東京新聞 2014年8月14日
「成田・九条の会」(成田市)が六月から、毎月九日に「憲法九条を守ろう」と訴える行進を始めた。以前は駅前でチラシを配っていたが、集団的自衛権の行使容認が現実味を帯び、危機感を強めて活動を拡大した。行進中、通行人の反応は良くないが「戦争をしない国を守りたい。言葉が少しでも届けば」と歩みを続けるという。 (渡辺陽太郎)
今月九日夕。メンバーは同市はなのき台からJR成田駅西口までの約三キロを歩いた。参加したのは協賛団体を含む四十代から七十代の三十人。手作りのうちわや横断幕を持ち「九条を守れ」「閣議決定撤回を」などと訴えた。チラシも配ったが、無視する通行人も少なくなかった。
駅前まで来ると、行進が面白かったのか、高校生の集団が手を振ってきた。この日、反応してくれたのは彼らだけだったが、参加者たちは満足そうだった。
「変わったことやっているなって印象に残るでしょ」と、ある女性は話した。毎月行進をして「また九条の人たちだ」と住民の印象に残れば、戦争をしない国の素晴らしさに気付いてくれるかもしれないと考えている。
賛同してもらえば、選挙で護憲を意識した一票につながる。同会世話人の纐纈(こうけつ)康世さん(70)は「九条の大切さを、自分の住む街から伝えていきたい」と話していた。
同会は二〇〇六年設立。同市や周辺市町の三百五十人で活動している。来月十三日に同市中央公民館で「平和を願う市民のつどい」を開く。朗読と歌に続き、伊藤真弁護士が「集団的自衛権行使容認でどうなる? 平和やくらし」と題して講演する。午後三時から六時まで。参加費五百円。高校生以下は無料。