2014年8月21日木曜日

各地で護憲運動への後援を拒否

 
 護憲運動に対する自治体の後援拒否が、全国に広がりつつあります。
 
 札幌市教委が、憲法改正をテーマにした北大の公開講座の後援を断っていたことが分かりました。「政治的主張を主たる目的として行われる事業」と判断したからということです。
 札幌市も昨年、政治的中立を理由に、市民団体の放射能汚染や護憲の集会に対して後援を断っています
 
 東京都調布市も、「調布九条の会」が来年月に企画している会の創立10周年記念イベントについて、集団的自衛権に反対している会の活動やイベント内容を理由に「後援は難しい」と伝えているということです。
 同会は「理由が納得できない」として市側と話し合いを続ける意向を示しています
 
 さいたま市の三橋公民館が、市民が詠んだ『九条守れ』の俳句を月報に掲載することを拒んだ問題も、見過ごすことはできません。
 
 こうして自治体などが中立を口実に護憲運動への後援を拒否する一方で、関東地方の多くの教育委は、ほんの少し政府に対して批判めいた文言を盛ったというだけで、実教出版の日本史の高校教科書を排除しようとしています。
 また文科省は、沖縄の基地についての記述を盛り込んだ東京書籍の中学校公民教科書(シェア57.1%)を採用しようとした竹富町に対して、シェアが僅かに4%しかない特異な史観に立つ育鵬社の教科書に変えさせようと何度も指導を試みました。
 
 安倍政権になってから、自治体の護憲運動への干渉や県教委などの民主的教科書採用への妨害が目立つようになりました。
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憲法改正テーマの北大公開講座 札幌市教委が後援断る 
教授ら「公論細る」と批判
北海道新聞 2014年8月20日
 札幌市教委が、憲法改正をテーマにした北大の公開講座の後援を断っていたことが分かった。「政治的主張を主たる目的として行われる事業」と判断したという。同様の後援拒否は全国の自治体に広がっており、主催した北大の教授らは「公論をやせ細らせていいのか」と批判している。
 
 公開講座は北大大学院法学研究科付属高等法政教育研究センターの主催。「なぜ憲法改正なのか?」と題して、7月24日からこれまでに3回開催した。
 
 北大の教授らがそれぞれ「立憲主義・憲法・憲法改正」「民意による政治の意義と限界」「自民党草案の反立憲主義的性格について」というテーマで話した。21日には最終回が予定されている。
 
 市教委によると、講座のパンフレットから、自民党改憲草案に批判的で、民主党に近い教授もいることが分かり、内規の「特定の思想、政治的主張を主たる目的とする事業は後援しない」に該当すると判断した。
 町田隆敏教育長は取材に「行政は政治的中立を確保すべきで、教育委員会には特に求められる」と文書で回答した。
 上田文雄市長は護憲派で知られるが、市も昨年、政治的中立を理由に、市民団体の放射能汚染や護憲の集会で後援を断っている。今回、市教委が同調した形だ。
 これに対し、同センター長の鈴木賢教授は「過去、多様な政治的問題を扱ってきたが、札幌市教委の後援を得ている。憲法は議論するな、ということなのか」と反発。最終回で講演する遠藤乾・北大大学院法学研究科教授は「おれは戦っているんだという護憲派市長のもとで、結果として、憲法をめぐる公論がやせ細り、市民運動の後押しもなくなっていく」と危惧する。<どうしん電子版に全文掲載>
 
 
市民団体主催 憲法イベント 調布市も後援難色
東京新聞 2014年8月15日
 東京都調布市民らでつくる「調布九条の会『憲法ひろば』」が来年一月に企画している会の創立十周年記念イベントについて、調布市が集団的自衛権に反対している会の活動やイベント内容を理由に「後援は難しい」と伝えたことが分かった。同会は「理由が納得できない」として市側と話し合いを続ける意向を示している。
 イベントは作曲家の池辺晋一郎氏や憲法学者の奥平康弘氏、教育学者の堀尾輝久氏による憲法九条に関する座談会と、一般市民でつくる合唱団が池辺氏の指揮で平和に関する歌を披露する二部構成で企画。来年一月二十五日、市グリーンホールで開くことにしている。
 
 会によると、会関係者が先月末、長友貴樹市長に会った際にイベントの後援を相談。その後、市と会でやりとりする中で、市側が、後援申請に必要な会の規約がないことに加え、会の活動が「特定の政党を支持し、もしくはこれに反対するための政治活動でないこと」とする市の後援要綱に反する可能性があり後援は難しいと指摘したという。
 市文化振興課の仁藤美保課長は「正式な手続きがなされていない段階。書類を整えて申請があれば、あらためて検討する」と話す。会のメンバー大野哲夫さん(76)は「憲法九条を守る活動だ。今回の後援は難しいとする市の考えをはっきりさせるため、今後も市と話し合いを続けたい」と話している。
 市民団体などが主催する憲法関連イベントの後援を、自治体が拒否する例は相次いでいる。
 護憲派の市民団体が今年開いた集会の後援申請について、千葉市や神戸市が拒否。東京都国立市も、八月二十三日に開かれる講座について「安倍内閣が憲法違反の法律を次々と成立させていることは周知の事実」などとするチラシの文言を理由に、後援しないと決めた。