器の株が密かに貯蔵されていたのだ。
2月24日のウクライナにおけるロシア軍事行動の一月前、独立した細菌戦研究者のディリャーナ・ガイタンジエワが、致死的な結果をもたらす可能性がある「ウクライナ兵士4,400人とジョージア兵士1,000人へのアメリカ国防総省生物学的実験を詳述する文書を入手した。漏洩文書によれば、すべてのボランティアの死亡は24時間以内(ウクライナで)、48時間以内(ジョージアで)で報告されるべきこと。」 彼女はクリミア・コンゴ出血熱、病原体ボレリア(ライム病)や他のものを含め約14種の病原体に対する免疫抗体実験を含む人体実験を詳述している。この文書によれば、ウクライナとジョージアの研究所は、国防総省の「生物剤、致死性ウイルスや抗生物質耐性菌の研究を含む25億ドルの国防脅威削減局(DTRA)の生物兵器戦争プログラム」の一部だ。
3月6日、モスクワでの国営RAIノーボスチへの声明で、ロシア国防省報道官イゴリ・コナシェンコフ少将が「ウクライナの生物学研究所の従業員たちから、ウクライナのロシアに近い地域で、生物兵器の要素が開発されていたことを確認する」文書を受け取ったと述べた。彼は「特別軍事行動の中で、アメリカ国防省に資金供給され、ウクライナで行われている軍事生物兵器プログラムの痕跡をキエフ政権が緊急浄化している事実が発見された。」と指摘した。
近年のウクライナ内への核や生物大量破壊兵器配備の証拠に加えて、欧米NATO加盟諸国は、ウクライナに対戦車火器や爆弾を含む何十億ドルもの軍装備品を注ぎこんでおり、ワルシャワのアメリカ大使館に隠れていると反政府派に噂されているゼレンスキーが、ウクライナにNATO「飛行禁止」区域を繰り返し要求しているのは、ロシア・NATO間の戦争の原因に急速拡大しかねない直接開戦の原因となる行為だ。
ロシアの国家安全保障に対する、このウクライナを利用したワシントンとNATOによる長年の挑発が、主権国家と軍事大国としてのロシアの生存能力を破滅させることに向けらているのかどうかは疑問だ。ロシアに対する制裁は、グローバル崩壊とエネルギー危機、食糧不足、更に悪いことを引き起こすために、ダボス2030年のグレート・リセット・アジェンダを推進するための計算された動きなのだろうか? それを「邪悪なプーチン」とロシアのせいにしながら、ブラックロックや金融当局が世界を再編成するのだろうか? それを語るには余りに早いが、2022年2月24日、ロシアによる行動を引き起こしたものは、CNNや他の管理された欧米メディアが我々に語っていることより遙かに重大だったに違いないことは確かだ。
F. William Engdahlは戦略リスク・コンサルタント、講師。プリンストン大学の政治学位を持つ石油と地政学のベストセラー作家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。
記事原文のurl: https://journal-neo.org/2022/03/09/ukraine-and-the-deeper-global-suicide-agenda/
「湯の町湯沢平和の輪」は、2004年6月10日に井上 ひさし氏、梅原 猛氏、大江 健三郎氏ら9人からの「『九条の会』アピール」を受けて組織された、新潟県南魚沼郡湯沢町版の「九条の会」です。