安倍首相は、国会の改憲勢力が2/3を上回ったので「憲法への自衛隊明記」などについて議論を進めようとしていますが、肝心の公明党との意見調整が難航しそうです。
9日、公明党の北側一雄氏は「与党間で何か行うことは前提にしない」と、自民党との事前協議を否定したそうです。
公明党は、これまで自民党に追随して、特定秘密保護法の制定に始まって、集団的自衛権の行使を含む新安保法制そして共謀罪法の制定に到るまで、いわゆる反動法案にことごとく賛成してきました。
それについてはこれまでも創価学会婦人部から不満の声は上がっていたようなのですが、10月の衆院選で議席を5つ減らし比例区でも700万票を割ったことから、自民党への安易な妥協に対し厳しい目が向けられるようになりました。
特に今度の衆院選では、「5歳未満の幼児教育を無償にする」と選挙民に訴えたのに、安倍首相は選挙が終わると早速 認可外保育は対象外にすることを口にしたので、学会婦人部はカンカンになっているところに、さらに「憲法改正」で自民党に同調する姿勢を見せたのでは収拾がつかなくなるからです。
創価学会は内部を沈静化させるために、これまで“官邸とのパイプ役”になっていた幹部をその要職から外すのではないかということです。
その程度のことなのかという気にもなりますが、これまで公明党は選挙時に1選挙区平均2万票と言われる創価学会票で自民党を応援するなどして、鉄壁の自公共闘を維持してきました。それがここにきて軋みが出始めた可能性があります。
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菅官房長官の“盟友”を更迭? 公明党に自公連立解消の兆し
日刊ゲンダイ 2017年11月11日
自民党は中断していた党憲法改正推進本部の全体会合を来週再開する。安倍首相がこだわる「憲法への自衛隊明記」などについて議論を進めていくが、難航必至とされるのが平和を党是に掲げる公明党との意見調整だ。
9日、公明党の北側一雄中央幹事会会長は、改憲について「与党間で何か行うことは前提にしない」と自民党との事前協議をキッパリ否定。事前協議をすることで、支持母体の創価学会員に「改憲に前向き」と受け止められることを公明党の幹部は恐れているという。
「10月の総選挙で公明党は5減の29議席に終わりました。比例代表では、2000年以降の衆参両院選を通じて初めて700万票を割った。これは一部の学会員が批判の意味を込めて立憲民主党に投票したり、無効票を投じたからといわれています」(創価学会関係者)
■改憲路線、公約反故に学会員がカンカン
安保法制や共謀罪に賛成し、自民党のブレーキどころかエンジンになっている今の公明党に学会員の不満は鬱積し、爆発寸前という。今後、“公明離れ”がさらに加速する可能性が高い。
「今回、公明党は『5歳までの幼児教育を全て無償化する』と公約に掲げました。安倍首相も教育無償化について『全ての子供たち』と言っていたくせに、選挙が終わった途端、認可外保育は対象外にしようとしていると判明。選挙で汗を流した学会婦人部はカンカンです」(ある婦人部会員)
こうした動きを察知した創価学会は、沈静化のために先手を打とうとしているようだ。例年、学会は創立記念日の11月18日前後に幹部人事を行う。今年は “官邸とのパイプ役” と呼ばれる幹部を要職から外すのではないか、という情報が流れている。
「この幹部は菅官房長官の“盟友”といわれています。今回、安倍首相が解散・総選挙に踏み切ろうとしていることを知ると、足元の改憲反対派の学会員の反発を危惧して『都議選が終わったばかりで準備が間に合わない』『年末にするよう首相を説得して欲しい』などと菅氏に要請したといいます。ところが、やんわりと押し切られて選挙に突入。結果、公明党の議席を大きく減らすことにつながった。創価学会が本当にこの幹部を要職から外すことになれば“懲罰人事”になりますが、同時に“官邸との決別”も意味します」(前出の創価学会関係者)
こうした公明党の事情を知ってか知らずか、安倍首相は8日夜、「憲法を変えることを支持されたと思っている。できれば早めにしたい」と明言した。解けそうな“下駄の雪”を捨てて、別の改憲勢力と手を組むつもりかもしれない。