国際情勢について常に豊富な情報を提供し鋭い分析をしているブログ:「櫻井ジャーナル」が、9日付で「独の有力経済紙編集長が米国に追随する西側は間違った道を歩いていると批判、話題に」 とする短い記事を載せました。
いまEU諸国は、ウクライナ問題に関連してアメリカが主導するままに、ロシアに対する経済封鎖を一段と強めています。
正しい外交的判断力を持っていなければならないEU諸国が、なぜあれほど簡単にアメリカのプロパガンダ(悪宣伝)に乗せられるのか、本当に不思議なことです。EU各国の政権もマスメディアも、アメリカの権力に屈しているとしか思えません。
選挙で正当に選出されたウクライナ政府は今年2月の「市民」暴動で政権の座を追われ、革命政権とも呼ぶべきキエフ政権が作られました。この政変は2004年のオレンジ革命に端を発しているもので、アメリカは2月の政変に向けて50億ドル(=5000億円)の資金を投じてきたといわれています。
そしてクリミヤ地方にはそれ以前からロシアの軍隊2万人が常駐していましたが、それは政変後にロシアが電光石火侵略したものと悪宣伝されました。それでも足りずに、最近ではキエフ政権が絡んだ謀略であることが明らかになりつつあるマレーシア旅客機の撃墜事件が引き起こされて、それもアメリカによって ロシアが真犯人であるとされています。
こうしたことに対して、これまで西側のメディアから疑問の声が上がらないできたことは、本当に解せません。
それにしても今回のドイツ経済紙編集長の発言は、もしも櫻井ジャーナルが大幅にカットしたのでなければ、あまりにも簡易に過ぎます。まだまだドイツでも楽に口が利けないということなのでしょうか。
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独の有力経済紙編集長が米国に追随する「西側」は「間違った道」を歩いていると批判、話題に
櫻井ジャーナル 2014年8月9日
ドイツの経済紙ハンデスブラットの編集長が「西側の間違った道」と題する評論を発表し、話題になっている。ウクライナが不安定化すると「西側」は戦争熱に浮かされ、政府を率いる人びとは思考を停止して間違った道を歩み始めたと批判しているのだ。
アメリカ議会ではウクライナへの武器供与が議論され、ズビグネフ・ブレジンスキー元大統領補佐官は市民を武装させるように提案、ドイツ首相は厳しい対応をとる準備ができていると発言していると指摘、こうした流れはドイツの利益に反しているとしている。その通りだろう。
この編集長は次のように問いかける:始まりはロシアがクリミアを侵略したためだったのか、それとも「西側」がウクライナを不安定化したためだったのか?ロシアが西へ領土を膨張させているのか、それともNATOが東へ拡大しているのか?ふたつの大国が同じ意図に動かされて無防備な第三国へ向かい、深夜、同じドアで遭遇し、内戦の第1段階で泥沼にはまり込んでいるのか?
アメリカにとっての現実的な目的とヨーロッパにとってのそれは全く違うとも主張、バラク・オバマやヒラリー・クリントンは次の選挙で勝てるか、次の大統領を民主党から出せるかということに関心があるだけだとし、クリントンがウラジミル・プーチンをアドルフ・ヒトラーに準えたのは、外国のことに関心のないアメリカ人の多くが、知っている外国人(の名前)は(せいぜい)ヒトラーくらいだからだと切り捨てている。