2014年8月21日木曜日

辺野古 海底調査 政府の強権的手法に非難が集中

 辺野古沿岸部の埋め立てに向けての海底調査が強引に進められ、安倍政権の強権政治の姿勢が浮き彫りになりました。
 20日の各紙社説でも、強権的手法に理はない.沖縄タイムス)、あまりに強引なやり方だ徳島新聞)、強権政治の地金が出た東京新聞)、拙速避け民意見極めよ.秋田魁新報)、知事選前になぜ急ぐのか西日本新)などと批判のタイトルが並びました。
 
 アメリカ一辺倒、民意無視、軍事優先の安倍政権の本性が剥き出しにされた感じがします。
 超右翼政権が、仮初めの支持を得て多数を握ればどんな政治が行われるのかを、よく示しています。
 
          20日の各紙社説の一例
 
 沖縄タイムスの社説「辺野古掘削調査 強権的手法に理はない」と西日本新聞の社説「辺野古調査 知事選前になぜ急ぐのか」を紹介します。     
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
辺野古掘削調査 強権的手法に理はない
沖縄タイムス 2014年8月20日 05:30 
 キャンプ・シュワブのゲート前には、民間警備員が立ちはだかり、その奧には県警機動隊員らが控えている。海上には、大幅拡大された立ち入り禁止海域にブイ(浮標)やフロート(浮具)を張り巡らし、海上保安庁のボートが厳重な警戒を続けている。 
 こうした異常な状況下、辺野古の海にボーリング調査のくいが打たれた。辺野古で今起きていることは、沖縄と本土、沖縄県民同士の間に、精神的なくさびを打ち込むのに等しい。強権的手法で工事が進むにつれ、その亀裂は深まることが懸念される。 
 
 くさびを打ち込んでいる主体は誰なのか、冷静に見極める必要がある。そんな中、圧倒的な権限で工事を強行する政府の立場を後押しする見解が、他県の知事から飛び出したことは残念でならない。 
 宮城県の村井嘉浩知事は18日の記者会見で、ボーリング調査について「ベースにあるのは全体の利益のためだ。沖縄県民の皆さまも理解できない部分があろうと思うが、協力していただければ」と述べた。放射性物質を含む指定廃棄物の最終処分場候補地で、国のボーリング調査を受け入れる方針を表明している村井氏は「(処分場問題は)辺野古とは全く次元が違い、同列に扱うことはない」とした上で、「私は物事を判断するときは、自分の損得より全体の利益を優先してやってきたつもりだ」と強調した。 
 普天間飛行場の辺野古移設が果たして「全体の利益」にかなうのか。「全体」とは何を指すのか。沖縄県民を指すのであれば明らかにノーだ。 
■    ■ 
 新基地を造ってしまえば後は何とかなる、というのが政府の本音だろう。だが、県民にとって辺野古移設は新たな負担の始まりだ。事件事故や有事の際に標的にされるリスクを、住民は子や孫の代まで背負わなければならない。 
 凄惨(せいさん)な地上戦を経て、戦後も「軍事の島」であることを余儀なくされた県民にさらなる負担を押し付けるのは許せない。沖縄に課し続けた安保の代償を踏み台に、経済成長を謳歌(おうか)してきた日本本土の側にこそ、そうした自覚が求められるのではないか。 
 
 沖縄を軍事のとりでとし、中国との対峙(たいじ)姿勢を強める安倍政権の軍備強化路線は果たして国益にかなうのか。米海兵隊が沖縄に駐留しなくとも抑止力に影響しないことは軍事の常識だ。ジュゴンが泳ぐ自然豊かな辺野古の海は人類共有の財産でもある。 
 軸足をどこに置いても辺野古移設に理はない。 
■    ■ 
 アルフレッド・マグルビー在沖米総領事は「反対運動をしている沖縄の人は0か100しかない。建設的な、意味のある対話はできない」と語ったという。建白書に盛り込んだ普天間の県内移設断念要求は、沖縄が抱える基地負担のごく一部の軽減を求めたにすぎない。「0か100」という指摘は全く当たらない。 
 沖縄の保守政治家にも反対が広がっているのは、民主主義に反する政治に強い危機感があるからだ。23日にはゲート前で大規模な抗議集会も開かれる。県民は常に「意味のある対話」を求めている。
 
 
辺野古調査 知事選前になぜ急ぐのか
西日本新聞 2014年08月20日
 沖縄の美ら海(ちゅらうみ)が波立っている。
 沖縄防衛局は、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設先となる名護市辺野古沿岸部の埋め立て工事に向け、海底ボーリング調査を始めた。普天間飛行場の辺野古移設につながる本格的な海上作業の着手である。
 
 一方、辺野古移設反対派は船やカヌーを出して海上での抗議活動を展開している。警備する海上保安庁との間でせめぎ合いが演じられており、不測の事故が起きないか心配だ。
 普天間飛行場の移設は本来、市街地の真ん中にある同飛行場を閉鎖することで、住民の危険を減らすことが目的だ。しかし、県内への移設では、沖縄の過重な基地負担の軽減につながらないとして、県民の間に反対の声が強い。
 4月に地元紙が実施した県内世論調査でも、県内移設に反対する回答が7割以上に上った。
 こうした県民世論にもかかわらず、安倍晋三政権がボーリング調査に踏み切ったのは、11月の沖縄県知事選をにらんだ政治的効果を考慮した可能性が高い。
 
 知事選には現職の仲井真弘多知事が出馬を表明、翁長雄志那覇市長も立候補の意向を示している。
 仲井真氏は前回知事選で「県外移設」を公約に掲げて当選したものの、昨年末に事実上の辺野古移設容認に転じ、県民の強い批判を浴びた。一方、翁長氏は辺野古移設反対を訴えている。知事選では、辺野古移設の是非が最大の争点になるのは確実だ。
 政府は、知事選までにボーリング調査を進め、移設作業の着手を既成事実化することで、仮に辺野古移設反対派の候補が当選しても、移設を後戻りできない状態にしておきたいのではないか。だとすれば「民意を顧慮しない」とあらかじめ宣言しているに等しい。
 政府は、少なくとも知事選までは作業を急がず、民意をきちんと見極めるべきではないのか。このまま移設への工程を強行しても、沖縄との溝は深まるばかりだ。住民との信頼関係が失われれば、安全保障政策も成り立たない。