沖縄防衛局は、キャンプ・シュワブのゲート付近に波板の各頂点をとがらせた形状の「殺人鉄板」を敷いて、県民が辺野古の米軍新基地建設の工事の強行を監視・抗議行動をすることを妨害しています。
この鉄板は山型鋼(アングル)の角部が上に向くように密に溶接して作ったもので、その上を歩いたり座り込むことが出来ないだけでなく、転倒して頭部を角部に打ち付けたりした場合は大怪我をする惧れがあるものです。
住民の基地建設反対運動を無理やり押さえ込もうとする前代未聞のやり口です。
それに加えて今度は、辺野古の海を埋め立てるための海底ボーリング調査に向けて、政府が海上自衛隊の掃海母艦「ぶんご」の派遣を検討していることが分かりました。「ぶんご」は速射砲や重機関銃を持った軍艦です。
政府は機関砲などを装備する海上保安庁の巡視船も全国から総動員しています。
普天間基地の辺野古移設に反対している住民は、暴動どころか破壊活動一つ行っていません。このように非暴力に徹している人々に、なぜこうした軍艦を差し向けるのでしょうか。
安倍首相は国会などで「地元に丁寧に説明し、理解を求める」と述べていますが、それも全くのゴマカシであって、実行していることは武力をもってする住民への弾圧です。虚言と取り繕いの欺瞞を押しつぶして顕れてきた安倍政権の本性です。
琉球新聞の社説を紹介します。
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(社説) 海自艦出動 武力で県民恫喝する野蛮
琉球新報 2014年8月8日
中世の専制君主国と見まがうありようだ。何という野蛮な政府か。
米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設強行の前段である海底ボーリング調査に向け、政府が海上自衛隊の掃海母艦「ぶんご」の派遣を検討していることが分かった。
米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設強行の前段である海底ボーリング調査に向け、政府が海上自衛隊の掃海母艦「ぶんご」の派遣を検討していることが分かった。
移設反対派の市民を武力で恫喝(どうかつ)する狙いであるのは明らかだ。
政府は沖縄を、軍が市民を威嚇してよい地域と見なすということだ。そんなことを実行してしまえば政府と沖縄が抜き差しならぬ対決局面に入ることを、安倍政権は知るべきだ。
「ぶんご」は前甲板に速射砲を持ち、重機関銃数丁を格納する。掃海母艦との名称はあるが、攻撃能力を見れば事実上、軍艦だ。
それに対し、移設反対の住民は暴動どころか破壊活動一つ行っていない。武器一つ持たず、非暴力に徹している人々だ。その“丸腰”の市民に軍艦を差し向けるという。市民を、交戦中の敵国の軍のように見なすということだ。
政府は機関砲なども装備する海上保安庁の巡視船も全国から総動員している。中立の第三者として不測の事態に備えただけの前回と異なり、海保も明らかに市民弾圧に転じている。それに加えて軍も出動する。安倍晋三首相は「地元に丁寧に説明し、理解を求める」と言うが、実態はこの強権ぶりだ。しらじらしいにも程がある。
「銃剣とブルドーザー」で無理やり土地を接収し、基地を造った米軍占領統治下と何が違うのか。
そもそも市民運動の抑圧に自衛艦を投入することに法的妥当性はあるのか。防衛関係者は「国の施策に資する場合、あらゆる事態に対応できる」という理屈を持ち出すが、それが許されるなら、どんな政策についても軍の出動が可能ということになる。
東村高江のヘリコプター着陸帯建設現場近くでも倒錯がまかり通る。県道の路側帯で阻止行動をする住民を排除するため、路側帯を米軍専用区域に変更するという。政府のやりたいことのために法的規定の方を変えるというわけだ。およそ法治国家とは思えない。
県道の路側帯を県民が通れない、車道に出て歩くよう求める。そんな県道が沖縄以外のどこにあるか。
「琉球処分」の際、明治政府は官吏と軍人を差し向け、併合に反対する市民を逮捕、拷問した。住民に軍を対峙(たいじ)させようとする今の政府の姿はそれと二重写しになる。