2017年11月24日金曜日

拉致被害家族の会も“圧力一辺倒”の安倍外交に異論

 北朝鮮が2か月間ミサイル試射と自制したことから、一旦は米・朝会談の機が熟したのではという雰囲気が生まれましたが、トランプ米大統領は20日、突如北朝鮮を9年ぶりにテロ支援国家に再指定しましたこれにより大規模な対北朝鮮追加制裁が加わりますが、安倍首相が一もにもなくそれに賛成するのは明白です。

 横田早紀江さんは、このところ対北朝鮮“圧力”一辺倒の安倍首相に対し、「金正恩とケンカじゃなく話し合いをして欲しい」と注文をつけています。口先だけで、成果ゼロの安倍首相に不信感を強めているのでしょう。ひとり早紀江さんだけではなく、他の被害者家族も「安倍首相に訪朝して欲しい」と声を上げていますが、首相にそんな気持ちはさらさらありません。

 元家族会事務局長の蓮池透氏は、「家族会『安倍さんに頼るしかない』と思うのは間違いで、安倍さんだから解決しないのです。早く見切りをつけないと、時間がありません」と、一貫した思いを明らかにしています。

 それとは別に北朝鮮から帰還した蓮池薫さんは17日、新潟で講演し、
日本政府はかなりの生存者情報を手に入れていると聞いている。だから、今は再調査なんていう、まどろっこしいことは言わずに、生きている人を返せと伝え、その上であなたたちは何を求めているかと踏み込んだ交渉をすべきだ」、「拉致問題くのは日本政府が何か決断した時だ。拉致被害者を救うためには北朝鮮に見返りのものを与えるのはやむを得ない。その点を理解した上で、今後も拉致問題に声援を送ってほしい」と訴えました。

 日本政府かなりの生存者情報を手に入れているというのがもしも本当であれば(「救う会」はいつもその種のことを「家族の会」に吹き込んでいるようです)、「まず拉致被害者全員の消息を明らかにさせる」という原則にいつまでも拘っている場合ではなくて、生存している人たちを帰還させるのが最優先事項になります。
 その際には、かつて日本が韓国に対して行った戦争による加害への賠償に見合うものを、当然 北朝鮮から暗に要求され、それが事実上の条件になるでしょう。
 アメリカは当然反対することでしょうが、拉致被害者を救うためにどういう形で応じることが出来るのかについて、アメリカと具体的に詰めるのが日本政府の仕事です。
 安倍首相がその任に全くふさわしくないことは言うまでもありません。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ついに横田早紀江さんも “圧力一辺倒”の安倍外交に異論
日刊ゲンダイ 2017年11月23日
 もう、ガマンの限界なのだろう。横田めぐみさんの母・早紀江さん(81)が、安倍首相の“北朝鮮外交”に異を唱え、波紋を呼んでいる。“圧力”一辺倒の安倍首相に対し、「金正恩とケンカじゃなく話し合いをして欲しい」と注文をつけたのだ。ほかの被害者家族も、21日、「安倍首相に訪朝して欲しい」と声を上げている。さすがに、いつも口先だけで、成果ゼロの安倍首相に不信感を強めているのだろう。

 アメリカが北朝鮮をテロ支援国家に再指定したきのう、拉致被害者の家族からは、効果を期待する一方、日本政府に具体的な取り組みを求める声が相次いだ。
 市川修一さんの兄・健一さん(72)は、圧力の必要性を認めつつも「首相に訪朝してほしい。歯がゆい思いをしているのは家族だ」と焦りをにじませた。
 5年たっても進展ゼロの安倍首相に対して、具体的なアクションを期待する気持ちが強まっているのは間違いない。

 先週(18日)は、早紀江さんまでが、新潟市内の集会で800人を前にこう発言している。
「安倍総理が平壌に行き、金正恩とケンカじゃなく、ちゃんとした話し合いをしてくれたらありがたい」
 あの早紀江さんが安倍首相に注文をつけるのは、よほどのことだ。

 安倍首相の圧力一辺倒は拉致問題の解決を遠ざける――。これまで「拉致の安倍」に全幅の信頼を寄せてきた被害者家族も、言い方は柔らかいが、安倍首相の無策に失望と不信感を強めているのだろう。

■もう政治利用は許されない
「この5年間、安倍政権下で拉致問題は一歩も進んでいません。家族が年を重ねただけです。被害者家族の中に『自分たちは安倍首相に政治利用されているだけではないか』という不信感が芽生えてもおかしくありません。安倍首相を信じたいと思っている家族らも、たまりかねて対話を訴え始めたということでしょう」(政界関係者)

 元家族会事務局長の蓮池透氏がこう言う。
「あれでも早紀江さんは、安倍首相に遠慮して、感情を抑えて発言したのだと思います。安倍首相には圧力だけでなく、対話を含めて行動を起こしてもらいたいと願っているはずです。圧力一辺倒では、展望は全くありません。拉致問題は対話でないと解決できないからです。家族会は『安倍さんに頼るしかない』というスタンスなのでしょうが、違います安倍さんだから解決しないのです早く見切りをつけないと、時間がありません

 拉致問題を政治利用する安倍首相の罪は重い。


「日本政府は踏み込んだ交渉をすべきだ」
〜拉致被害者・蓮池薫さん講演会
    金子通 レイバーネット 2017年11月22日
 新潟では、横田めぐみさんの拉致事件が発生してから40年が経ち、地元紙である新潟日報は「拉致問題の解決を願う一週間」として、さまざまな取組を行っている。11月17日、新潟日報メディアシップにおいて、帰国から15年を迎える拉致被害者・蓮池薫さんを招いた講演会「帰国15年~いま、拉致問題について考えること」が開催された。

 蓮池さんは、講演会冒頭「拉致問題については少し光明が見えたのではないかと思っている。拉致問題は3年前、ストックホルム合意で今度こそ解決するのではないかという期待があった。しかし、結局何の進展もないままになっている。しかし、私が聞いているところでは、水面下ではかなり熾烈な駆け引きが行われている。私は北朝鮮の再調査という段階は終わりにすべきだと思う。日本政府はかなりの生存者情報を手に入れていると聞いている。だから、今は再調査なんていう、まどろっこしいことは言わずに、生きている人を返せと伝え、その上であなたたちは何を求めているかと踏み込んだ交渉をすべきだ」と述べた。

 講演会では、拉致された当時の状況や朝鮮における日常生活、帰国後の思いについて語った上で、日朝交渉について、日本政府の対応について理解を示しつつ「日本は北朝鮮に対して、拉致問題に対する見返りも考えないといけない」と述べ、講演会の終わりに「残された拉致被害者は15年間待たされている。精神的にどれだけつらいか。時間はまったなしだ。やはり拉致問題は動きます。それは日本政府が何か決断した時だ。犯罪者に見返りなどとんでもないということになるかもしれないが、拉致被害者を救うためにはやむを得ない。外交交渉とはそういうものだ。その点を理解した上で、今後も拉致問題に声援を送ってほしい」と訴え、終了した。

 日本国内では、朝鮮の脅威ばかりが強調されるが、圧力一辺倒の外交政策で拉致問題は進展していない。日朝両国政府の思わくや立場はさておき、日朝交渉を再開させ、拉致問題の一刻も早い解決をすべきだ。