2014年8月5日火曜日

国連事務総長が「国際人道法違反」とイスラエルの攻撃を非難

 パレスチナ自治区ガザ南部ラファで3日、約3千人が避難していた国連運営の学校近くがイスラエル軍の空爆を受け、少なくとも10人が死亡し数十人が負傷しことに対して、国連の潘基文(パンギムン)事務総長は、「攻撃は甚だしい国際人道法違反」であり、「道義的に非道な犯罪行為」と強調する声明を発表しました。
 国連事務総長として当然のことですが、アメリカに支持されているイスラエルをこれだけ明確に非難するのは、それなりに勇気のいることで、日本の外務省上がりなどにはまずできません。
 
 現地に駐留しているフリージャーナリストの田中龍作氏も、国連運営の小学校がイスラエルの了承のもとに避難民を受け入れたにもかかわらず、イスラエルが学校を爆撃したことを報じています。
 また今回の戦闘では国連パレスチナ難民救済機関(UNRWA)のスタッフ(パレスチナ人)が9人、イスラエル軍によって殺されたということです。
 
 毎日新聞と田中龍作ジャーナルの記事を紹介します。
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国連事務総長「国際人道法違反」 イスラエルの攻撃非難
毎日新聞 2014年8月4日
 パレスチナ自治区ガザ南部ラファで3日、約3千人が避難していた国連運営の学校近くがイスラエル軍の空爆を受け、少なくとも10人が死亡した。国連の潘基文(パンギムン)事務総長は同日、「(攻撃は)甚だしい国際人道法違反」であり、「道義的に非道な犯罪行為」と強調する声明を発表し、攻撃を認めたイスラエル側を非難した。
 
 潘氏は声明で「イスラエル軍に学校の位置は繰り返し伝えられていた」と明らかにした上で、「攻撃までの経緯について早急に調査されなければならない。実行者は説明責任を果たさなければならない」と訴えた。
 ガザの国連運営の学校をめぐっては、先月24、30日にも砲撃を受け、少なくとも計31人が殺害された。30日の砲撃後、潘氏は「すべての証拠がイスラエル軍の砲撃と示唆している」とし、「眠っている子どもを攻撃することほど恥ずべきことはない」と述べてイスラエル側を非難した。相次ぐ国連運営の学校への攻撃を受けて、安全保障理事会でさらなる対応が検討される可能性も出てきた。(ニューヨーク=春日芳晃)
 
 
【ガザ発】 イスラエル軍、国連避難所攻撃の真相
田中龍作ジャーナル 2014年8月3日
 イスラエル軍による国連避難所への爆撃が止まらない。3日もラファの避難所(小学校)が砲撃され10人が死亡、数十人が負傷した。
 同軍広報は「近くからロケット弾が発射されたため撃ち返した」と発表する。日本のマスコミは発表を垂れ流す。
 だが、事実はイスラエル軍の発表とは違う。ある避難所(小学校)の責任者を務めるUNRWA(国連パレスチナ難民救済機関)のスタッフが真相を明らかにした。次のような手順だ―
 1) 避難民を受け入れてよいものか、どうか。イスラエルにお伺いを立てる。
 2) イスラエルがOKを出せば、門を開けて受け入れる。
 3) イスラエルがNOと言って拒否した時は避難民を受け入れることはできない。爆撃が激しくなっているからだ。あるいは間もなく激しくなるからだ。
 
 好意的に解釈すれば、避難所への移動中に砲弾に当たるのを避けるため、ということになる。
 受け容れさせておいてどうして爆撃するのか? というのがUNRWAスタッフの憤りだ。
 「避難所の地図もイスラエル軍に渡してあるのに・・・」。UNRWAスタッフはまるで筆者を叱りつけるかのような口調で言った。
 イスラエル軍の避難所攻撃は意図的であることが、UNRWAスタッフの証言からも明らかになったのだ。
 イスラエルは国連をナメているのか、UNRWAがハマスと関係があると見ているのか。
 はっきりしていることは、この先も国連の避難所(UNRWAの小学校)が爆撃される、ということだ。
 ガザ市内にあるUNRWAのヘッドクオーターは、2008~2009年の大規模侵攻の際、爆撃された。
 今回の戦闘で現場のUNRWAスタッフ9人が、イスラエル軍により殺されている。現地採用のパレスチナ人だからだろうか
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